(本記事は、呉 真由美の著書『頭の回転が超速くなる! 「速読脳トレ」で成功する勉強法』辰巳出版2019年4月16日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
「集中するな!」いい状態とは集中していないとき
次に、脳にとって良いフォームをマスターするためのポイントをお伝えしましょう。
それには、「集中しすぎないこと!」が、一番です。
勉強でもスポーツでも、「もっと集中しなさい」と檄を飛ばす人がいますが、じつは脳にとって良い状態は、「集中していないとき」なのです。
「え? 集中したほうが、いい結果を出せるんじゃないの?」
と思った人も多いと思いますので、そのあたりを説明していきましょう。
一点集中している=視野が狭い、ということ
よく「あの人は視野が広い」とか「視野が狭い」という言葉を聞きますが、これは処理能力に関連しています。
「視野」には、2通りの意味があります。ひとつは、目で見える範囲という意味、もうひとつは考え方やとらえ方という意味の視野です。
一点集中している人は、どうしても見える範囲の視野が狭くなります。視野が狭いと、その狭い範囲の中の限られた情報でしか物事を考えられないので情報処理能力も下がってしまいます。情報が少ないということは判断材料が少ないということになりますから、瞬時にいい判断ができません。
うまく情報処理ができないと、判断力も鈍りますから、瞬時に良い決断ができません。
その点、視野が広い人というのは、いろんな状況が広く見えている状態にあります。得られる情報量も多いので、余裕をもってその場に応じたベストな判断を下すことができるのです。
では、なぜ視野が「広い」「狭い」で情報処理能力に差が出てしまうのでしょうか?
わかりやすく説明すると、太いケーブルと、細いケーブルでは、どちらのほうがより多くの情報のやり取りをできるかは、一目瞭然ですよね?
つまり、こういうことです。
「視野が広い」→情報を多くキャッチできる→処理能力が高い→パフォーマンスが高い
「視野が狭い」→情報をキャッチする量が少ない→処理能力が低い→パフォーマンスが低い
なので、「集中する」、ことではなく、意識して「視野を広くする」とからはじめましょう。
最初は漠然とでいいのです。「速読脳トレ」の極意は、広い視野で多くの情報を受け取り、処理できる状態を作ることなのです。
一点に集中するより、視野を広げる。これが情報処理能力を上げる大切なポイントになります。
集中しなくても、効率的に勉強ができるようになる
速読脳トレを行なうと、針の穴に糸を通すような一点集中ではなく、視野を広く物事をとらえて、リラックスした状態をキープできるようになります。このときの、「一点集中」と「気を向ける」の決定的な違いは、視野の広さにあります。
「一点集中」であれば、眼に入るのは、その針の穴のような「ひとつの点」です。ところが、視野を広く持つと、より多くの情報を一度に脳に伝えることができます。
視覚で“見て”いるのは、じつは目ではありません。目から入った情報を脳で認識して“見た”と受け取っているのです。後ほどの実践トレーニングのパートで詳しくお伝えしますが、脳は、私たちが普段思っているより数倍の情報を瞬時に判断しています。
その“脳のチカラ”を存分に発揮してもらうには、意識を「一点集中」にして狭い視野に限定した情報を送るより、広い視野でとらえた多くの情報を一度に送ったほうが、より効率的に勉強も仕事もできるのです。
たとえるなら、携帯電話の情報量の差です。2005年の頃には、ふたつ折りの携帯電話が全盛期で、メールも送れるようになり、その進歩に驚いたものです。ところが、さらに通信インフラが発達して、ブロードバンドネットワークが取って代わります。映画もスマートフォンにダウンロードして見られるくらい、通信量が飛躍的に大きくなってきました。
あなたも速読脳トレで広い視野を育て、「気を向ける」くらいのリラックスした状態で、脳に情報を送りましょう。今までとは、ちょっと違った勉強の風景が見えてくるかもしれませんね。
速読脳トレでは、視野を広げるための直接的なトレーニングも行ないますので、安心してくださいね!