(本記事は、呉 真由美の著書『頭の回転が超速くなる! 「速読脳トレ」で成功する勉強法』辰巳出版2019年4月16日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
速読できると処理能力はアップするが、理解度が上がるわけではない
「速く読めるようになっても、読んだ気がしないのでは?」とか「本当にわかってるのかな」と心配される人が多いですが、それは逆なのです。
なぜなら、速読することで速く情報が入ってくるので、前後の関係性や全体の状況を把握しやすくなり、よりイメージできるようになるからです。
よく、「速読脳トレ」を始めたばかりの人から、
「速読できるようになってから、学校の授業がよくわかりようになり、授業についていけるようになりました」
という感想を聞きます。
これも「速読脳トレ」によって、頭の処理能力が上がり、読むだけでなく話すスピードの速さにも対応でき、イメージしやすくなることで、よく分かるようになるからです。
ただ、ここで誤解していただきたくないのは、「速読脳トレ」をしたからといって、なんでも理解できるようになるわけではない、ということです。
速く読めるようになることと、理解できるようになることは別ものなのです。仮にあなたが、分厚い六法全書を最後まで読んだとしても、難しくて意味がわからなかった、ということはあると思います。
そもそも理解する、というのは、本来そのことに関して知識や経験があって初めてイメージできたり、どのような意味なのかが分かったりしますよね。
なので、読むのが速かろうが、遅かろうが、その分野の知識がなければ理解することはできないのです。
速読できれば、短時間で理解を深めることができる
「速読さえできれば、どんなことでも理解できる」
と思っていた人にとっては残念な話かもしれませんが、それでも「速読脳トレ」は最強なのです。
なぜかというと、同じ時間でも速く本をたくさん読むことができるので、結果的にはスピーディにより多くの知識を増やすことができるのです。
たとえ理解できないことがあっても、短時間で読み返すことができるので、すぐにリカバーすることができます。
1冊の本をゆっくり1回読むのと、2、3冊の同じ分野の本を読むのとでは、理解力が違ってきます。
「速読脳トレ」で速く読めるようになるれば、同じ本を数回読むこともできるので、必然的に1回目よりも理解が深まるのです。
この積み重ねと繰り返しは、勉強において最強です。本を速く読めるようになることを活用して、理解度をアップさせたり、合格を着実に手に入れることができるのです。
理解とは、コップから水があふれる瞬間と同じ
「毎日速読脳トレをやっていても、今ひとつ効果が出ないのですが……」というご相談をよくいただきます。効果が実感できないと、「自分には向いてないかも」とか「特別な人だけができるのでは?」とちょっと不安になりますよね。
ところが、速読脳トレのスゴイところは、「誰でもできるようになるところ」なのです。年齢や、スタートした時の読書スピードは、全然、関係ありません。“誰でも”なんです。秘訣はただひとつ。信じて続けること。これさえできれば、必ず皆さん、これまでより速く読める自分になるのです。
勉強や、スポーツでも、何かが「分かった!」とか「体得した!」という瞬間は、“コップのフチから水があふれ出る”瞬間によく似ています。
コップの中に水を1滴ずつ入れていくと、やがてコップがいっぱいになり、ついにはコップから水があふれ出します。
速読脳トレが、「身についた」とか、「できるようになった」と実感するまでは、“コップに水を1滴ずつ入れている途中”なのです。一見すると変化はよく分かりませんが、実際は速読の感覚を体得する瞬間に近づいています。一度入れた水は、コップから逃げないからです。
勉強やトレーニングでも、同じことが言えます。教科書やテキストを読んだり、書いたりしているうちに、ある日その言葉を聞いた瞬間に、その意味やこれから起こる状況が分かるようになります。
そのときが、理解のコップの水が溢れ出た「分かった!」という瞬間なのです。皆さんの理解のコップはいくつもあって、コップの大きさも深さもまちまちです。ですから、一度でわかることもあるでしょう。何度も繰り返してようやく理解する、そんな大変な時もあるかもしれません。
速読脳トレをしていると、何度も繰り返すその作業が、短時間でできるようになります。そうすると、何度も繰り返すことで、自分のものにすることができる可能性が、グッと高くなります。ですから、速読脳トレをすると、基本から理解を進めることが苦にならなくなるのです。
脳の作りが変わるわけではないのですが、“短時間で繰り返すことができる”強みができます。速読脳トレを続ければ、あなたの勉強は、すいすい進むようになるのです!