このほど出揃った2020年2月期第2四半期決算では、コンビニ大手3社いずれも増益を記録した。しかし、セブン&アイ・ホールディングスはセブン-イレブンの1,000店舗の整理を決定するなど、事業構造の改革が進んでいる。経済の先行きが不透明な中、各社は収益拡大に向けどのような戦略を打ち出しているのか。決算発表の内容とともに紐解く。
セブンの営業利益は過去最高、不採算店舗の閉鎖・移転も
セブン-イレブンを展開するセブン&アイ・ホールディングスの決算発表で、営業利益と四半期純利益が過去最高を達成したことが明らかになった。
2019年3〜8月の営業利益は前年同期比2.8%増の2,051億2,700万円となり、セグメント別の営業利益を紐解くと、コンビニエンスストア事業の国内部門が4.4%増、海外部門が12.1%増となっている。
ただ同社の主力事業であるコンビニセグメントが一定の数字を残しているとはいえ、そごう・西武、イトーヨーカ堂などの業績は振るわず、同社は決算発表同日に大規模な構造改革案を発表している。これによれば、そごう・西武などで合わせて3,000人の人員削減を行う予定だ。
他にもイトーヨーカ堂などで店舗の閉店に踏み切るほか、セブン-イレブンの不採算店舗の閉鎖や移転も断行する。同店の閉鎖・移転は1,000店規模になる見込みだ。24時間営業の店舗オーナーへの負担や7pay(セブンペイ)などに関する課題を抱える中、営業利益をどう高められるかに注目が集まる。
ファミマの事業利益は31.6%増、営業収益は17.4%減
ファミリーマートの2020年2月期第2四半期の連結業績(2019年3〜8月)では、事業利益が前年同期比31.6%増の463億4,000万円と好調な数字だった。ただ営業収益は同17.4%減の2,654億900万円と下落し、予断を許さない状況と言える。
ファミマは現在、加盟店支援の強化を最優先事項に掲げ、グループ全体の収益力の強化に努めている。加盟店支援の強化の具体的な内容としては、時短営業実験の実施やストアスタッフの派遣体制の強化、フードロス削減策の実施などが挙げられる。
そのほかにも店舗収益力の強化策として、冷凍食品のラインナップ拡充などに取り組んでおり、実際に売り場を拡大した店舗では売上の伸びが顕著になるなど、一定の成果に結びついている。デジタル施策も積極的に実施しており、今年7月にはファミペイもスタートさせている。
ローソンは営業利益など堅調、ウーバーイーツ初導入にも注目
ローソンの2020年2月期第2四半期の連結業績(2019年3〜8月)において、営業利益は前年同期比6.6%増の367億6,300万円を記録した。営業総収入も同4.9%増の3,691億3,100万円、経常利益も4.8%増の351億4,700万円と好調な数字で、今後に期待が持てる決算発表だったといえる。
ローソンは、国内で進む高齢化や核家族化のほか、女性の社会進出や健康志向の高まりを追い風ととらえており、こうしたニーズをコンビニ事業の戦略にうまく反映させることを目指している。また、少子化による人手不足や人件費の高騰などへの対応策として、自動釣銭機能付きのPOSレジの導入を進めていることでも知られている。
ちなみに国内コンビニ事業における商品やサービスの売れ行きに関しては、新たなフレーバーを増やした「悪魔のおにぎり」が好調で、季節商品の冷たい麺類なども全体の売り上げに大きく貢献した。「MACHI café」も品揃えが充実したことで、売上が好調だった。
ローソンは、今年8月末からウーバーイーツによる宅配代行サービスを実験的に導入したことでも話題を呼んだ。日本のコンビニでは初の取り組みである。
経営戦略が各社の業績を大きく左右
デジタル施策の強化や電子マネーの導入、またウーバーイーツの導入など、各社の戦略は細部で異なる。業界に飽和感が漂う中、他社との差別化を図る経営戦略が各社の業績を大きく左右する。3社の下期の業績にも引き続き注目だ。
文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/MONEY TIMES
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