NISA口座の開設数は、ネット証券のなかでは楽天証券とSBI証券が多い。楽天証券は約76万口座、SBI証券は約140万口座だ(2019年3月時点)。両社は提供サービスで競い合っており、どのような違いがあるのか見ていきたい。
NISAにおける株式売買手数料を楽天証券とSBI証券で比較
NISAで取引できるのは、主に国内外の株式や投資信託である。投資信託にはノーロード(購入手数料無料)の銘柄も多いため、まず比較しておきたいのは株式の売買手数料だ(2019年9月時点の手数料で比較)。
楽天証券とSBI証券のNISAは国内株式売買手数料と海外ETF購入手数料が無料
楽天証券とSBI証券の手数料体系はほとんど同じで、NISAにおいても大きな違いはない。楽天証券とSBI証券のNISAでは、国内株式の売買手数料と海外ETFの買付手数料が無料である。海外ETFの対象国などに細かい違いはあるが、実質的には変わらない。
購入手数料が無料の海外ETF対象国 | |
楽天証券 | 米国、中国、シンガポール |
SBI証券 | 米国、中国、韓国 |
(※筆者が楽天証券とSBI証券のホームページより作成)
楽天証券では米国株式の売買手数料がポイント還元対象だが為替交換手数料には注意
米国株式の売買手数料では楽天証券のみがポイント還元対象にしている。楽天証券では米国株式の売買手数料の1~2%がポイント還元されるため、NISAで米国株投資をするなら注目しておきたい。
注意しておきたいのは為替の交換手数料だ。円を米ドルに交換するとき、楽天証券とSBI証券はそれぞれ1ドルあたり25銭がかかる。しかし、SBI証券では住信SBIネット銀行で米ドルに交換すると手数料が4銭で済み、SBI証券への入金も無料でできる。楽天証券はポイント還元があるとはいえ、この違いは大きいだろう。
NISAの取扱銘柄数やポイント制度を楽天証券とSBI証券で比較
NISAでIPO銘柄に投資したいならSBI証券
NISAで投資対象になる株式や投資信託について、楽天証券とSBI証券を比較したい(2019年9月時点)。
NISAでの取扱銘柄 | 楽天証券 | SBI証券 | |
---|---|---|---|
国内株式 | 市場売買 | 同じ | |
IPO(2018年度) | 0社 | 92社 | |
投資信託 | 取扱本数 | 2,560本 | 2,577本 |
ノーロード取扱本数 | 1,267本 | 1,278本 | |
外国株式 | 取扱国数 | 6ヵ国 | 9ヵ国 |
(※筆者がSBI証券のホームページより作成)
取扱銘柄数はいずれもSBI証券が多い。なかでも違いが鮮明なのは、IPO(新規上場株式)の取扱数だ。楽天証券でもIPO銘柄に投資できるが、2018年度はNISAで投資できる銘柄がなかった。SBI証券はIPOに力を入れているネット証券であるため、新規上場銘柄に投資したい場合にチャンスが多いのはSBI証券だ。
投資信託のNISA取引でポイント獲得機会が多いのは楽天証券
NISAでの取扱銘柄数が総合的に多いのはSBI証券だが、投資信託の取扱本数は同程度と言える。大きな違いがあるのはポイント制度だろう。楽天証券では楽天スーパーポイントが貯まり、SBI証券ではTポイントが貯まる。どちらもネットショッピングや日常生活で使いやすいポイントだ。獲得できるのは楽天証券なら投資信託の購入時と保有中、SBI証券なら保有中のみである。
投資信託のポイント獲得 | 楽天証券 | SBI証券 |
---|---|---|
購入時 | 楽天カード決済額の1% | ― |
積立購入 | 購入手数料全額ポイントバック | ― |
保有中 | 10万円ごとに4ポイント | 基本は0.1%または0.2% |
(※筆者が楽天証券とSBI証券のホームページより作成)
ポイント獲得の機会が多いのは楽天証券である。特徴的なのは、購入手数料のかかる投資信託でも、積立だと手数料全額がポイントバックされることだ。手数料が気になり買いにくい銘柄も実質無料で購入できるのはSBI証券との大きな違いと言える。
保有中については楽天証券と楽天銀行を口座連携させればポイント還元される。還元率で表すと0.004%だ。この点は不利なようにも感じるが、SBI証券は一部の低コスト投資信託の還元率が0%になることもあり単純には比較できない。
ポイント獲得機会の多さから考えれば、楽天証券が魅力的かもしれない。
NISA口座の開設を楽天証券とSBI証券のどっちですべきかは投資スタイルによる
NISAは1人1口座までしか開設できないため、自分の投資スタイルをよく考えてから開設したい。例えば主に株式投資をするならIPO銘柄数や為替手数料で有利なSBI証券がいいかもしれない。投資信託がメインであれば、ポイント獲得しやすい楽天証券を選んでもいいだろう。どちらにメリットが多いかは人によって変わるため、証券会社ごとの特徴を押さえてNISAを利用したい。
文・國村功志(資産形成FP)/MONEY TIMES
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