(本記事は、新開強氏の著書『Tシャツだけで年商30億。』実務教育出版、2019年9月30日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
鉄則! 選択肢はひとつになるまで絞り込め──集中力には限界がある
思い切り妄想して、悩んで考えた挙句、最後に起こす行動について、お伝えします。
最後に起こす行動の選択肢は、ぜひひとつに絞ってください。
なぜひとつに絞る必要があるのか。
そのひとつめの理由は、ひとつに集中することで早い段階での「成功体験」が生まれやすくなるということが挙げられます。
1が2になり、2が4になる。初期の段階はトントン拍子に物ごとが進みやすいので、成功体験の雪だるまを育てやすいということもいえるでしょう。
2つ目の理由。複数のことを同時にやろうとしても、集中力が保てません。
同時ということは、ひとつに集中するより「広く浅く」なるわけですから、「成功体験」と思えるところまで行き着くのに時間がかかります。
時間がかかると、人は誰でも面白くなくなってきてモチベーションが下がり、集中力が落ちてきます。その結果、成功体験からどんどん遠ざかってしまいます。
ひとつに絞っておけば同じ時間をかけていても、もっと進んでいたかもしれないところを、複数同時にやることでどれも中途半端になってやる気もなくなってしまう、ということになりかねません。
3つ目に、軌道修正が早い、ということが挙げられます。
安心してください。何から何まで全部うまくいくなどという奇跡は、まず起こりませんので(苦笑)。
どんなビジネスでも、失敗して壁にぶち当たる。これもセオリーです。そうした失敗経験から、次の段階で軌道修正をして成功確率を高めていくのですが、複数を同時にこなしていこうとすると、失敗体験(成功の種)を見つけるのが遅くなります。何がいいのか、うまくいっているのかいないのか、という判断に時間がかかります。
ビジネスだと、気付いたときには機を逸してしまっていて、せっかくのチャンスなのに動きが遅いために自らチャンスの芽をつぶしてしまう、ということにもなりかねません。
ここで、選択肢をひとつに絞る方法を再確認しておきましょう。
消去法が使えます。
(1)想像を膨らませて可能な限り選択肢を広げる (2)考えつく選択肢を全部アウトプットしたら、今度は少し時間をかけながら消去法で絞り込んでいく
今の環境、自分の状態、これまでの経緯を加味した上での選択肢がリストに並んでいると思います。
そうであればどれも可能性ゼロではないのですが、ハードルの高低はある状態。
それぞれの選択肢に対してパーセントで数値化してみるのもひとつのアイデアです。これは完全に主観でOK。ひとつの数値を設定すればそれが基準になってほかが決まっていきます。正しいとか間違いとかは関係ありません。ひとりで決めていい部分です。
選択肢を見直しながら、可能性を相対的に考えていくプロセスで、いくつかの選択肢が密接に関係していることに気づく場合があります。
私の経験から事例を挙げてみます。
A、「自分のデザインスキルを活かす」と「飲食店の知り合いから営業をかける」という行動の選択肢があったとします。
この2つの「目的」は「事業を軌道に乗せる」ということで同じ意味です。それを達成する手段として2つの選択肢がありました。
この場合は2つ同時にやれることなのでまとめてしまいましょう。 ↓ 「自分のデザインスキルを武器として、飲食店に営業をかける」
これで、選択肢が減り、可能性の数値も少し上がります。
B、「ECサイトを作る」という選択肢と、「ハガキDMを送る」という選択肢があったとします。
この場合、ECサイトを作るという行動は、当時私の経済的状況からいうとハガキDMをしてしまったら、HP作成ソフトが買えませんので、考える順番の問題になってきます。「ハガキDMを送る」のか「HP作成ソフトを買う」のかの選択肢からまず考えなければいけません。
しかし、「ECサイトを作る」という選択肢も自分の中にある以上、いつでもやろうと思えば可能なハガキDMが(無意識的に)なくなりました。
このように、「まとめる→削除する→追加する」を繰り返して、最後に2つか3つ残る状態まで絞ったら、一度リセットするために、時間をおいて寝かせてください。
寝かせる時間は1週間以内がいいと思います。冷静に選択肢を見て再考するための時間を確保できます。これ以上になると熱量が落ちたり、考えたプロセスを忘れて、頭を戻すのにムダな時間がかかる可能性もあります。
次に残った選択肢を眺めたときに、そこまで絞った経緯、なぜそうなったのかを思い出すので、それが本当にやりたいことなのか、自分の大目的につながるのかを考えてみましょう。
「やりたい(楽しそう)」 「目的につながる」 「すぐにはじめられる」
この条件に合っていて、一番自分の中で数値的に可能性が高いものを、すぐに行動に移してみましょう。
この条件に合っていなければ、選択肢をもっと分解して全体にハードルを下げても構いません。腰が重い、やる気が出ない、続かないなど、できない理由が思いつくようだと、もっと小さく分解したほうがいいかもしれません。
できない理由(いい訳になる要素)を徹底的に排除することがポイントです。
このプロセスでひとつに絞られた行動の選択肢は、ほぼ間違いなく「できる」という選択肢です。
達成度の大きい小さい、の問題ではありません。自分基準で物ごとが「進んだ感」を感じられるかどうか。それが「成功体験」です。
私が悩んだときにやる方法なのですが、ここまでくれば、思考が何周も回って、シンプルになります。気持ちも楽で吹っ切れる状況になっていることに気づくでしょう。
そうなったら、1点の選択肢に集中です。
想像 ↓ 集中 ↓ 軌道修正
これを繰り返しして成功体験を積んでいけば、「あれ、結構きたな」と感じる時がくると思います。
なぜ、人はあなたから離れていくのか──ネガティブな3つの妄想
ここでいう妄想は、完全にネガティブな考え方のこと。
(1)過去の失敗にとらわれる
未来のために「過去の失敗に学ぶ」ことは必要ですが、とらわれるのは、必要のない妄想です。
(2)未来の失敗に怯える
不安は誰にでもあると思います。私も未来のことはいつも不安です。だからこそ納得できるまで考え、迷い、「よしこれをやってみたい!」と思えるところまで準備をします。そこまで気持ちの準備をしたら、行動するのみ。やってみるしかありません。誰にも確たる未来は予測できないのですから。怯おびえていてははじめることさえできません。
(3)行動を躊躇する
「一世一代の大博打」みたいな話をしているわけではありません。思った方向に小さくてもいいから動き出してみること。動き出すことで、小さな成功体験が生まれる。積み重ねることで自信が生まれる。ときに失敗しながら軌道修正することで、成長することができます。
「今の自分にはどうにもできないことを考えて、時間を浪費している」
と気づいたら、すぐに、
「どうにかなることだけを考えよう」
と私は頭を切り替えるようにしています。
未来の失敗に怯えないために十分準備をしたと思ったら、「どうにかなることはただひとつ。「現在の行動」だけです。
唯一できることを放棄した先に待ち受けているのは、受け身です。「やらされ感」たっぷりの負のスパイラルに入っていきます。やる気も本気も出ない。つまり自らチャンスを失うという選択をしていることになります。
会社では、私は立場上、大きな判断を迫られる場面が多々あります。
私の思いやビジョンに賛同してくれた仲間に対し、行動を躊躇することは約束違反です。ビジョンを実現するために集まった仲間であり、同志ですから、私や幹部が行動をためらっていてはビジョンに近づけません。
唯一「どうにかなること」である「今の行動」を、躊躇することなく、思いきり想像力を働かせてやってみる。この習慣を身につけると、自然に、当事者も仲間たちも「あの人たちの迫力はすごい!」と思われるようなチームになっていきます。
「そんなこといわれても、無理なものは無理」
と思われる方がいるかもしれません。そういう人に、私はこのように話すことにしています。
「想像力を働かせて、まずは動いてみる。これだけはどんな人にもできることだよ」
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