国内の私大に通う費用とそれほど変わらない!?
米国の特徴は、州立大学と私立大学の学費の差が大きいことです。
日本だと、国公立大学で年間約60万円、私立大学でもだいたい100万~150万円です。ところが米国だと、州立大学が1.5万~2万ドルくらいなのに対して、私立大学は4万~5万ドルもします。
ですから、費用を抑えて米国の大学へ留学するとなると、州立大学を選ぶことになります。
米国で教育レベルが高い大学は、東部だと、アイビー・リーグやニューヨーク大学、ボストン大学と、ほとんどが私立ですが、西海岸だと、私立でレベルが高いのはスタンフォード大学とカリフォルニア工科大学くらいしかなく、他は州立大学です。この他の州にもそれぞれ、各州を代表する、全米でトップ100に入る州立大学があります。
州立大学の中でも学費が安いところを選べば、授業料が年間150万円、生活費も年間150万円で、300万円×4年の1,200万円ほどに抑えることもできます。
日本私立大学教職員組合連合が発表している東京都の私立大学の費用(自宅外通学者)が年間約297万円ですから、先ほどもお話ししたように、大学によっては日本の私学に通うのとそれほど変わらないわけです。
もっと費用を抑えるのであれば、まずは短大に入学してから、4年制大学に編入するという方法もあります。
日本の短大と違い、米国の短大には、職業訓練コースと大学への編入コースがあります。編入コースで2年間、一般教養の勉強をしてから、大学の3年次に編入するのです。米国の大学は、日本の東京大学やICU(国際基督教大学)と同じように、1~2年生では一般教養を学び、3~4年生で専門課程の勉強をします。
例えばカリフォルニア州の短大なら、授業料が年間1万ドルを切るところもあります。
実際、この方法で米国に留学する人は増えていますし、米国人でも、この方法を取る人は多くいます。
豪州やニュージーランドは、短期の語学留学であれば授業料も生活費も安いので人気なのですが、4年制大学だと国立でも意外と授業料が高い。場合によっては米国の州立大学よりもお金がかかります。また、そもそも大学の数が少ないので、狭き門です。
帰国子女枠を狙って高校で留学する方法も
高校への留学には、卒業を目的として3年間留学する人もいれば、異文化体験のために1年間だけ留学する人もいるなど、色々なパターンがあります。
卒業が目的でも、3年間留学すると費用が高くなるので、1年生は日本の高校に通い、2~3年生で留学する、というような人も多くいます。
海外の高校に一定期間以上通って卒業すると、日本の難関大学を帰国子女枠で受験できるので、それを目的として留学するケースもあります。多くの大学では、帰国子女枠だと試験科目数が少なくなるのです。小論文だけで入学できる大学もあります。
高校の場合は、大学と違って、米国へ留学する人はあまりいません。私立高校だと授業料が高いですし、公立高校だと現地の人でも子供を通わせるのを躊躇うほど学力や治安の点で不安があるところも多いからです。
人気の留学先は、カナダ、豪州、ニュージーランドの公立高校です。
これらの国は、国を挙げて、留学生を呼んでいます。日本にある大使館でも頻繁にイベントを行なうなど、力を入れています。
私立高校への留学となると、学力や語学力が一定の水準に達していないと入学させてもらえませんが、公立高校なら、英検3級か準2級の語学力があれば問題ありません。高校で英語の補習授業をしてくれるところがほとんどだからです。
いきなり現地の高校生と同じ授業を受けるのは難しいので、初めのうちは一部の教科だけ現地の生徒と同じ授業を受け、他は留学生だけで英語の補習授業を受けます。そして、徐々に英語の授業が減っていき、最終的にはすべての科目を現地の生徒と一緒に受ける、というような仕組みになっています。そのため、日本人の留学生も卒業しやすいのです。
大学院でのマスター取得は英国なら1年で可能
大学院へ留学する場合は、米国か英国を選ぶ人がほとんどです。
英国の場合、1年間でマスター(修士号)を取ることができます。そのため、留学費用を400万円程度に抑えることができます。
一方、米国のトップレベルの大学院でMBAを取得するとなると、2年間で1,000万円以上かかります。
ただ、米国の場合は、就学後にOPT(Optional Practical Training)の制度があり、1年間、米国で仕事ができるチャンスがあります。
日本学生支援機構は、大学院へ留学する人のために、「海外留学支援制度(大学院学位取得型)」という返済不要の奨学金を出しています。採用人数は年間約100人ですが、最大で総額約250万円を支給してくれます。