投資にリスクは付き物であり、投資の世界ではリスクを抑えるノウハウが確立しています。よく見聞きするのは分散投資によるリスク分散ですが、ここで紹介するのは投資対象ではなく、時間軸のリスク分散ができる「ドルコスト平均法」です。

ドルコスト平均法は、一度に多額のお金を用意できない人でも簡単に実践できるリスク管理手法であり、積立投資などを検討している人に最適です。

「ドルコスト平均法とはどんな手法なのか?」「そのメリットは?」「具体的な方法は?」といった疑問にお答えしつつ、ドルコスト平均法をマスターするために必要な知識をまとめてみました。

ドルコスト平均法をおさらい

リスク管理,ドルコスト平均法
(写真=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

ドルコスト平均法とは、複数回に分けて投資することでリスクを分散する手法のことです。たとえば、100万円である銘柄の株を買う際、一度に全額を投じるのではなく、20万円分ずつ5回に分けて買います。

株価は常に変動しているため、20万円ずつ5回に分けて購入すると、安い時には多く買い、高い時には少なく買うことになります。これによって1回目から5回目までの価格変動が平均化され、長く続けるほど長期間の価格変動を平均化することができるのです。

「ドル」というアメリカの通貨名が使われている理由は諸説あるそうですが、後半部分の「コスト平均法」という言葉に、この手法の本質が表われていることがおわかりいただけたでしょう。

ドルコスト平均法のメリット

ドルコスト平均法の最大のメリットは、時間軸でリスクを分散できることです。一度に全額を投資してしまうと、その購入価格が重要な意味を持つことになり、以後の価格変動の影響をダイレクトに受けてしまいます。ドルコスト平均法を実践している間は、「価格が下がる=多く買う」「価格が上がる=少なく買う」ことができるため、価格変動リスクを軽減できるのです。

一度に多額のお金を用意できない人には、積立投資という手法があります。毎月3万円や5万円といったお金をコツコツと積み立てながら投資をすることは、すでにドルコスト平均法を実践していることになるのです。

ただし、そのためには定量購入と定額購入の違いを理解しておく必要があります。

ドルコスト平均法の注意点と混同しやすい投資手法

ドルコスト平均法のメリットを享受するためには、定量購入ではなく定額購入をする必要があります。定量購入では価格に関係なく同じ量を購入するため、積立の場合は毎月の購入額が変動します。一方定額購入では「3万円分」「5万円分」といったように決められた金額で買える分を購入するため、金額は一定で量が変動します。

したがって、定額購入でなければドルコスト平均法になりません。なお、ほとんどの積立投資は定額購入型です。

その他、ドルコスト平均法と混同されやすい投資手法に「ナンピン買い」があります。ナンピン買いとは、ある価格で買ったものが値下がりしたら、その価格で買い増す手法のことです。株価が1万円の時に100株を購入し、5,000円に下がった時に100株を買い増すと、平均購入額は7,500円になります。このように、値下がりしたときに買い増すこと平均価格を下げるのがナンピンですが、これは「定期購入」ではないのでドルコスト平均法とは別物です。

ドルコスト平均法が有効な投資商品

ドルコスト平均法は汎用性が高く、さまざまな投資商品で簡単に実践できます。とはいえ、ドルコスト平均法として使われているわけではなく、決められた時期に定額購入をすることで知らぬ間にドルコスト平均法を実践しているケースが多いといえます。

投資信託や株、FXなどでの実践が考えられますが、投資信託や株ではもともと積立投資ができるので、それを利用すれば自動的に定額購入ができますし、FXでも特定の通貨を定期的に定額購入していくことで、価格変動リスクを軽減することができます。(提供:Incomepress

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