人気のコーヒー店「コメダ珈琲店」を運営する株式会社コメダホールディングスの業績が好調だ。出店競争が激しい業界において、2020年2月期の上期(2019年3~8月)決算では純利益6%増を確保した。今後は海外展開に一段と力を入れる方針だ。同社の決算を深読みしていこう。

上期、純利益は6.4%増の約26億5,800万円

コメダ珈琲,業績
(画像=icosha/Shutterstock.com)

2020年2月期の第2四半期決算で株式会社コメダホールディングスの売上収益(売上高)は前年同期比3.2%増の153億2,800万円、営業利益は同6.4%増の39億3,200万円といずれも増え純利益は6.4%増の26億5,800万円と堅調な伸びをみせた。通期の業績予想も修正せず最終的な純利益は通期で過去最高となる同3.8%増の約53億1,300万円を見込んでいる。

店舗数も順調に増えているようだ。前期末から比べると「コメダ珈琲店」は835店舗から849店舗まで14店舗増加しており2019年6月に青森県で新たに出店したことで全47都道府県への進出も果たした形となった。

コメダが「Q」「S」「C」でそれぞれ実施したこととは?

株式会社コメダホールディングスは「Q:もっといいもの」「S:もっといいこと」「C:もっといいところ」という3項目でそれぞれ重点施策を打ち出している。この各項目で上期に同社がどのような施策を実施したのか、具体的に決算資料を読み解きながら説明していこう。

「Q:もっといいもの」

季節限定シロノワールとして「北海道メロン」などを販売したほか、同社が展開する夏の風物詩として人気のかき氷では、「キウイ」と「りんご」の新たなラインナップを追加した。チロルチョコとタイアップした「チロルチョコシロノワール」なども話題を呼び新商品への飽くなき追求が売上増に結びついた。

「S:もっといいこと」

一部の直営店でデリバリーサービスを開始する取り組みをスタートさせた。また働きがいのある職場を実現するために接客スキルが高い女性2人をCSOO(チーフ・ストア・オペレーション・オフィサー)とCSA(チーフ・スマイリング・アンバサダー)にそれぞれ任命し従業員の士気を高める施策も行っている。

「C:もっといいところ」

環境への配慮として同社の「コメダの森」において枯れ木や間伐材の片づけや清掃活動を実施したことも触れられている。近年注目されるCSRの取り組みにも手を抜かないコメダ。こうした多方面での取り組みがコメダのブランド力を高めているといえる。

上場後も順調に事業拡大、「Uber Eats」の導入も

株式会社コメダホールディングスは2016年6月に東証一部に上場した。過去の業績をみても順調に売上高と純利益を伸ばし続けている。2016年2月期は約217億2,100万円だった売上高は2019年2月期には約303億3,500万円まで伸び、純利益も約41億2,600万円から約51億1,700万円まで増加している。同社は今後も新メニューや季節限定商品の開発に力を入れ健康を意識した食品の提供も推進する計画のようだ。

商品を安定供給するために台湾でコーヒー工場を新たに建設するほか、工場の省人化や省力化を進めることも明らかにされている。宅配代行サービスの「Uber Eats」の導入についても発表されており、こうした新たな取り組みも積極的に進める方針だ。店舗空間を活かした活動も積極的に実施していく予定でその一例としてドコモショップのスタッフを講師として招いて開催する「コメダでスマホ教室」などが紹介されている。

海外でも攻勢、快進撃はどこまで続く?

海外展開としては、タイとミャンマーで2021年初旬までに1号店を出店する計画だ。海外ではスターバックスや中国のコーヒーチェーンなどが出店数を増やしているが、そんな中で日の丸コーヒーチェーンがどこまで存在感を高めていけるかに注目したい。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/MONEY TIMES

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