つみたてNISA(積立NISA)は長期投資になるため、日中は働いているビジネスパーソンでも無理なくできる投資方法だ。つみたてNISAをこれから始める人におすすめのネット証券や投資信託、選び方や注意点などを解説する。

目次

1.つみたてNISAの3つのメリット
2.つみたてNISAの金融機関を選ぶときの3つのポイント
3.つみたてNISAを始めるのにおすすめのネット証券5社
4.つみたてNISAでポートフォリオを組むための5つのステップ
5.つみたてNISAの資産配分サンプルをリスク許容度別に紹介
6.つみたてNISAの商品を選ぶ3つのポイント
7.つみたてNISAでおすすめの投資信託10選
8.つみたてNISAの5つの注意点
9.つみたてNISAの設定は定期的な見直しがおすすめ

1.つみたてNISA(積立NISA)の3つのメリット

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(画像=Cozine/Shutterstock.com)

つみたてNISAとは、長期の資産形成をサポートする非課税制度だ。年間に非課税で投資できる枠は40万円、非課税期間は最長20年(2037年まで)である。40万円を20年間積み立てると最大800万円まで非課税で投資できる。つみたてNISAの対象者は20歳以上の日本在住者。対象となる金融商品は、長期の積み立て・分散投資に適した条件をクリアした投資信託(ファンド)に限られる。

つみたてNISAのメリット1……運用益が非課税になる

つみたてNISAで非課税の対象になるのは、投資信託の普通分配金と値上がり益だ。通常の税率20.315%が非課税になる。なお、投資信託の分配金には元本払戻金(特別分配金)もあるが、こちらは元々非課税だ。

つみたてNISAのメリット2……少額からスタートできる

投資というとまとまった資金が必要になるイメージがあるかもしれないが、つみたてNISAは少額からの積み立てが可能だ。特に楽天証券やマネックス証券などのネット証券では最低100円からの積み立てが可能なところが多く、初心者でも始めやすい。

つみたてNISAのメリット3……いつでも換金できる

個人型確定拠出年金であるiDeCo(イデコ)では原則60歳まで積立・運用したお金を受け取ることができないが、つみたてNISAではいつでも換金して引き出すことが可能である。ただし、実際に入金されるまでには数日の期間は必要だ。

2.つみたてNISA(積立NISA)の口座を開設する金融機関を選ぶときの3つのポイント

つみたてNISAを始めるには、金融機関につみたてNISAの口座(以下「NISA口座」という)を開設する。NISA口座を開設する金融機関を選ぶためのポイントを考えたい。

つみたてNISAの手数料はどの金融機関でも差がない。つみたてNISAの対象商品のうち、ETF(上場投資信託)を除く投資信託の購入手数料は無料(ノーロード)だからだ。ETFは対象商品が7本と少なく、購入手数料がかかるため、金融機関を選ぶ際に特に考慮する必要はないだろう。

ポイント1……つみたてNISAの取扱商品数が多い

つみたてNISAの対象商品は173本に限定されている。さらに金融機関によって取り扱う商品が異なるため、NISA口座を利用している金融機関で取扱のある商品だけを購入できる。商品の取扱が豊富な金融機関を利用すれば、自分の望むポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)を組みやすくなる。

NISA口座の開設申込前に、つみたてNISAの対象商品の取扱数は確認しておきたい。できれば140本以上を取り扱う金融機関を選ぶことをおすすめする。

ポイント2……つみたてNISAの積立金の引き落とし方法に希望するものがある

つみたてNISAの資金引き落とし方法には、証券総合口座、銀行口座、クレジットカードがあり、金融機関により対応する方法が異なる。

証券取引に慣れている人であれば証券総合口座の利用に手間は感じないだろう。しかし、不慣れであれば、銀行口座からの引き落としのほうが楽かもしれない。クレジットカードからの引き落としは楽天カードを利用できる楽天証券などに限られている。

資金の引き落とし方法に希望があれば、その方法を選ぶことができる金融機関にNISA口座を開設したい。

ポイント3……サービスやツールが使いやすい

つみたてNISAの最低積立金額は、100円からや1000円からなど金融機関によってサービスが異なる。

提供しているツールも金融機関によって違う。つみたてNISAの対象商品を絞り込むツールや積立設定ツール、つみたてNISAの投資をサポートするスマホアプリなど、見やすさや使いやすさは様々だ。NISA口座を開設する前に、サービスやツールなどを確認しておくといいだろう。

3.つみたてNISA(積立NISA)を始めるのにおすすめのネット証券5社

つみたてNISAの取扱商品数が100本以上あるネット証券を5つピックアップしよう。

SBI証券……つみたてNISA取扱商品最多レベルの153本、国内ネット証券最大手

つみたてNISA対象商品数:153本
最少積立金額:100円

SBI証券は国内ネット証券で口座開設数が1位の最大手だ。つみたてNISA取扱商品数は最多レベルの153本。積立の設定は、「毎月」以外に「毎週」や「毎日」があり、時間分散投資を細かく行うことができる。

SBI証券では、つみたてNISAの設定のために専用画面を用意しているのも特徴だ。専用画面ではグラフを用いてNISA投資可能枠の利用状況をひと目で把握でき、複数銘柄の積立設定を一括でできるなど使いやすさにこだわっている。つみたてNISA投資枠を残らずに使いきる注文方法「NISA枠ぎりぎり注文」を利用すれば、積立金額設定の微調整が不要になる。

SBI証券のスマホアプリ「かんたん積立アプリ」では、その人に適した投資スタイルを提案する積立スタイル診断を提供し、見やすい画面で資産運用の管理をしやすい。つみたてNISAの設定もアプリから行うことが可能だ。

楽天証券……つみたてNISA取扱商品最多レベル152本、楽天ポイントが貯まる

つみたてNISA対象商品数:152本
最少積立金額:100円

楽天証券もつみたてNISA対象商品の取扱数が152本と最多レベルだ。つみたてNISAの積立頻度は「毎月」の他に「毎日」も選ぶことができる。

楽天証券の大きな特徴はポイント制度があることだ。口座開設や取引、さらには投資信託を保有しているだけでポイントが貯まる。2018年9月30日からはポイントで積立投資もできるようになり、2018年10月27日からは、積立方法を楽天カードのクレジット決済にすることで楽天カードのポイントも貯まる。

つみたてNISAの設定では、複数の投資信託をまとめて設定できる。これにより投資信託をひとつずつ設定する手間が省ける。

松井証券……つみたてNISA取扱商品が149本と豊富、情報ツールも充実

つみたてNISA対象商品数:149本
最少積立金額:100円

松井証券のつみたてNISA対象商品も149本と豊富だ。松井証券の特徴はツールが充実していることだ。利用料無料の「投信工房」は、簡単な質問に答えるだけでロボアドバイザーが投資信託のポートフォリオ(商品の組み合わせ)の提案から運用までトータルでサポートしてくれる。

松井証券ではスマホアプリの「投信アプリ」も無料で利用できる。アプリならではの操作性の良さでスムーズな取引ができ、資産状況は円グラフや折れ線グラフで簡単に把握できる。基準価額や約定通知などのお知らせはプッシュ通知でも受信可能だ。

松井証券はサポート体制も充実している。会員画面からの問い合わせなら24時間受け付けてくれる。電話からの問い合わせ(営業時間内)も気軽に利用できる。

カブドットコム証券……対象商品は150本と充実、現物株取引手数料最大5%割引あり

つみたてNISA対象商品数:150本
最少積立金額:100円

カブドットコム証券の対象商品も150本と充実。カブドットコム証券に証券口座があれば、つみたてNISAの口座開設はオンライン上でスピーディーに完結する。

NISA口座(ジュニアNISAを除く)を開設すると、通常の口座(一般・特定口座等)での現物株式の取引手数料が最大5%割引になる「NISA割」が適用される。NISA割は他の割引とも併用可能で、お得に取引ができる。

投資初心者向けには「FUND DRESS」というユニークなサービスがあり、つみたてNISA対象商品の選択を支援してくれる。30着のなかから直感でドレスを選ぶと、色彩心理に基づき価値観を判断し、その人に合った金融商品を選んでくれるものだ。

マネックス証券……対象商品は149本、資産設計アドバイスツールを利用可

つみたてNISA対象商品数:149本
最少積立金額:100円

マネックス証券のつみたてNISA対象商品も149本と多い。証券総合口座に入金しておかなくても、引き落とし手数料無料(月々1,000円から)で銀行等の金融機関の口座から積み立てが可能だ。毎月一定額が自動でNISA口座へ入金される「定期自動入金サービス」も入金手数料無料で利用できる。

また、マネックス証券には「MONEX VISION β」という資産設計アドバイスツールがあり、一人ひとりに合わせた資産設計をアドバイスしてくれる。将来のリターン予測など、最新の金融工学理論を用いて資産設計をサポートしてくれる。このツールでは、現在の資産状況をグラフで分かりやすく確認でき、投資の目標ごとに診断とアドバイスを得ることができる。

4.つみたてNISA(積立NISA)でポートフォリオを組むための5つのステップ

つみたてNISAは投資初心者でも始めやすい制度だが、100本を超える金融商品からどれを選ぶべきか迷うかもしれない。長期投資では一般的に以下のようなステップで資産配分やポートフォリオを決めていく。

ステップ1……投資の目的を決める

投資の目的は、家のリフォーム費用や子供の教育資金、自分の老後資金など様々あるはずだ。

ステップ2……投資のゴールの時期と資産額を明確にする

目的が決まれば、目標額と時期が明確になる。例えば、目的を老後資金として、2,000万円を20年後につみたてNISAでつくることを目指す、というようなものでいいだろう。

ステップ3……目標にする利回りを決める

投資で形成予定の資産額と時期から目標となる利回りを決める。目標利回りが低いならリスク許容度は低く(ローリスク・ローリターン)、高い利回りを期待するならリスク許容度は高くなる(ハイリスク・ハイリターン)。許容できるリスクにあわせて調整しよう。

ステップ4……資産配分を決める

目標利回りとリスク許容度が決まったら資産配分を決める。リスク許容度が低いなら債券主体の資産配分になり、リスク許容度が高いなら株式主体の資産配分になるだろう。

ステップ5……ポートフォリオを決める

資産配分が決まったら資産配分に合う投資信託を選び、ポートフォリオを組む。

5.つみたてNISA(積立NISA)の資産配分サンプルをリスク許容度別に紹介

リスク許容度別につみたてNISAの資産配分の例を3つ紹介しよう。資産はリスクが低い順から、国内債券、海外債券、海外株式、国内株式の4つで資産配分を構成することにする。海外の債券や株式を先進国と新興国に分割したり、リート(REIT:不動産投資信託)を追加したりしてもよい。

リスク許容度<大>……目標利回り7%、リスクをとって利益を狙う

高めのリスクを許容しても利益を狙いたい場合は、株式を主体に資産配分を組む。目標利回り7%の資産配分例を示す。

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国内株式15%、海外株式60%、国内債券5%、海外債券20%

リスク許容度<中>……目標利回り5%、リスクと利益のバランスを重視

リスクと利益のバランスを重視するなら、債券と株式とでバランスがとれるような資産配分にする。目標利回り5%の資産配分例を示す。

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国内株式10%、海外株式40%、国内債券20%、海外債券30%

リスク許容度<小>……目標利回り3%、リスクを抑えて利益よりも安定を重視

利益よりも安定を望むなら、株式よりもリスクが低い債券主体の資産配分にする。目標利回り3%の資産配分例を示す。

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国内株式10%、海外株式20%、国内債券30%、海外債券40%

つみたてNISAでは債券主体のポートフォリオは組みにくい

つみたてNISAの対象商品は株式主体の投資信託がほとんどだ。債券を組み込むバランスファンドでも、債券の比率が高い投資信託は非常に少ない。よってつみたてNISAでは、株式主体のポートフォリオは組みやすいが、債券主体のポートフォリオは組みにくい。債券主体のポートフォリオを組むのであれば、iDeCo(個人型確定拠出年金)や課税口座(特定・一般口座)を併用し、これらで債券への投資を補うのが現実的だと言える。

つみたてNISAの資産配分を簡単に決める方法

先ほど資産配分の決め方を紹介したが、いきなり決められないと感じる人もいるだろう。そのような場合には、金融機関が提供する資産配分を提案してくれるツールを利用しよう。

様々な金融機関で、いくつかの質問に答えるだけで資産配分を提案してくれるツールが提供されている。ロボアドバイザーを活用した無料診断として提供されるケースが多く、つみたてNISA向けでないツールであっても、配分の参考になり、大いに役に立つはずだ。

つみたてNISA用のツールなら、SBI証券の「つみたてNISAシミュレーション」がある。このツールはSBI証券に口座がなくても無料で利用可能だ。投資の目的を選び、運用期間、毎月の積立金額、目標利回りを入れることで資産配分を提案してくれる。さらに、その資産配分に適合する具体的な投資信託まで選んでくれる。

6.つみたてNISA(積立NISA)の商品を選ぶ3つのポイント

つみたてNISAの対象商品は、販売手数料や信託報酬などについて金融庁の要件をクリアしたものに厳選されており、初心者でも大きく失敗することが少ない。それらの商品のなかから購入する商品を選ぶには、以下の3つのポイントをチェックしよう。

つみたてNISAの商品選びのポイント1……信託報酬が低い

信託報酬は投資信託を保有している間にかかり続けるコストであるため、低いほうが望ましい。特に長期投資では、信託報酬のわずかな違いが将来の資産の大きな違いになることがある。

例えば、毎月3万円を20年間積立投資した場合に、信託報酬が0.1%と1.0%の2つの投資信託に投資した場合を比較する。2つの投資信託の利回りを5%とすると、実質利回りは信託報酬を引いた4.9%と4.0%になる。20年後の資産額は次のようになる。

実質利回り4.9%の場合:積立投資の結果1,204.1万円
実質利回り4.0%の場合:積立投資の結果1,091.5万円

この例のように、信託報酬0.9%分の違いで100万円以上の差が出ることが分かる。

つみたてNISAの商品選びのポイント2……運用成績がいい

投資信託は運用成績が良いと基準価額が上昇し、運用成績が悪いと基準価額が下落する。投資信託を選ぶ際には過去の運用成績がいいものを選びたい。可能であれば3年以上の運用状況を確認し、中長期での運用成績がベンチマークとなる指数(日経平均株価やダウ平均株価など)と比較して悪くないかを見ておきたい。

特にアクティブ型の投資信託は運用責任者(ファンドマネージャー)の手腕により成績が大きく上下することがある。こうしたアクティブ型でもベンチマークとなる指数が設定され、ベンチマークとの比較が月次レポートなどに記載されているため、必ず確認しておきたい。

つみたてNISAの商品選びのポイント3……純資産総額が大きく、増加傾向にある

純資産総額とは、投資家により投資された資金の合計であり、投資信託の規模を表す。投資信託を安定して運用するには、ある程度の規模が必要であるため、純資産総額が大きい投資信託を選びたい。純資産総額のひとつの目安は30億円以上である。

また、純資産総額が減少傾向である場合、資金が流出してファンドの運営成績が悪くなる可能性がある。純資産総額が増加傾向であることも確認しておきたい。

7.つみたてNISA(積立NISA)でおすすめの投資信託(ファンド)10選

つみたてNISAの対象商品は170本ほどある。そのなかから、上述の選び方のポイントを踏まえおすすめの投資信託(ファンド)を紹介する。

紹介する内容として「分類」、「資産クラス」、「信託報酬」の情報を記載する。「分類」はインデックス型かアクティブ型を示す。「資産クラス」とは、投資対象の資産(アセット)の分類であり、資産配分のどの資産を組み込んでいるかを表す。

上述したおすすめネット証券で購入できるおすすめのファンドのうち、投資リスクが低いものから順に紹介しよう。(※データは11月11日時点)

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)

分類:インデックス型
資産クラス:国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内リート、先進国リート(各12.5%)
信託報酬:年0.154%(税込)以内

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は、世界の株式、債券、リート(不動産投資信託)の8つの資産クラスに分散投資するファンドである。

組入上位通貨は、日本円が37.7%、アメリカドル26.2%、ユーロ6.9%と続く。純資産総額は333.77億円で販売ランキング上位の人気ファンドだ。

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の投資リスクは株式と債券の間になり、株式に比べ安定した運用を期待できる。複数の資産クラスに分散投資するバランスファンドのなかでは信託報酬が最低レベルである点もポイントだ。

<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランス(4資産均等型)

分類:インデックス型
資産クラス:国内株式、先進国株式、国内債券、先進国債券(各25%)
信託報酬:年0.1512%(税込)

4つの資産クラスに分散投資し、国内外の株式市場および債券市場に連動するように目指したファンドである。地域別では日本の資産が50%、先進国の資産が50%の比率だ。

先進国株式の組入上位国は、アメリカ68.7%、イギリス6.0%、フランス4.1%で、先進国債券の組入上位国は、アメリカ47.7%、フランス9.9%、イタリア9.1%と続く。純資産総額は3,228億円であり、増加傾向である。

資産は株式と債券が半々の比率であり、投資リスクは株式と債券の中間になる。こちらもバランスファンドのなかでは信託報酬が最低レベルだ。

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)

分類:インデックス型
資産クラス:海外株式(米国)
信託報酬:年0.088%(税抜)以内(※2019年11月12日より適用)

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、アメリカの株式へ投資することで、S&P500指数(ニューヨーク証券取引所やNASDAQ等に上場する米企業から代表的な500銘柄で構成)に連動する運用成績を目指すファンドである。

組入資産上位銘柄は、マイクロソフト4.1%、アップル3.6%、アマゾン・ドット・コム2.8%、フェイスブック1.7%など世界を代表する企業が並び、組入銘柄数は505である。ファンドの運用開始は2018年7月と比較的新しいため純資産総額は約302.04億円と少なめだが、販売ランキング上位で純資産総額は増加傾向である。

株式のみへ投資するファンドのなかではリスクが低めである。指標であるS&P500は、過去の実績では長期で安定して成長している。

<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド

分類:インデックス型
資産クラス:海外株式(先進国)
信託報酬:年0.10989%(税込)

<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドは、日本を除く主要先進国の株式に投資するファンドで、1,300あまりの銘柄に分散投資している。

国別の主要な資産は、アメリカ68.7%、イギリス6.0%、フランス4.1%と続く。組入上位3銘柄は、マイクロソフト2.7%、アップル2.7%、アマゾン・ドット・コム1.9%である。純資産総額は1,332億円で、販売ランキング上位の人気ファンドだ。

信託報酬が約0.11%と最低レベルなのもおすすめポイントである。

eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)

分類:インデックス型
資産クラス:海外株式(先進国、新興国)
信託報酬:年0.104%(税抜)以内(※2019年11月12日より適用)

eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)は、日本を除く先進国と新興国の株式等への投資を行うファンドである。

主要な資産は先進国株式が87.6%と大部分を占め、新興国株式は12.4%である。純資産総額は85.21億円で増加傾向だ。信託報酬も最低レベルである。

全世界株式(除く日本)という名称だが、株式比率から分かるように先進国株式が9割近い。先進国株式に新興国株式を加えることで、先進国株式よりもリスクが高めになっている。

eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)

分類:インデックス型
資産クラス:国内株式
信託報酬:年0.154%(税込)以内

eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)は、国内株式の日経平均株価(225銘柄)への連動を目指して運用されているファンドであり、国内株式へ投資するファンドとして信託報酬は最低レベルだ。

主要な資産の業種は、全33業種のうち電気機器、小売業、情報・通信業の3業種で42.7%を占める。銘柄別ではファーストリテイリング10.4%、ソフトバンクグループ4.1%、東京エレクトロン3.3%と続く。2018年2月から運用されている比較的新しいファンドであり、純資産総額は24.17億円で増加傾向だ。

日経平均株価を構成する国内225銘柄への分散投資になるため、資産クラスが国内株式の投資信託を選ぶのであれば有力な候補となる。

<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド

分類:インデックス型
資産クラス:国内株式
信託報酬:年0.154%(税込)以内

<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンドは、国内株式のTOPIX(東証一部の全銘柄が対象)への連動を目指して運用されているファンドである。こちらの信託報酬も国内株式へ投資するファンドとしては最低レベルだ。

主要な資産の業種は、電気機器、情報・通信業、輸送用機器の3業種で30.4%を占める。銘柄別ではトヨタ自動車3.5%、ソニー1.9%、三菱UFJフィナンシャル・グループ1.6%と続く。純資産総額は251億円で増加が続いている。

東証一部の全銘柄へ投資することになり、日経平均株価よりも多くの銘柄へ分散投資できることになる。

eMAXIS Slim 新興国株式インデックス

分類:インデックス型
資産クラス:海外株式(新興国)
信託報酬:年0.2079%(税込)以内

eMAXIS Slim 新興国株式インデックスは、新興国の株式に投資するファンドであり、対象インデックスでの国別割合はケイマン諸島15.6%、韓国11.5%、中国11%、台湾10.9%、インド8.6%、ブラジル7.3%、南アフリカ4.5%と続く。

組入上位銘柄は、テンセント4.3%、アリババグループ4.2%、台湾セミコンダクター3.9%と続く。純資産総額は195.3億円であり、増加傾向が続いている。

新興国株式は先進国株式よりもリスクが高い傾向があるため、資産配分での海外株式の一部として、先進国株式のファンドと組み合わせての購入などを検討しよう。

フィデリティ・欧州株・ファンド

分類:アクティブ型
資産クラス:海外株式(欧州)
信託報酬:年1.65%(税込)

フィデリティ・欧州株・ファンドは、欧州株式の代表的な株価指数MSCIヨーロッパ・インデックスをベンチマークとし、長期的にベンチマークを上回る運用成績をあげることを目標に運用されるアクティブファンドだ。

組入上位銘柄は、SAP 5.2%、エクスペリアン5.1%、グリフォルス4.0%と続く。純資産総額は189.2億円であり2012年頃から増加傾向だ。

過去の運用成績をベンチマークと比較すると、3年前、1年前、6ヶ月前、3ヶ月前、直近1ヶ月と全てでベンチマークを上回る運用成績をあげている。北米と日本を除く先進国株式へ積極的な投資をするなら検討したいファンドだ。

ひふみプラス

分類:アクティブ型
資産クラス:国内株式、海外株式
信託報酬:年1.0780%(税込)

ひふみプラスは国内外の株式に対し、市場価格が割安と考えられる銘柄を選別し、長期的な投資を行うアクティブファンドだ。

資産構成は、国内株式83.8%、海外株式13.9%、現金等2.3%。組入上位銘柄は、協和エクシオ2.3%、東京センチュリー2.2%、ネットワンシステムズ2.0%と続く。純資産総額は5,808.6億円と、6,000億円近い大規模ファンドである。

過去の運用成績をベンチマークとするTOPIXと比較すると、1年前からの成績は若干劣るものの、3年前はTOPIXを大きく上回る運用成績を残している。リスクをとって積極的な投資を選ぶなら検討したいファンドである。

8.つみたてNISA(積立NISA)の5つの注意点

つみたてNISAは、投資初心者でも始めやすい投資であるが注意点もある。

つみたてNISAの注意点1……元本割れの可能性がある

つみたてNISAは、資金を積み立てて投資信託を購入していく。投資信託はリスク商品であるため、積み立てた総額よりも評価額が低下し、換金した際に元本割れすることがある。投資はリスクをとってリターンを狙うものであるため、リスクを理解したうえで行いたい。

つみたてNISAの注意点2……損失を損益通算(他の利益との相殺)できない

通常の証券口座(特定口座や一般口座)で投資信託の損失が出た場合は、他の証券口座の利益と損益通算できる。しかし、つみたてNISAでは他の証券口座との損益通算はできない。

つみたてNISAの注意点3……損失を繰越控除できない

通常の証券口座にて損失が出たら、繰越控除により3年間損失を繰り越すことができ、翌年以降の利益と相殺できる。しかし、つみたてNISAでは繰越控除はできない。

つみたてNISAの注意点4……投資信託の分配金再投資は非課税枠を使うことになる

つみたてNISAでは投資信託の分配金を再投資するように設定できる。気をつけたいのは、分配金の再投資は非課税枠を使ってしまうことだ。

例えば、月々3万3,000円の積立投資をしていると、年間では39万6,000円の非課税枠を使うことになり、残る非課税枠は4,000円(年間非課税枠40万円-39万6,000円)である。この場合、つみたてNISAでの再投資は年間4,000円分しかできないことになる。非課税枠を超えた分の買付は課税口座(特定・一般口座)で自動的に行われることになるので気をつけたい。

そのため、そもそも分配金がない投資信託を選んだほうがよいだろう。分配金が支払われない投資信託では、その分の資金が投資信託の内部で活用されることになる。

つみたてNISAの注意点5……スイッチング(預け替え)によるリバランスはできない

つみたてNISAのような長期投資は、資産配分の計画を元に金融商品を購入するのが一般的である。購入した資産は、時と共に配分が変化することがある。このとき保有資産を再配分することをリバランスという。

リバランスをするのは、保有資産の配分変化により変わってしまうリスク許容度を元に戻すためである。

リバランスを簡単に行うには、保有している投資信託の一部を換金して別の投資信託を購入する方法があり、それをスイッチング(預け替え)と呼ぶ。

例としては、外国株式と外国債券を1対1の比率で購入していた場合に、外国株式の基準価額上昇により保有資産が2対1の比率になったとする。この場合は外国株式の25%を換金し、その資金で外国債券を購入すれば(2-0.5)対(1+0.5)の同比率へリバランスできる。

しかし、つみたてNISAでは投資信託を換金するとその非課税枠は再利用できないため、投資信託を買い換えると今年の未使用の非課税枠を使うことになる。つまり、つみたてNISAでは非課税枠を継続する形でのスイッチングはできないことになる。

つみたてNISAでリバランスするには、投資信託の購入比率を変更し、時間をかけて資産配分を調整することが現実的である。

9.つみたてNISA(積立NISA)の設定は定期的な見直しがおすすめ

つみたてNISAは最長20年間にわたり非課税枠を利用できる長期投資に適した制度だ。積立の設定を一度したらそのままにするのではなく、できれば定期的に保有資産の運用成績と資産配分を見直したい。

見直し頻度は、毎月の月間レポートが発行されるタイミングや、四半期ごとや半年ごとなど、自分なりのスケジュールを決めて行うのがいいだろう。

見直しの結果、もし運用成績が長期的な視点からみて良くなければ、購入する投資信託の変更を検討したい。また、もし保有資産の配分が計画した資産配分と大きな差が生じた場合には、購入する投資信託の比率調整などによるリバランスを検討したほうがいいだろう。

文・松本雄一(ビジネス・金融アドバイザー)/MONEY TIMES

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