岡三オンライン証券は近年IPOの取扱銘柄数を増やしていることで注目されている。岡三オンライン証券のIPOで一番の特徴は、資金の事前入金が不要な点だ。岡三オンライン証券のIPO投資の特徴を詳しく見ていこう。

岡三オンライン証券は近年IPO取扱銘柄数を増やしている

岡三オンライン証券,IPO
(画像=stavklem/Shutterstock.com)

岡三オンライン証券は岡三証券グループの子会社だ。岡三オンライン証券の2009~2018年のIPO取扱数は以下の表の通りである。

<2009~2018年(10年間)の岡三オンライン証券IPO取扱銘柄数>

年度 取扱銘柄数
2009年 0
2010年 0
2011年 0
2012年 0
2013年 1
2014年 11
2015年 10
2016年 6
2017年 23
2018年 48

※岡三オンライン証券の公式サイトをもとに筆者作成

岡三証券グループは口座開設数増加のためIPO投資に力を入れており岡三オンライン証券との連携を強化している。岡三オンライン証券は2013年10月からIPOの取り扱いを開始したため、2012年以前は件数が0だ。取扱開始後は2017年ごろからIPO取扱件数が急増し、2018年には48銘柄と大幅に取り扱いを増やしている。2019年の実績は10月30日時点で29銘柄だ。

2019年のIPO個別銘柄の取扱状況は以下の通りである。(2019年10月末時点)

<岡三オンライン証券の2019年IPO取扱銘柄>

上場日 証券コード IPO取扱銘柄
2月26日 4429 リックソフト
2月27日 4430 東海ソフト
2月28日 4431 スマレジ
3月12日 7673 ダイコー通産
3月13日 4434 サーバーワークス
3月18日 7058 共栄セキュリティーサービス
3月19日 4436 ミンカブ・ジ・インフォノイド
3月20日 7060 ギークス
3月25日 4437 gooddays HD
3月28日 7062 フレアス
3月28日 7061 日本ホスピスHD
3月29日 7063 エードット
3月29日 4438 Welby
4月3日 4439 東名
4月25日 4441 トビラシステムズ
6月4日 2974 大英産業
6月19日 2976 日本グランデ
6月20日 7066 ピアズ
6月25日 4444 インフォネット
6月27日 7678 あさくま
7月18日 4446 Link-U
8月9日 4599 ステムリム
9月12日 4447 ピー・ビーシステムズ
9月19日 7870 アミファ
9月20日 4449 ギフティ
10月8日 4475 HENNGE
10月18日 7682 浜木綿
10月18日 4691 ワシントンホテル
10月24日 7072 インティメート・マージャー

※岡三オンライン証券の公式サイトをもとに筆者作成

岡三オンライン証券のIPOは最大3回抽選で大口顧客に有利

岡三オンライン証券ではIPOの申込者数が配分単位数より多い場合、すべて抽選で割り当てが決定される。ただし抽選は1度ではなく同社の利用度によって最大3回まで抽選に参加できる。抽選にはステージ制が導入されておりステージに応じて最大3回抽選が可能だ。各ステージの条件は以下の表の通りである。

ステージの種類 判定基準
ステージS 判定期間中に一度でも信用取引手数料優遇コース
「プレミアゼロ」または「プラチナ」が適用または、
判定期間中の手数料合計が100万円以上
ステージA 判定期間中の手数料合計が10万円以上100万円未満
ステージB 判定期間中の手数料合計が10万円未満

※岡三オンライン証券の公式サイトをもとに筆者作成

抽選 対象ステージ
第1抽選 ステージS
第2抽選 ステージSおよびステージA
第3抽選 全ステージ(ステージS、ステージAおよびステージB)

※岡三オンライン証券の公式サイトをもとに筆者作成

同社のIPOの規定によると3つの抽選で割り当てられる株数は事前に決められている。第3抽選が全体の株数の10%以上、第2抽選、第1抽選が第3抽選の割当分を引いた残りを半分ずつにした数だ。具体的な数字は不明だが第2抽選、第1抽選に多くの株数が割かれていると予想される。誰にでも当選の可能性はあるが大口顧客であるステージSの人は最大3回まで抽選に参加できるため、より有利な抽選方式といえるだろう。

同様の大口顧客優遇は松井証券などが一部実施しているものの大手ネット証券では完全平等抽選を実施しているところが多く同社のような制度はネット証券では少数だ。抽選方法は抽選対象者ごとにシステム的に番号(乱数)が付けられ、その番号を対象に抽選が実施される。抽選の際、IPOの申込者が少ない場合は全員に配分され余った株はより多くの株数を申請した人に割り振られることになっているのだ。

岡三オンライン証券のIPO申し込みは事前入金不要

岡三オンライン証券のIPO最大の魅力は事前入金が不要な点である。一般的な証券会社ではIPO抽選の前に当選・落選にかかわらず購入資金を入金する必要があるが同社では不要だ。松井証券やライブスター証券も事前入金は不要だが取扱銘柄数の点では岡三オンライン証券が他社に比べ圧倒的に多い。事前入金が不要なため、口座に残高がない場合でも誰でも気軽にIPO抽選に申し込むことができる。

ただし当選した場合には、入金締切日の15時までに十分な残高が口座にないと当選失効となるので注意しよう。

岡三オンライン証券のIPO申し込みから抽選後までの流れ

岡三オンライン証券のIPO申し込みの流れは以下の通りだ。

1. 抽選申込(需要申告)
抽選参加希望の場合はログイン後に目論見書を確認し需要申告(ブックビルディング)をする必要がある。

2. 抽選結果の確認
抽選後はログイン後の画面に抽選結果が表示される。ただし当選者と補欠当選者のみへの連絡となっている。

3. 残高確認と入金
当選者および補欠当選者は入金締切日の15時までに購入に必要な金額を入金する必要がある。入金がなされないと当選の権利が失効してしまうので注意しよう。

4. 購入申し込み
購入申し込み期間中に「IPO/PO購入申込・辞退画面」で購入の意思表示をする必要がある。

5. 約定
1~4のすべての手続きが完了した後、約定となる。

岡三オンライン証券のIPO投資はメリットが多い

岡三オンライン証券のIPOでの一番のメリットは事前入金が不要で取扱銘柄数も多い点だろう。ただ抽選は完全平等抽選ではないので注意が必要だ。また同社ではNISA口座でのIPO投資も可能となっている。IPO のスケジュールは公式サイトで確認できるので定期的にチェックしておきたい。IPO投資に取り組みたい人はぜひ口座開設を検討してみよう。

文・右田創一朗(元証券マンのフリーライター)/MONEY TIMES

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