「外貨運用」と聞くと、どのような商品を思い浮かべるだろうか。代表的なものとしては外貨預金、外貨MMF、外国債券、FX、外貨建て年金保険、外貨建て終身保険などが挙げられる。

投資信託を活用して長期的に資産形成を促す「つみたてNISA」や「iDeCo」といった国の制度が充実してきたなか、投資信託を通じて外貨運用 (海外資産に投資) する方法をおさらいしよう。

投資信託を活用する狙い

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(写真=PIXTA)

投資信託を活用するメリットとして挙げたいのは、投資対象のリサーチ等を運用者にアウトソースできる点だ。自分が調査する場合にかかる情報収集・分析時間が短縮できる。投資信託を通じて投資できるアセットクラスは多く、株式・債券・不動産・コモディティ等さまざま。タイプによってはひとつの投資信託で複数のアセットクラスに分散投資をすることもできる。

海外資産に投資できる投資信託について、「円建て・外貨建て」の観点から整理しよう。

円建て投資信託とは ? 「為替ヘッジあり」「為替ヘッジなし」

円建て投資信託は、決済通貨として円を用いるもの。

海外資産を購入するため、対象資産の価格変動リスクに加え、為替変動リスクが発生する。為替変動の影響を避けるために、為替の先物取引やオプション契約を利用して損失を回避する「為替ヘッジ」の手段がある。海外資産に投資する投資信託の中には、為替ヘッジをおこなうファンド (為替ヘッジあり) と為替ヘッジをおこなわないファンド (為替ヘッジなし) が存在する。

為替ヘッジをおこなう投資信託には「ヘッジコスト」がかかることになる。具体的には、外貨 (投資対象の通貨) と円との金利差がコストとなる。金利が「外貨<円」の場合にはコストがかからずその差が収入 (リスクプレミアム) となるが、「外貨>円」の場合にはその差がコストになる。投資対象の通貨が高金利の場合、その分コストが大きくなる点には注意が必要だ。為替変動リスクを軽減できる一方、為替差益が限定される点には注意したい。

外貨建て投資信託とは ?

外貨建て投資信託は決済通貨として外貨を用いるもの。

投資をするためには、証券会社で「外国証券取引口座」の開設が必要となる。また、取扱会社によっては投資信託を購入する前にそのファンドの申込通貨を事前に口座に準備しておく必要がある。このため、申込通貨を購入した時の為替レート (プラス為替スプレッド) が損益分岐の目安となる。

投資対象は国内で販売されている投資信託と同様、海外の株式・債券・不動産・コモディティなどさまざまで、中には日本を投資対象としているファンドもある。販売用資料や交付目論見書も日本語で準備されており、投資対象やポートフォリオ、運用実績なども確認できる。

分配金や売却代金は外貨で受け取る場合は外国証券取引口座で受け取ることになる。
分配金は源泉分離課税 (外国株式投資信託の場合は配当所得、外国公社債投資信託の場合は利子所得) 、譲渡益償還差益が出た場合には申告分離課税 (外国株式投資信託、外国公社債投資信託ともに譲渡所得) が適用され、それぞれ所得税・住民税の対象となる。外貨建て投資信託で運用した場合、譲渡 (償還) ではその時点の為替を考慮した金額を確認することになる。

外貨で運用した資産は外貨のまま活用することも検討

外貨で運用する場合には、円に換えるのではなく外貨のまま投資資金とすることもできる一方、証券口座から銀行口座へ送金したい場合には手数料がかかる場合もある。証券会社と銀行が同一のグループ会社である場合など、口座間の振り替えが無料の金融機関や、海外でも口座にある外貨を利用できるサービスのある金融機関を選択すれば、海外旅行やショートステイ時などに活用することもできる。増えた資産を為替変動を気にせずに利用できることも知っておきたい。(提供:大和ネクスト銀行

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