2019年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられる。消費税率の引き上げにより、消費者の負担ばかりが増える印象があるかもしれないが、負担を軽減するための制度改正も用意されている。主な内容について紹介しよう。 (本記事において、消費増税前は8%、消費増税後は10%の税率を指す)

住宅関連の制度改正について

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(写真=PIXTA)

●「住宅ローン減税」の控除期間が10年から13年へ延長

住宅ローン減税は、返済期間が10年以上などの一定の要件を満たした住宅ローンを契約すると、住宅ローン控除を適用することができる制度。消費増税前の控除期間は10年間、控除額は年末借入残高 (一般住宅の上限は4,000万円) の1%だった。

消費税増税後、消費税率10%が適用される住宅を購入し、2019年10月1日から2020年12月31日までの間に入居した場合、控除期間は10年から13年に延長される。控除額は、延長される11年目から13年目までの各年で、一般住宅の場合、「年末借入残高 (上限4,000万円) の1%相当額」または「建物購入価格の2%を3等分した額 (2%÷3年) 」のいずれか小さい額となる。

●「すまい給付金」の給付基礎額が引き上げ、給付対象者の拡大

「すまい給付金」は、住宅取得者に対して給付金を支払うことで、消費税率引き上げによる負担を緩和するための制度。消費増税前の対象者は、収入額 (目安) が510万円以下であったが、消費税増税にともない775万円以下に拡充され、給付額は最大30万円だったものが最大50万円に引き上げられる。

●「贈与税非課税措置」で、住宅資金の贈与の非課税枠が拡大

父母や祖父母などの直系尊属から住宅資金を贈与された場合、消費増税前は贈与額1,200万円まで贈与税が非課税となっていたが、消費増税後は3,000万円に引き上げられる。

自動車関連の制度変更について

●自動車取得税の廃止、環境性能割が導入され燃費のいいクルマほど税が軽減

消費増税前に自家用車を購入すると、原則として登録車3%、軽自動車2%の自動車取得税が課税されていたが、消費税引き上げと同時に廃止され、「環境性能割」が導入される。

環境性能割とは、燃費性能に応じて課税する仕組みで、税率は登録車0~3%、軽自動車0~2%だ。例えば、電気自動車は非課税となる。非課税とならなかった場合、2019年10月1日から2020年9月30日までの1年間は環境性能割の税率から1%軽減される。

●新車を購入した場合、自動車税が毎年減税される

毎年4月1日時点の車検証上の所有者に対し、排気量に応じて毎年課税される税金が「自動車税」だ。消費増税前に2019年10月以降に排気量が1,500cc超2,000cc以下の自家用車を購入した場合の税額は39,500円だったが、36,000円に引き下げられる。排気量が小さいほど引き下げ額が大きくなり、1,000cc以下の場合には4,500円引き下げられる。2,500cc超の場合は1,000円引き下げられる。

幼児教育関連

2019年10月1日以降、3歳から5歳までの全ての子供の幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料が無償化される。

0歳から2歳の子供については、住民税非課税世帯を対象として無償化され、幼稚園については満3歳 (3歳になった日) から、保育所については3歳児クラス (3歳になったあとの最初の4月以降) から無償化される。なお、通園送迎費や食料材料費、行事費などの実費は無償化の対象とはならない。また、幼稚園の預かり保育や認可外保育施設などを利用している場合も上限付きで無償化される。

空き家の譲渡所得3,000万円特別控除が4年間延長される

不動産などを売却すると売却益 (譲渡所得) に対して所得税と住民税が課税される。そのため、相続した家が空き家になったまま放置されることが多くなり、相続時から3年を経過する日が属する年の12月31日までに売却すると、売却益から3,000万円が控除される特例があった。売却益が3,000万円を超えなければ課税されない仕組みだ。

本来2019年12月31日までの時限措置だったこの特例は、2023年12月31日まで延長された。また、亡くなった親等が亡くなる直前に住んでいた家が対象だったが、一定要件を満たせば老人ホーム等に入居していても対象とされることになった。

どのような制度改正があるのか、見逃しが無いように

消費税率の引き上げにより、何かを購入したりする際の負担が増えるのは事実だ。だが同時に負担を緩和するための改正もなされている。どのような改正があるのか、自身が対象となるのかどうかを確認しながら、うまく制度を活用していただきたい。(提供:大和ネクスト銀行

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