前日については、再びヘッドラインに右往左往するマーケットになりました。「米中貿易協議の第1段階において制裁関税の一部撤回で合意に近づいている」との報道から昨日はリスクオンの動きが強まり、一時ドル円は108.995円まで上値を拡大しましたが、これまで、マーケットにはあまり影響を与えてこなかったトランプ大統領の弾劾審理では、ペロシ米下院議長が「米下院はトランプ大統領の弾劾訴追状を作成」と発言すると、トランプ大統領に対する弾劾の動きを嫌気した売りが優勢となり、ドル円は108.659円まで下落しました。

その後、トランプ大統領が「中国との交渉は順調に進んでいる」「15日の対中関税発動、様子を見守る必要」と発言すると、制裁関税の一部撤回の期待が強まり、ドル円はやや反発したものの、すぐさまヘッドラインにて「米中は米国産農産物の購入額を巡り依然として対立している」との報道があったことから、先行き不透明感が未だ拭えず、ドル円は上値の重い展開になりました。

ポンドについては、保守党が単独過半数を獲得するとの思惑が強まっており、来週の選挙前にポンドを買い進める動きが主導しています。ポンドドルでは、一時1.31653ドルまで上値を拡大し、5月6日以来の高値を更新しています。来週の世論調査でも、現状と同じように保守党がリードしている状況が続くようであれば、マーケットは総選挙前に保守党の勝利を織り込むかたちで、ポンド買いが進むのではないでしょうか。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

トランプ大統領の弾劾審理が、再びマーケットトピックスに帰ってきました。ただ、下院では民主党が過半数を握っているため、可決される可能性が高いものの、上院では三分の二の多数がないと大統領の罷免を決めることができません。そのため、弾劾される可能性は現時点では限りなく低いと考えられますが、大統領選を控えたトランプ大統領の支持率に影響を与えるイベントになることが想定され、同大統領がなりふり構わない言動をするようだと、リスクイベントとして捉えられる可能性があります。

米中通商協議関連の話題がマーケットの中心になっていますが、本日は米雇用統計が控えています。注目の非農業部門雇用者数は18.3万人増予想になっていますが、ADP雇用者数が悪化した内容だったため、多少の悪化であれば、特段材料視されないかもしれません。20万人増を超える内容であれば、大きくドルが買われ、逆に10万人増を下回るような内容だとドル売りになりそうですが、市場予想から多少乖離しても、10万人増台であれば、影響は限定的になると考えられます。やはり、本日のマーケットの中心は、12/15の対中関税が延期されるかどうかにかかっていると思われます。

マーケットは完全に保守党勝利を織り込みにいっている

英国選挙については、日に日にマーケットは、保守党の単独過半数での勝利を織り込みつつあるため、ポンドについては上値を拡大しています。1.3100ドルでのポンドドルのロング、利食い目途は1.3300ドル、1.3050ドル下抜けで損切りの戦略に変更はありません。

海外時間からの流れ

本日の東京時間では、オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が「中国と第1段階の合意は近い」と発言したものの、マーケットが米中通商協議関連の食傷気味であることに加え、本日は米雇用統計が控えていることもあり、影響は限定的になっています。

今日の予定

本日は、独・10月鉱工業生産、米雇用統計、加雇用統計、米・11月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)などの経済指標が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。