(本記事は、関根 俊輔氏の著書『経費で落ちる領収書・レシートがぜんぶわかる本』新星出版社の中から一部を抜粋・編集しています)

経費
(画像=PIXTA)
【 出金伝票などでの記録】
Q.自販機で買ったものはどうすればいい?
A.自販機は現金の支払いを証明する受取書を出してくれませんから、自分で記録を残します。出金伝票などを使う方法があります。

出金伝票などで記録を残す

そもそも、領収書をもらいたくても、もらえない場合があります。

その代表格が、自動販売機です。

例えば、Eさんの事務所に、取引先の人が打ち合わせに来ることになりました。事務所はふだん、来客との打ち合わせに使わないので、急な来客に出す飲み物の用意がありません。

そこでEさんは、近くの自販機まで走って、1本150円のお茶のペットボトルを2人分買いました。

取引先の人に出すお茶代は、明らかに事業に必要なものです。打ち合わせ──会議の際に出すお茶は(お菓子や食事などの飲食代も)「会議費」という経費になります。

ところがこの場合、自販機なので領収書が出ません。どうなるでしょうか。

領収書がもらえないなら、自分で記録を残しましょう。ただし、メモ用紙に金額だけメモする、というのはダメです。

こうした場合、例えば出金伝票や振替伝票を使う方法があります。

これらの伝票を使うと、金額、日付、内容などをもれなく記録できます。

取引などの事実を証明する証拠を「証憑(しょうひょう)」といいますが、この場合は出金伝票などが証憑になります。

証明できる資料があればベスト

経費で落ちる領収書・レシートがぜんぶわかる本
(画像=経費で落ちる領収書・レシートがぜんぶわかる本)

上図が、出金伝票にお茶代を記入した例です。

このようにして記録をきちんと残しておかないと、実際の現金と、帳簿上の現金残高が合わないことにもなります。

面倒でも、ちゃんと書き残しておきましょう。

通常、税務署の調査で300円程度のお茶代が追及されることはありませんが、自分個人で飲んだお茶代ではないこと、架空計上ではないことを証明できるようにしておくとベストです。

そのためには、取引先の人が来て打ち合わせをしたことを記録したスケジュール帳などが使えます。

打ち合わせの内容を記録したノートなども使えますが、その場合は、日時と場所、相手の所属と氏名などもきちんと記録しておくと確実です。

money
(画像=(画像=mymo))
【冠婚葬祭の出費】
Q.結婚式のご祝儀、告別式の香典は経費になる?
A.仕事上の相手に渡すならご祝儀や香典も経費になります。証明のために招待状や礼状をとっておきましょう。

支出した証拠を残すことが大事

領収書がもらえないケースには、結婚式で包むお祝いや、お通夜・告別式で供えるご霊前などもあります。

このようなご祝儀や香典も、仕事上の付き合いの人に渡すもので、常識的な金額であれば、経費で落とせます

ただ問題は、冠婚葬祭では当たり前の話ですが、領収書がもらえないことです。

記録自体は、前項の自販機の場合と同様、出金伝票やスケジュール帳などで残せますが、金額が5000円から数万円と、お茶代よりもケタが大きくなります。

確かに支出した事実を補強する証拠が、自分の記録した伝票やメモ以外にも欲しいところです。要するに、何か客観的な証拠を残したいのです。

結婚式は招待状、お通夜は礼状が適当

結婚式に参列した証明としては、式の招待状が適当です

相手の名前が入っているので、反面調査をされても個人的な知り合いでも、そうでなくても、主として仕事上の付き合いの人であることが証明できます。

日時と場所も記載されているはずですから、それらの証明として使うことができるのです。

招待状でお祝いの金額までは証明できませんが、常識的に妥当な金額なら、税務署に疑われることはないはずです。

一方、お通夜や告別式は招待状などありません。

訃報があれば、お通夜や告別式があったことや、その日時と場所を明らかにできますが、訃報だけでは参列したかどうかは証明できません。

そこで、お通夜や告別式の場合は、返礼品に付いてくる礼状を保管しておくとよいでしょう。

礼状には、相手の名前や日付が入っています。参列した証明としても確実です。何より礼状は、香典を出した人しかもらえません。

金額は結婚式と同様、常識的な範囲内なら問題はありません。

経費で落ちる領収書・レシートがぜんぶわかる本
(画像=経費で落ちる領収書・レシートがぜんぶわかる本)
経費で落ちる領収書・レシートがぜんぶわかる本
関根 俊輔
税理士。中央大学法学部法律学科卒。優秀なビジネスマンや税理士を多数輩出する尾立村形会計事務所(東京都)で会計人としての修行を重ねる。その後、関根圭一社会保険労務士・行政書士事務所(茨城県)にて、主に労働基準監督署や社会保険事務所の調査立ち会いや労使紛争解決等の人事業務、加えて、法人設立・建設業許可、遺産分割協議書や内容証明郵便及び会社議事録作成等の業務に携わる。平成19年には、共同で税理士法人ゼニックス・コンサルティングを設立。現在は、学生時代から培った「リーガルマインド」を原点に、企業に内在する税務・人事・社内コンプライアンス等、経営全般の諸問題を横断的に解決する専門家として活躍している

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