「バイオテック(Biotech)」という言葉を耳にする機会が、増えたのではないでしょうか。バイオテックは、細胞および生体分子のプロセスを利用し、人間の生活と地球環境の改善に役立つ技術と製品を開発するための技術です。

今後、高リターンが狙える新たな投資分野としても注目度が高く、2025年には市場規模が約84兆円に成長すると予測されています。

バイオテック分野が急成長している背景

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(画像=kurhan/Shutterstock.com)

バイオテックとは、バイオロジー(Biotechnology)×テクノロジー(Technology)を組み合わせた造語です。

1970年代に遺伝子工学が発展したのを機に、急速に研究・開発が進んだ分野の1つで、身近な事例として、遺伝子組換えや細胞融合などが挙げられます。

バイオテック分野の急成長をさらに加速させている要因は、テクノロジーの進化だけではなく、生活習慣病やがん患者の増加、世界的現象といえる高齢化などです。

米国の国際市場調査企業グローバル・マーケット・インサイツの調査によると、バイオテック市場の規模は2018年に4,170億ドル(約45兆4,144億円)を突破。2019~2025年にわたりCAGR(年平均成長率)が9.9%で成長し、7,750億ドル(約84兆4,033億円)に達すると予想されています。

バイオテック投資は高リスク、高リターン?

通常、新しい医薬品の開発には長い年月を要します。バイオテック・スタートアップが新薬を開発し、利益が回収できるまでに、十年以上かかるケースも珍しくありません。そのため、バイオテック企業への投資は高リターンを狙える一方、それにともなうリスクを認識しておく必要があります。

また、バイオテック投資といっても、バイオ・ファーマシー(生物医薬品)、バイオ・サービス、バイオ・アグリカルチャー(生物農業)、バイオ・インダストリー(生物産業)、バイオ・インフォマティクス(生物情報科学)など、多様な領域が存在します。

バイオ・ファーマシー市場は最も需要が高い領域で、2018年には市場シェアの半分以上を占め、今後も需要の拡大が続くと予想されています。

バイオテック企業例4社

バイオテック関連の上場企業は、業界をリードする欧米市場だけでも700社以上存在します。バイオテック企業とひとことにいっても、専門・得意分野は様々です。ここでは、「どのようなバイオテック企業があるのか分からない」という方のために、老舗からスタートアップまで、バイオテック技術をリードする4社をご紹介しましょう。

バイオテック企業の老舗、バイオジェン・アイデック

「神経科学のパイオニア」であることをミッションにかかげる、世界最古のバイオテック企業。1978年、ノーベル賞受賞学者のウォルター・ギルバート博士やフィリップ・シャープ博士などにより、米国で設立されました。

世界トップレベルの神経内科医や科学者が、神経疾患の治療薬の開発に取り組んでおり、2000年には、日本にも進出(バイオジェン・ジャパン)を果たしています。

バイオ・インフォマティクスの新星、4HF バイオテック(Biotec)

2015年にドイツで設立。バイオ・インフォマティクス(生命情報科学)とデータ分析を専門としており、革新的ながん治療法の開発に貢献しています。

ゲノミクスやバイオ・インフォマティクス、医療腫瘍学の専門家がチームを構成しており、様々な種類の癌を診断するための、独自のデータベースと専用プラットフォームを構築しています。

ナノファイバー技術をリードする、セルヴェイト(Cellevate)

次世代の細胞培養システムの開発に携わる、スウェーデン発の革新的なバイオテック・スタートアップ。ルンド大学工学部に所属していた4人の学生と教授が、細胞培養に対するナノトポグラフィー(ナノスケールで形成または生成される、特定の表面形状)の影響について研究を行ったのをきっかけに、2014年に設立されました。

特許取得済みの製造プロセスを使用し、3D細胞培養などに使われる、高品質なナノファイバー製品を開発しています。

名門大学がバックアップ、イミューノス・セラピュティクス(ImmunOS Therapeutics)

スイスの名門バーゼル大学とチューリッヒ大学の研究室から、2014年にスピンオフした、臨床開発を行うバイオテクノロジー・スタートアップ。

直接的な抗腫瘍効果を発揮する、次世代の新規ヒト免疫調節タンパク質の発見および開発に焦点を当てています。

ここでご紹介した4社は、数あるバイオテック企業のほんの一例にすぎません。国外・国内、老舗・スタートアップを問わず、興味深い研究・開発を行っている、将来有望なバイオテック企業をリサーチしてみてはいかがでしょうか。(提供:Wealth Road