(本記事は、坂下たかひろ氏の著書『おもしろいほど株で勝てる「最強サヤ取り」』ぱる出版の中から一部を抜粋・編集しています)
トレンド系・オシレータ系
テクニカル指標は「トレンド系」と「オシレータ系」に大別できます。
どちらも使い方が異なります。
トレンド系は株価が上昇しているのか、それとも下落しているのかを判断します。今後の値動きが上下のどちらに進むのかの判断に使います。どちらかというと過去の値動きから長期的な先々を推測するために利用できます。
オシレーター系は買われ過ぎや売られ過ぎの状態にあるかどうかの判断に使います。その瞬間瞬間での判断になりますので、短期的に買うタイミングなのかどうかを判断するときに使います。
いずれのテクニカル指標も、指標グラフを株価チャートと一緒に表示したり、もしくはその下に並べて株価と対比しながら売買の判断材料とします。
●トレンド系
トレンド系の王様、初心者から上級者まで使っているのがこの移動平均線です。
長期足といいますが、200日、100日、75日移動平均線で上向きであれば株価は上昇トレンド、下向きであれば下降トレンド、横ばいならボックス圏という判断になります。
ちなみに短期、中期、長期移動平均線という名前は相対的につけられたものなので、何日が長期線だという決まりはありません。
5日、25日、75日の組み合わせであれば75日は長期移動平均線になりますし、75日、100日、200日の組み合わせであれば75日は短期移動平均線になります。
いずれにせよ図のように短期中期長期線共に上向きであれば、上昇トレンドという判断ができます。図のようにちょうどローソク足が長期足にタッチしているようなタイミングでは、今後反発して更に上昇していくのか、または割り込んでいくようであれば下落へのトレンド転換が起こるのではないかという判断ができるわけです。
共に上向きで短期線が長期線を上抜けることをゴールデンクロス、共に下向きで短期線が長期線を下抜けるのをデッドクロスと呼び、それぞれ買いと売りのタイミングとされます。
●ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドも移動平均線と並んで、代表的なトレンド系指標です。
移動平均線を中心に上下の値幅を示す線を2本または3本ずつ描き、全体で見ると合計5本または7本のバンド状のチャートになります。
株価がその線のうちどこに位置しているかで、「確率論的にどれくらい偏っているか」を判断できます。
・+1σから-1σの間にいる確率 68・3% ・+2σから-2σの間にいる確率 95・4% ・+3σから-3σの間にいる確率 99・7%
株価がどれだけ偏っているかの判断に使用します。
ボリンジャーバンドはその時々で形を変化させますので、それを投資の材料とします。
バンド幅が収束(スクイーズ)したり、拡張(エクスパンション)したり、バンドに張り付いたり(バンドウォーク)する状況を目安に購入や利確を行います。具体的に見てみましょう。
●拡張(エクスパンション)
ボリンジャーバンドが開いていっているときをエクスパンションと言います。このときはローソク足は一方向に動くことが多いので、売り買いの売り買いのポイントになります。
具体的には真ん中の移動平均線を超えることがあれば反対側のボリンジャーバンドまで走っていくことが多いです。
●収束(スクイーズ)
このときは値動きは小さく、次に大きな動きとなる前触れの場合が多いです。スクイーズが現れると、エネルギーが溜まっていると見ています。スクイーズの次にはエクスパンションが現れるので、方向性が定まっていれば仕込み時となります。
●バンドウォーク
ローソク足がボリンジャーバンドの片側に貼り付いている状態のことを言います。強いトレンドが出ているときです。タイミングを見計らってポジションを仕込むと勢いに乗ることができます。怖いのはいつ利確するのかのタイミングになります。
オシレーター系
●RSI
RSI(レラティブ・ストレングス・インデックス:相対性指数)の略です。
ある期間内の株価(終値)に上昇順位をつけ、その期間の日数との相関関係を指数化したもので「上がり始め」「下がり始め」の時期とタイミングを捉える指標です。
パーセンテージで売られ過ぎや買われ過ぎを判断します。
50%を中心に0~100%の範囲で動き、70%を超えれば買われ過ぎ、30%を下回ると売られ過ぎ、80%超、20%未満になると売買のシグナルとされることが多いです。
その他にもオシレーター系はストキャスティクス、MACDなどが人気の指標です。
●一目均衡表
日本人の開発した世界的に有名なインジケータです。そういえば世界的に使われているローソク足も日本人が開発したものだったりするんです。日本人って投資の世界でも優秀だったんですね。
一目均衡表は約80年前に細田悟一が考案、そのペンネーム一目山人が名前の由来です。
この指標はちょっと難解な理論に基づくものなので説明が難しいです。難しい理屈はともかく、使い方は覚えると非常に役に立ちます。
指標は転換線、基準線、先行スパン1、先行スパン2、遅行線、「雲」とで構成されています。個人的には最初は「雲」を理解して使いこなすことができれば、これだけでも運用が可能となります。
簡単にいえば、株価が雲の上にあれば上昇トレンド、下にあれば下降トレンドです。そして雲の上下のラインが支持線や抵抗線となります。
以上が代表的なテクニカル指標です。
これらは投資を始める際に手助けにはなりますが、あくまで判断の目安に過ぎません。信じ切って取引をすると思わぬ罠にはまり込むこともあります。買いシグナルだと思ってエントリーしたものの急落したり、決済シグナルだと思って利確してもそこからさらに上に伸びたり。
一つの指標だけに頼ることなく、いくつかの指標を併せて参考にすることも大切ですし、指標に注目するとともに、投資先企業のニュースや業績動向などのファンダメンタルズも注目しておきたいものです。