(本記事は、坂下たかひろ氏の著書『おもしろいほど株で勝てる「最強サヤ取り」』ぱる出版の中から一部を抜粋・編集しています)
サヤ取りとは
サヤ取りについて解説していきましょう。
サヤ取りとは取引手法の呼称で、ペアトレード、アービトラージ、裁定取引とも呼ばれます。
一時的な価格差を利用して利益を確保する、利ざやを取ることからサヤ取りと呼ばれています。サヤ取りでは、市場性などの違いから一時的な価格差(歪み)が生じたときに、割高な方を売って割安な方を買いに入ります。その後、価格差が縮小した時点で双方を決済することで利益を確保します。
利益の確保が、相場の上下に頼っているわけではない、ということがポイントです。
時間のないサラリーマンにこそ向いている手法
●株式投資のイメージ
株というと、これから値段が上がることに期待をすることが多いですが、現在のような方向性のない市場ではいつ買えばいいのか判断がつきにくいことが多々あります。こういった方向感のない相場においても、市場全体の方向性にかけるのではなく、関連性のある銘柄の価格関係を見て、価格差を見ることで利益を出していけるのです。
これから値上がりする銘柄を探し出すのは本当に難しいのです。少しでも株式を経験された人であればわかってもらえると思いますが、考えている予想とは逆に行ったり、買ってみたら値段が下がっていったり…。それはそもそも利益を相場の上下に頼っているから起こる問題なのです。サヤ取りでは、相場が上がっても下がっていても利益を確保していくことが可能になります。
メリットとデメリット
●メリット
サヤ取りには以下のメリットがあります。
・ローリスク ・株価の予想が要らない ・どんな相場でも利益を上げることができる ・精神的にラク ・理論に裏打ちされた投資方法
そのため、このような人におすすめな投資方法です。
・勝ち負けで一喜一憂したくない人 ・長期投資で資産を作りたい人 ・テクニカル分析や企業情報収集などが苦手な人 ・株価が気になって、普段の生活に影響が出る人 ・死んでも損したくない人
一日中パソコンの前に張り付いて、常に画面とにらめっこしながらトレードを行うようなスタイルではなく、土日に時間を取って調べておいて月曜日に注文を入れ、電車の中などで一日に数回チェックを行うだけ…。
まさに時間のないサラリーマンにうってつけの投資方法なのです。
●デメリット
・短期的な儲けが難しい
サヤ取りは損益を相殺して差し引きの利益を狙い、コツコツと利益を積み重ねていく投資法ですので、一回に大きな利益を出すのが好きな人には向いていません。
どちらかといえばコツコツと薄い利益を積み重ねていくことになります。
・売買コスト
実際の取引では現物での買いと信用での売りを建てることになります。つまり買ったときの手数料と信用で売ったときの手数料がかかってきます。
信用取引は証券会社から株券を借り受けていることになっているので、借賃がかかってきます。
借りている株式は半年以内に決済する必要がありますが、その間の借賃がかかっていることを忘れないようにしましょう。
いくら利益が出ていても売買コストでマイナスになってしまっては意味がありません。
・資金量が必要
両建てで購入する必要がありますので、現物で株式を購入する資金と、信用で株式を売る資金が必要になります。2つの銘柄を同時に取引しますので、通常の取引よりは余分に金銭的負担がかかることもお忘れなく。
・ツールにコストが掛かる
通常の取引のように、インターネットや四季報での情報だけで組み合わせの銘柄を選ぶことは非常に困難です。そのため別途有料サイトや有料のソフトに頼ることになります。おすすめは有料ソフトです。それでもソフトの月額使用料がかかってきます。