他の人が休暇を取るとき積極的にフォローしよう

旅,東松寛文
(画像=THE21オンライン)

実は、東松氏はもともと旅が好きだったわけではない。一人で海外を旅したのは、社会人3年目に行ったロサンゼルスが初めてだった。

「憧れていたNBAのプレーオフのチケットを思わず購入して、購入したからには行かないわけにはいかないと、上司を説得して休みをもらったのです。『中学校、高校とバスケットボールをやってきて、本場米国のNBAの試合を見に行くことが小さな頃からの夢だったんです!』という一点突破でした」

旅には行きたいけれども、忙しくて休みが取れない。職場の人に迷惑がかかるので休みづらい。そういう人は多いだろう。

「ハネムーンなら、『行かせてください』と言う部下に『ダメだ』という上司は、ほとんどいないと思います。

休暇を認めてもらうには、ハネムーン級とはいかないまでも、上司や同僚が納得しやすい理由を用意することです。私がロサンゼルスに行ったときは、それがNBAのプレーオフを観戦することに対する想いだったわけです。

今年の夏は、デンマークなど、MaaSやキャッシュレス決済が進んでいるヨーロッパの国々を旅したのですが、『先進的な取り組みをしている都市を自分の目で見てみたい』というように、仕事に活きることをアピールするのもいいと思います」

一度はそうしてOKが出たとしても、何度も休みを取得するのは難しいのではないだろうか。

「そこで欠かせないのが、上司や同僚、取引先など、一緒に働く人たちへの配慮です。

例えば、お土産は最強のツール。形式的なものではなく、感謝を伝えるためのものですから、私は必ず小分けにできるお土産を用意して、一人ずつ個別に渡すようにしています。

また、他の人が休暇を取るときも大きなチャンス。積極的に仕事を引き受け、自分が休んだときにフォローしてもらえる関係を構築しましょう」

初心者にお勧めの旅先はここ!

過去7年間で67カ国143都市を訪れた東松氏に初心者にお勧めの旅先を聞くと、台湾との答え。

「近いので短期間で行けて、LCCがたくさん飛んでいるので安く行けるのは、香港、韓国、台湾です。

中でも、欧米人も多くて海外に来た雰囲気を強く感じられる香港を、私はずっとお勧めしていたのですが、ご承知の通りデモが続いているので、今はお勧めできません。

韓国については、日韓関係の悪化を気にする人もいるでしょう。ちなみに、私は先日、釜山に行ってきましたが、バス停で道を教えてもらうなど、現地の人に親切にしてもらいました。

そうなると、今、お勧めできるのは台湾です。台湾には親日家が多いですし、国内よりも安く旅をすることもできます。

少し海外に慣れてきた人は、バンコクはいかがでしょうか。著しい経済発展をしている最中で、街の熱気が日本とはまったく違います。現地の人の仕事へのモチベーションも高く、そうした雰囲気を肌で感じられます。

色々なお話をしてきましたが、まずはとりあえず1回行ってみることが大切です。できれば、同行者に気兼ねをしないよう、一人で行ってみてください。きっと、それまで知らなかった自分に出会えるはずです」

《取材・構成:池口洋司 写真撮影:まるやゆういち》
《『THE21』2019年12月号より》

東松寛文(とうまつ・ひろふみ)
リーマントラベラー
1987年、岐阜県生まれ。平日は激務の広告代理店に勤務するかたわら、週末に世界中を旅する「リーマントラベラー」。オンラインサロン「リーマントラベラーサロン」も主宰する。旅に目覚めた社会人3年目(2012年)以降、7年間で67カ国143都市に渡航(19年10月現在)。著書に『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)、『人生の中心が仕事から自分に変わる! 休み方改革』(徳間書店)がある。(『THE21オンライン』2019年12月16日 公開)

【関連記事THE21オンラインより】
やってはいけない!「海外旅行のタブー」
「情弱」にはつらい隠れ先進国の旅(アイルランド)
星野佳路 トップも知らない「星野リゾート」の強さの秘密