先週21日、東京株式市場は「新型コロナウイルス」の影響で売り先行の展開となり、日経平均は一時2万4000円割れを余儀なくされた。中国湖北省武漢市で発生した「新型コロナウイルス」の感染拡大は日本株のみならず、アジアや米国など世界の株式市場のほか、為替市場にも影響を与えている。

株価は「未来を映す鏡」と呼ばれる一方で、ときには冷静さを失ってオーバーリアクションすることも珍しくはない。情勢は依然として流動的であるが、今回は新型コロナウイルスが株式市場にどのような影響を及ぼしたのか、関連銘柄の動きとともに振り返ってみよう。

新型コロナウイルスの感染拡大、株式市場に動揺

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(画像=K.E.N / shutterstock, ZUU online)

1月21日の日経平均が下げ足を速めたのは10時10分頃からだった。この日は米株式市場が3連休中ということもあって、日経平均は小動きで取引をスタートしていたのであるが、前述の10時10分頃に状況は一変する。香港市場のプレオープニングセッションで売りが先行したのだ。

この日、世界のメディアは中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染拡大を報じていた。NHC(中国国家衛生健康委員会)は1月5日時点で59件だった新型コロナウイルスの感染者は、20日には291件に達していることを明らかにした。その内、発生源である武漢市では258件まで患者が増加、6人が死亡したと中国メディアは伝えた。日本国内でも16日に新型コロナウイルスによる肺炎患者が初めて確認されるなど、対岸の火事ではなくなりつつあった(ちなみに、新型コロナウイルスの感染者はその後も拡大が続き、NHCは26日に2744人になったと発表している)。

新型コロナウイルスの感染拡大で21日の香港株式市場のプレオープニングセッションは売りが大きく先行する展開となり、その影響から日経平均先物でも10時10分頃から売り圧力が強まり、2万4000円の節目を割り込むなど下げ足を速める結果となった。結局、この日の香港ハンセン指数は前日比2.7%安で取引を終了している。また、同日の米株式市場ではダウ平均株価が152ドル安と6日ぶりの下落となった。

「SARSのトラウマ」も連想売りを誘発?

市場関係者の中には、今回の新型コロナウイルスの感染拡大から「SARS(重症急性呼吸器症候群)」を連想する向きもあったようだ。2003年に流行したSARSは香港を中心に8096人が感染、37カ国で774人が死亡したとされている。