(本記事は、三木 雄信氏の著書『孫社長のYESを10秒で連発した 瞬速プレゼン』すばる舎の中から一部を抜粋・編集しています)
私はこうやって、100枚の資料のOKをもらった
「瞬速プレゼン」を成功させるには、「いつ準備を始めるか」も重要です。
コミュニケーションをするからには、目指すゴールが決まっているはずです。「○月×日の会議で、上司に企画を通す」「△月◎日の商談で、取引先から受注をもらう」
このように、必ず「期限」と「目的」があります。
よって、ゴールから逆算して準備を始めなければ、「時間が足りず準備が間に合わなかった」ということになりかねません。
準備不足のままコミュニケーションしても、相手から即座に了承をもらうことは難しいでしょう。
コミュニケーションの準備は、「いつ、何をやるか」のスケジューリングがカギを握るのです。
ソフトバンク時代、孫社長が対外的なプレゼンや交渉に使う資料作りは、すべて秘書である私の仕事でした。
「6月20日の株主総会で使う資料を100枚作り、前日までに孫社長のOKをもらう」
当時の私の場合、たとえばこんなゴールを設定するわけです。
しかし秘書になったばかりの頃は、私もなかなか要領がつかめず、直前になってから資料を作り始めることもしょっちゅうでした。
そして期限ギリギリになってから孫社長に資料を見せるのですが、毎回のように「これじゃ使えない!」とダメ出しをくらいます。
当時の私は経営のことをろくに知らない若造だったので、孫社長が求める情報のツボを外しまくっていたに違いありません。
そして結局、本番当日まで徹夜で資料の作り直しをする。
そんなことが続きました。
「これでは余計な手間がかかりすぎるし、最悪の場合、期限にも間に合わないぞ」
そう思った私は、準備に着手するタイミングを早めることにしました。
ゴールから逆算し、「いつ、何をやるか」を洗い出してスケジューリングし、適切なタイミングで孫社長が何を求めているか確認をとりながら準備することにしたのです。
「そろそろ株主総会の資料作りを始めないと間に合わないのですが、今回必ず入れたい情報はありますか」
そう聞くと、「日本の財閥の歴史を調べておけ!」「飛行機の歴史と絡めてビジョンを話したい」といった要望が出てきます。
こうして早めに方向性をもらっておけば、必要な情報を集める余裕もあるし、直前になって大きな手直しを指示されることもありません。
「ゴールから逆算して、何をいつまでに準備するか」を決めるようになってからは、どんな資料も孫社長からなんとかOKがもらえるようになりました。
「タイミング」が絶妙だと上司から信頼され、評価される
このやり方なら、了承をもらう相手の時間を奪うことも防げます。
締め切り直前にダメ出しせざるを得ない資料を提出されたら、上司のほうも作り直すまで待たされることになる上、もう一度資料をチェックする二度手間が発生します。
「瞬時にイエスを言える」というコミュニケーションは、上司にとってもありがたいもの。それがあなたへの信頼や評価を高めることにもつながります。
準備のタイミングを意識することは、どんな仕事でも必要です。
営業マンが「商談で受注をもらう」のが目指すゴールなら、それまでのプロセスで「部下に競合の資料を集めてもらう」「自社のプロダクトについて開発部門にヒアリングする」「プレゼンの方向性について、上司と打ち合わせする」といった、いくつもの〝予備的コミュニケーション〟が発生するはずです。
それを逆算してスケジューリングし、段取りを踏んで準備することが、最終的なプレゼンの場で即座に相手からイエスを引き出す秘訣です。
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