(本記事は、山田 実希憲氏の著書『年収が上がる転職 下がる転職』すばる舎の中から一部を抜粋・編集しています)

「他者目線」でキャリアをチューニングする

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(画像=Jirsak/Shutterstock.com)

キャリアプランは曖昧な部分があっていい

私自身は、元々はどう生きるか、どう働くかという問いかけを普段からあまり意識するタイプではありませんでした。

目の前の仕事に向かうことに精一杯でしたし、転職活動を始めたことで自分に向き合い、ラフではあるけれどもキャリアプランが立てられたことを覚えています。

「転職先の会社には、入ってみないとわからないことのほうがたくさんあります」というのは、転職エージェントとして仕事をしている以上、言ってはいけない言葉かもしれません。

しかし、どれだけ事前に情報を取得して知ったつもりになっても、会社も、働く人も、環境も、あなた自身だって変わります。

むしろ変わることのほうが自然です。

変わりながら、目の前の仕事に精一杯取り組んで、習慣になって、そして積み重なったものがキャリアです。

社会構造もルールも変わっていく中で、5年先を見通すことはとても難しいことだと思います。

ですから、キャリアプランも完璧なものである必要はありません。

ある程度でいいので、しっかり考えたものを立てたら、予想を超えて変化していく環境に合わせていけばいいのです。

選択したキャリアが想定からいい意味でズレているのか、悪い意味でズレているのか、今の状況をチェックする意味でキャリアのチューニングと表現しています。

また、キャリアのチューニングは自分だけで行わず、客観的な目線で振り返るのが効果的です。

私たちの意識はいい加減なもので、ともすれば自分にとって都合のいい解釈をしてしまいます。

健康診断のように行う定期的なチューニングの機会は、柔軟性を持てているかどうかのチェックでもあります。

・社会は今どのように変化しているか
・自分はその変化に気付いているのか
・変化を楽しめる自分でいるか

実はこの変化への対応ができる自分とは、結局楽しく仕事をして充実していることが重要だと思うのです。

目の前の仕事に一生懸命取り組んで、相手に喜ばれたり、あなたに紹介したい人がいると言ってたくさんの縁を繋いでくれたり、そういうことこそ、生き方と働き方が重なっている瞬間だと思っています。

今働く自分がどういう状態にあって、より良くするためにはどうするのか、常に問いかけながらフルパワーを発揮できる状態に整えていくというのも、変わっていく自分や社会と調整しながら進めていくキャリア構築の基本となっていきます。

転職は生き方に働き方を重ねる手段のひとつでしかありません。

自分の生き方を自分で選択する自由を持って、自分がキャリアを選択していく世の中になったと捉えれば、選択基準は生き方に沿っていくものだと考えます。

会社や家と同じように、キャリアチューニングができる機会やコミュニティを持つことをお勧めします。

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山田 実希憲 (やまだ・みきのり)
ジェミニキャリア株式会社 取締役・転職エージェント。1979年生まれ。法政大学社会学部を卒業し、リフォーム会社に入社。500世帯以上の住まいと人生に関わる。入社して10年が経過し、生き方と働き方のズレを感じたことから、30代で初めての転職活動を経験。そこで、転職のための活動が自分と向き合う機会であることや、キャリア相談をする相手の必要性、経験や市場価値を客観視する重要性などを実感。転職エージェントとして「生き方」に「働き方」を重ねるための転職支援をスタート。累計5,000名を超えるビジネスパーソンの相談を受ける。現在は経営コンサルティングと人材紹介事業会社であるジェミニキャリア(ジェミニストラテジーグループ)において、キャリア相談窓口を広げる一方、企業の経営サポートを行う。

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