(本記事は、山田 実希憲氏の著書『年収が上がる転職 下がる転職』すばる舎の中から一部を抜粋・編集しています)

自身の「市場価値」を他者目線から計る

年収が上がる転職 下がる転職
(画像=PIXTA)

年収はわかりやすい市場価値の指標

市場(会社、社会)から求められていないのであれば、自分でいくら価値があると思っても、残念ながらそれは無価値です。

あくまで、価値は市場が決めるのです。

転職する際の相手企業も、あなたの過去の実績や働き方から、自社の業務における価値を見出すから採用しようと思います。

あなたの強みや特性を、自社でも発揮してくれそうだという目算を立て、期待値を込めて想定年収を算出します。

やはり、市場価値をわかりやすく表すものは年収です。

転職理由の中でも、およそ60%とも言われる高い割合で給与に関する項目が出てきます。

当然、生活をしている中で大きな年収ダウンは避けたいところです。

近年は働き方改革の影響もあり、また、価値観の多様化にも伴って、年収を下げても働く時間を抑えたい、少し年収が下がってもやりがいを感じられる仕事に就きたい、などの要望で転職される人もいますが、大多数の人は年収を上げる転職を目指します。

そうした際、自分の適正な年収がわからないため強気に交渉ができるかどうかという悩みも非常に多く聞きます。

もちろん、自身の価値以前に、ある程度ビジネスモデルや利益によって給与水準は固まってきます。

ただ、旬な時期以外に野菜が高くなるように、欲しいけれど市場に流通量が少ない人に高い値段がつくことがある、ということは知っておきたい点です。

市場にあまりいない人材だから、給与水準を上げてでも採用したい、というケースです。

また、社内で退職者が出て、急な採用が必要になった場合に業務が止まってしまうことを防ぐために、相場よりも高い提示で即採用を狙ったケースもあります。

いずれのケースでも、自分に価値があると伝えたから値段がついたのではなく、採用ニーズがあって、その採用背景によって年収相場が固まってくるということがポイントです。

また、年収については、もちろん前年度の年収などが考慮されることが多いですが、あまりに相場から離れた提示の場合は入社後に年収が上がらない、2年目からは年収が下がる、などイレギュラーな状況に陥ることもあります。

提示された年収があまりに高いという場合は、慎重に捉えたほうがよさそうです。

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山田 実希憲 (やまだ・みきのり)
ジェミニキャリア株式会社 取締役・転職エージェント。1979年生まれ。法政大学社会学部を卒業し、リフォーム会社に入社。500世帯以上の住まいと人生に関わる。入社して10年が経過し、生き方と働き方のズレを感じたことから、30代で初めての転職活動を経験。そこで、転職のための活動が自分と向き合う機会であることや、キャリア相談をする相手の必要性、経験や市場価値を客観視する重要性などを実感。転職エージェントとして「生き方」に「働き方」を重ねるための転職支援をスタート。累計5,000名を超えるビジネスパーソンの相談を受ける。現在は経営コンサルティングと人材紹介事業会社であるジェミニキャリア(ジェミニストラテジーグループ)において、キャリア相談窓口を広げる一方、企業の経営サポートを行う。

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  3. 自身の市場価値を「他者目線」から図る方法
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