「日本マクドナルドホールディングス」が絶好調だ。2019年通期の全店売上高は5,490億円で、創業以来過去最高を記録した。消費増税による逆境の中、独自の価格戦略や店舗運営が効を奏し、苦戦する競合他社を圧倒する好決算となった。

全店売上高が創業以来最高の5,490億円に

マクドナルド
(画像=ATIKAN PORNCHAIPRASIT/Shutterstock.com)

日本マクドナルドホールディングスが2月に発表した2019年12月期(2019年1月1日~12月31日)の連結業績を見てみよう

・全店舗売上高 5,490億円(前期比4.7%増)
・営業利益 280億1,800万円(同11.9%増)
・経常利益 274億8,700万円(同7.2%増)

売上、利益ともに好調だ。2020年12月期(2020年1月1日~12月31日)は、以下のようにさらなる成長を予測している。

・全店舗売上高 5,710億円(前期比4.0%増)
・営業利益 290億円(同3.5%増)
・経常利益 285億円(同3.7%増)

好調の理由は「シンプルな価格戦略」と「未来型店舗体験」の両輪で消費増税に適応

2019年10月、消費税が8%から10%に引き上げられた。店内で飲食する場合は10%、持ち帰りする場合は8%の軽減税率が適用される。飲食店は値上げによる消費者離れを抑制するため、価格戦略の策定に苦しんだ。

日本マクドナルドホールディングスは、店内飲食の場合も持ち帰りの場合も同じ税込み価格となるよう調整を行った。一部商品は税込み価格の値上げに踏み切ったが、10円刻みの価格体系は継続し、わかりやすさを維持している。

「シンプルさ」にこだわったことは、消費者にも好感されたようだ。

また、同社が導入を進めている「未来型店舗体験」も売上の増加に寄与。その取り組みの一つが、マクドナルドのクルーがテーブルに直接商品を運ぶ「テーブルデリバリー」だ。他にも、おもてなしの専門スタッフを店舗内に配置する「おもてなしリーダー」の制度、来店前にスマホアプリで商品の注文・決済ができる「モバイルオーダー」なども展開。サービスの質を向上させてきたことも奏功した。

以前から推進してきたデリバリーも定着してきたようだ。マクドナルドのクルーが商品を届ける「マックデリバリー」のほか、Uber Eatsとの連携によって商品の配達ができる店舗は合わせて709店舗。すでに全体の約4分の1の店舗でデリバリーが行われている。

施策の結果1店舗当たりの平均月商は約1,500万円 上場来最高に

これらの施策の結果、既存店売上高は2015年12月以来50ヵ月連続で前年比プラスとなった。四半期ベースでも17四半期連続。既存店の客数は前年比2.4%増、1店舗当たりの平均月商も上場来最高の約1,500万円となった。

店舗も増加傾向にある。2019年12月期は新規出店数を40店舗増やし、直営店とフランチャイズ店を合わせて2,910店となった。同社は決算短信で「経営資源を効果的に活用するために、新規出店と改装、リビルドや未来型店舗への投資配分を柔軟に見直しながら成長のための投資を行いました」と説明している。

業績が良くなれば、さらなる攻めの戦略を打てる。「すべてはお客様のために」を掲げる日本マクドナルドホールディングスの2020年以降の事業展開に、引き続き注目したい。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/MONEY TIMES

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