(本記事は、梅澤伸嘉氏・西野博道氏の著書「2年で10億円を突破! 5年で100億円を超える 『100億マニュアル』」日本経営合理化協会出版局の中から一部を抜粋・編集しています)
商品パフォーマンスと商品コンセプトの力を同時に調べるCPテスト
商品コンセプトをもとにテスト品(試作品)ができ上がりましたら、アンケート調査をおこなって、商品が再購入してもらえるものになっているかを調べます。
調査の方法は、調査協力者にテスト品をお渡しして一定期間使っていただき、使用記録をつけていただくとともに、使用期間終了後にアンケートの質問に答えていただく形となります。
調査対象者は、商品コンセプトのアンケート調査で、「ぜひ買いたい」「買ってみたい」と答えた人です。あるいは「ぜひ買いたい」と答えた人に絞って調査をおこなってもいいでしょう。
必要なサンプル数は、100サンプルが理想です。
商品によっては、テスト品をたくさんつくることが難しい場合や、コストがかかりすぎる場合があるので、100サンプルが無理であれば、半分の50サンプルでも構(かま)いません。サンプル数が少なくても、まったくやらないより、はるかにましです。最終的なサンプル数は各社の事情に合わせて決めてください。
ところで、商品パフォーマンスの調査対象者を、商品コンセプトのアンケート調査で「ぜひ買いたい」「買ってみたい」と答えた人に限定する理由は、「ぜひ買いたい」「買ってみたい」と答えた人の期待に応じた商品に仕上がっているかどうかを調べるためです。
テスト品の使用後のアンケートでも、「ぜひ買いたい」「買ってみたい」と答えてくれれば、提示した商品コンセプトの事前期待どおりの商品パフォーマンスに商品が仕上がっているということです。
この調査で、「ぜひ買いたい」「買ってみたい」と答えた人の比率が多ければ、リピート率が高いものに仕上がっていると判断できます。
そして、この調査はリピート率が高い商品に仕上がっているかどうか、いわゆる再購入率の高さを調べると同時に、改良した商品コンセプトを再度提示して、もう一度「使用意向」と「購入意向」の質問に答えていただくことで、改良版の商品コンセプトが初回購入率の高いものに仕上がっているかどうかも確認できます。
ここでいう、改良版の商品コンセプトとは、商品コンセプトのアンケート調査の結果から改良した商品コンセプトのことを指します。
このように、この調査では、商品コンセプトと商品パフォーマンスの力を同時に調べるので、私(梅澤)はこの調査を、CP(シーピー)テストと呼んでいます。
CP(シーピー)とは、コンセプトの「C」とパフォーマンスの「P」の2つを並べたものです。
先に述べたとおり、買う前に初回購入を促すのは商品コンセプトの力です。買った後に再購入を促すのは商品パフォーマンスの力です。そして、その商品コンセプトと商品パフォーマンスの力を同時に調べるのが、CPテストなのです。
さらに、CPテストと呼ぶ理由は他にもあります。
それは、提示する商品コンセプトの内容によって、商品パフォーマンスの満足度が大きく違ってくるからです。
例をあげて説明しましょう。
たとえば、かゆみ止めの塗り薬の商品パフォーマンスをテストする場合に、その塗り薬は塗るとベタつくという欠点をもっていたとします。
この塗り薬のテスト品を調査協力者に使っていただくときに、「本品は、〇〇でかゆみを止めますが、××の理由でベタベタしてしまいます。ベタベタするのは、本品がかゆみを止める働きをしている証拠です」と、あらかじめ商品コンセプトの特徴の一つとして示しておくことで、商品パフォーマンスの評価が確実に上がります。つまり、商品コンセプトが、「ベタつくのは嫌(いや)だ」という、使った人の多くが思う不満を解消する働きをするのです。
このように、商品コンセプトと商品パフォーマンスは切っても切り離せない関係にあるのです。そういう意味でも、このテストはCPテストと呼ぶにふさわしいものです。
CP(シーピー)テストの実施方法
CPテストの調査対象は、前述したとおり、商品コンセプトのアンケート調査で「ぜひ買いたい」「買ってみたい」と答えた人です。
その中から、一定期間テスト品を使って、使用記録用紙に一定期間、使用記録をつけてもらって、使用期間終了後にアンケートに答えてくれる人を選び出します。
調査協力者にお渡しするものは4つ、多くて5つです。
- テスト商品
- 使用記録用紙(図1)
- 改良した商品コンセプトシート(図2)
- アンケート用紙(図3)
- 返信用封筒(※②と④を郵便で返送してもらう場合に必要)
①のテスト商品は、その商品が実際に使用される場所でテストしてもらえるようにお願いします。その際、使い方は商品コンセプトシートを参考にしてもらいます。
②の使用記録用紙は、一定期間テスト品を使用してもらい、使用記録を記入するための用紙です。図1は、1粒満腹菓子でCPテストをおこなったときの使用記録用紙です。1粒満腹菓子では、テスト品と使用記録用紙を送って、1週間毎日試食していただきました。1週間、毎日どの時間帯に何個食べたかをこの用紙に記録してもらいます。
この使用記録を集計することで、実際に商品がどのように使用されたかがわかり、改良すべき点がわかる場合が多くあります。
③は、商品コンセプトを提示した紙です。図2は、1粒満腹菓子の商品コンセプトのアンケート調査から改良した商品コンセプトの改良版です。ピンク色の部分が改良した箇所です。
この改良版の商品コンセプトを提示してアンケート調査をおこなうことで、テスト品の満足度が違ってくるとともに、このテスト品についての初回購入率もわかります。改良版の商品コンセプトが良ければ、前回のアンケート結果より高い結果が出るはずです。
④のアンケート用紙は、調査協力者に一定期間使用してもらった後に答えてもらうアンケートです。ここで図3をご覧ください。図3は、1粒満腹菓子のCPテストのアンケート用紙の一部です。
⑤の返信用封筒は、記入した使用記録用紙とアンケート用紙を郵送で返送してもらう場合に必要になります。使用記録とアンケートをウェブ上で答えていただく場合は不要です。
次に具体的な実施方法です。
商品コンセプトのアンケート調査を市場調査会社に依頼した会社は、CPテストの調査も同じ調査会社に依頼してください。なぜなら、商品コンセプトのアンケート調査で「ぜひ買いたい」「買ってみたい」と答えた人の個人情報を、その市場調査会社が管理しているからです。
サンプル数分のテスト品と使用記録用紙などをまとめて市場調査会社に送り、市場調査会社から調査協力者にテスト品などを送ってもらって、使用期間終了後にウェブ上で使用記録とアンケートの回答をインプットしてもらう手順となります。
料金は調査会社によってまちまちですが、CPテストのアンケート調査は、一定期間テスト品を使っていただくお礼として、たとえばアマゾンのサイトで使える3000円程度のポイントを贈呈しますので、100サンプル集める場合は、お礼金で30万円必要になります。加えて、商品を調査協力者に送る送料が別途かかります。
一方、自社で商品コンセプトのアンケート調査をおこなった会社は、CPテストの調査も自社でおこなってください。
「ぜひ買いたい」「買ってみたい」と答えた人に、メールか文書を郵送して、CPテストの協力をお願いし、了承していただいた方に、テスト品に関係書類を同封して送ります。この場合は、使用記録用紙とアンケートを郵送で返送してもらう方法と、ウェブ上で答えてもらう方法のどちらかになります。郵送で返送してもらう場合は、返信用封筒も送ってください。
自社で実施する場合でも、調査協力者に対するお礼はなんらかの形で必要です。
また、私の会社(商品企画エンジン)のZadanでも、いろんな会社から依頼を受けて、商品コンセプトテストとCPテストの調査をおこなっています。
Zadanでは、サンプル数が100未満の場合は、調査協力者に使用記録用紙、商品コンセプト、アンケート用紙、返信用封筒をテスト品に同封してお送りし、テスト期間終了後、アンケートに答えてもらい、郵送で使用記録用紙とアンケート用紙を返送してもらいます。
サンプル数が100以上の場合は、集計に時間がかかるので、使用記録とアンケートはウェブ上で回答してもらいます。
商品使用後の満足度を調べる質問と分析
CPテストのアンケートの質問は、全部で6つです。下図はアンケート用紙の一部をクローズアップしたものです。
ご覧のとおり、3つの質問で構成されていますが、アンケートは、商品を実際に使っていただいた後で答えていただくのが基本なので、【質問1】【質問2】【質問3】は、まず商品使用後の満足度をお聞きする質問となっています。
満足度をお聞きする【質問1】は、一定期間テスト品を食べてみて、全体的なテスト品の満足度をお聞きする質問で、「非常に満足」「満足」「どちらともいえない」「不満」「非常に不満」の5つの中から1つを選択してもらう質問となります。
分析のための計算は、上の図の計算式のとおり、【質問1】に対して「非常に満足」および「満足」と答えた人の総数を、得られた総サンプル数で割ってみましょう。そうすれば、「非常に満足&満足率」を算出することができます。
私(梅澤)のこれまでの経験でいえば、企業によってバラツキがあるものの、
「非常に満足&満足率」が70%以上
であれば、お客様はほぼ満足して再購入してくれるでしょう。また「非常に満足&満足率が70%未満」の場合は、【質問2】・【質問3】の回答から不満の理由を分析し、もう1度、「非常に満足&満足率が70%以上」になるように商品をつくりなおしましょう。
- 「非常に満足&満足率」の計算式
- 「非常に満足」と答えたサンプル数+「満足」と答えたサンプル数回収したサンプルの総数
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