ライバルの多いエリアで積極的に営業した理由
私は証券会社の新人時代、1年間で220件の顧客を開拓しましたが、それはマーケティングプロセスにおいて徹底した仮説思考にもとづく営業活動を行なったからです。
特に重視したのが、顧客の絞り込みです。自分が開拓したい最重要顧客のペルソナをひたすら考え、そこから逆算してリストを選定し、ターゲットにアプローチをかけることで、面談率や成約率は劇的に上昇しました。
具体的には、まず会社のデータベースを使って、先輩たちの過去の取引を調べ上げました。その結果気づいたのは、不動産業界と建設業界の経営者は資産運用に積極的な人が多いこと。
さらに自分の営業成績を数字で追っていたところ、ライバルの証券会社の支店があるエリアで飛び込み営業をすると、受付を突破できる確率が高いことにも気づきました。先輩や同僚は、「すでに他社が開拓している地域は営業しても断られるだけだ」と考えて、最初から避けていたにもかかわらずです。
そこで私は「ライバル会社が長年営業してくれたおかげで、証券会社との取引に抵抗がない顧客が多いからではないか」と仮説を立てました。
さらに自分が営業する中で、顧客に資産運用を始めてもらうまでには、「①資産運用に関心を持つ」「②どんな資産運用をするか考える」「③どの金融機関で、どの担当者に資産運用を任せるか考える」の三つのステップがあり、中でも最初の二つのステップの難易度が高く、時間がかかることがわかりました。
だったら断られる率が高くても、資産運用のニーズがすでに明確な相手にアプローチしたほうが早く成果が出ると仮説を立て、行動したのです。この「業界×エリア」の掛け算で顧客を絞り込んだことで、私の新規開拓率は爆発的に伸びました。