「株を始めるのは難しい」と思っている人が多いようだが、実は初心者でも5つのステップさえ踏めば簡単に株式投資をスタートできる。証券会社の選び方、投資資金はいくらが適正か、何をもとに銘柄を決めるのか……ここでは、実際に株式投資を始める際に知っておきたいことを、わかりやすく解説する。

1, 株式投資の始め方を5ステップで解説

株式投資の始め方
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

株式投資を始めるためには、大きく分けて5つのステップをクリアする必要がある。まずは、それぞれのステップで何をすればいいかを簡単に紹介しよう。

ステップ① 証券会社で口座を開設する

個人投資家が売買できるのは、証券取引所に上場している株式である。上場株式の売買を仲介するのは証券会社だ。まず、証券会社ごとの手数料やサイトの使い勝手、取扱商品などを調べて、自分に合う証券会社を選んで口座を開設しよう。

ステップ② 投資する資金を決める

売買ができる環境が整ったら、自分の資産のうちどれだけの金額を投資に回すかを決める。資産のすべてを投資してしまうと、想定外に相場環境が悪化した場合、貴重な資産を大幅に減らしてしまうことになる。

ステップ③ 投資スタイルを決める

株式投資で利益を得るために、短期(1日、長くても数週間)、中期(半年~3年程度)、長期(3年以上)のうち、どの期間で運用するかを決める。自分の資金計画と資産運用の目的を踏まえて、投資期間を決めよう。

ステップ④ 銘柄を調査する

投資金額と投資スタイルが定まったら、実際に取引する銘柄を絞り込む。会社四季報や証券会社の個別銘柄情報を使って、絞り込んだ銘柄の業績や財務状態を調査する必要がある。業績は好調か、財務状態は健全かなどを確認し、投資銘柄を決める。

ステップ⑤ 実際に売買する

口座を開設した証券会社サイトにログインして、取引したい銘柄のページに遷移する。個別銘柄のページで買付または売付のいずれかを選択し、取引希望価格、取引数量などを入力して売買注文を出す。

株式投資を始めるためには、上記の5つのフローを順に踏まなくてはならない。次からは、それぞれの段階で、具体的にどのようなことをすればいいか、どういう数値を確認すべきなどを詳しく説明する。

2,ステップ① 証券会社で口座を開設する――証券会社の選び方

口座を開設する証券会社を絞り込む際は、手数料やツール、取扱商品などの項目のうち、何を優先するかを決めてから複数の証券会社を比較するといいだろう。株の初心者が口座を開設するのに適したネット証券9社の主な条件を比較してみよう。

ネット証券9社 主要項目比較(2020年4月11日現在)

証券
会社名
1注文あたりの
国内現物手数料(税込)
取引ツール
(上段:PC、
下段:スマホ)
IPO取扱銘柄数
(2019年1~12月)※
単元未満株の
取り扱い
約定代金 5万円
以下
10万円
以下
20万円
以下
50万円
以下
SBI証券 55円 99円 115円 275円 HYPER SBI 82件 あり(S株)
SBI証券
株アプリ
楽天証券 55円 99円 115円 275円 マーケット
スピード
26件 なし
iSPEED
松井証券 0円(1日定額手数料体系) ネット
ストック・
ハイスピード
21件 なし
株touch
マネックス
証券
110円 198円 275~495円 マネックス
トレーダー
48件 あり(ワン株)
マネックス
トレーダー
株式スタート
フォン
au
カブコム
証券
99円 198円 275円 kabu
ステーション
24件 あり(プチ株)
kabu.com
岡三
オン
ライン
証券
108円 220円 385円 岡三
ネット
トレーダーWEB2
37件 なし
DMM.com
証券 株
55円 88円 106円 198円 DMM株
STANDARD
17件 なし
スマホアプリ
DMM株
GMO
クリック
証券
96円 107円 265円 はっちゅう君 0件 なし
iClick株/株roid
ライブ
スター
証券
55円 88円 106円 198円 livestar R2 5件 なし
livestar S2

※IPOはREITを除く

株の初心者が初めてネット証券に口座を開設するなら、取引手数料の安さや取引ツールの使いやすさなどを基準にするといいだろう。自分が投資したい商品を取り扱っているかどうかも、確認する必要がある。

その観点で考えると、最初の証券会社としてはSBI証券か楽天証券が無難だろう。どちらも手数料が業界最安水準であり、取引ツールの使いやすさには定評がある。取扱商品も豊富で、何よりネット証券大手という安心感がある。

3,ステップ② 投資する資金を決める――自分に合った資産ポートフォリオを見つけ方

ポートフォリオの決め方のポイント
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

株式に投資する際は、投資に充てられる資金をいくらまで、あるいは余裕資金のどこまでなど、必ず事前に上限を設けるべきだ。初心者はもちろんだが、今後株式投資を続けていく際も、このことは常に意識してほしい。

なぜならば、株式は元本が保証されない金融商品だからだ。相場環境の悪化で保有株式が暴落する、あるいは業績悪化が続いて上場廃止や倒産することもある。自分の資産を全部投入して、このような状況に陥り、財産のほとんどを失うことがないよう十分気をつけてほしい。

資産ポートフォリオの考え方 株に投資する資金の目安

資産から投資に回すべき割合は明確に決まっているわけではなく、あくまで各自の事情に応じて判断することになる。一般的に、投資に充てられる資金は以下のように算出する。

投資可能額=余裕資金{資産-(1ヵ月分の生活費)×(3~6ヵ月)-(使い道が決まっているお金)}×20~80%

この計算式には、3つの重要なポイントがある。

・重要ポイント1,投資可能額は余裕資金が基本
1つ目は、「投資に回すお金は収入ベースではなく、余裕資金ベースで考えること」。生活費を削って投資のための資金を捻出することは、特に初心者は避けたほうがいいだろう。

・重要ポイント2,突発自体やライフプランへの備え
2つ目は、「余裕資金は、①1ヵ月分の生活費3~6ヵ月分の合計額と、②近い将来使い道が決まっているお金を差し引いた残額」ということ。「生活費3~6ヵ月分」の幅は、それぞれの世帯の家族構成や教育資金など、個々の事情に応じて変えればいい。

①は、「突然の病気などで仕事を休まなければならなくなった場合に、当面の生活費や治療関連費に充てられる資金」という意味だ。万一の際は、このような予備費で生活費や突発的な医療費などを補填する。

②は、「今後5年のうちに、各自のライフプラン上必要になる資金」をあらかじめプールしておくという意味だ。

・重要ポイント3,投資商品のリスクによって上限を設定
3つ目は、「余裕資金から投資に回すことができる割合は、低リスクあるいは中リスクの金融商品であれば8割が上限、高リスクであれば2割が上限などと設定すること」だ。この割合は、それぞれリスクを許容できる範囲で設定するといいだろう。

具体例を挙げて、投資可能額を算出してみよう。

貯蓄額が1,000万円、毎月の生活費(住宅ローン返済額も含む)が35万円程度、2年後に新車買い替えのための費用として300万円を見積っている。今後、ローリスクの金融商品に投資しようと考えている場合は、どうなるだろうか。

ローリスクの金融商品に投資する場合は、以下のようになる。 投資可能額={1千万円-(35万円×6ヵ月)-300万円}×80%=392万円

ハイリスクの金融商品に投資する場合は、以下のとおりだ。 投資可能額={1,000万円-(35万円×6ヵ月)-300万円}×20%=98万円

初心者の投資額 10万円に設定するのも妙案

株の初心者は、投資開始早々大きな損失を出してしまうと、株式投資を続ける気力が萎えてしまう可能性がある。そのため、余裕資金の額や購入する金融商品のリスクの大小に関わらず、初期投資額を10万円に設定して、利益や損失を限定するのも手だ。

投資可能資金30万円を持っていると仮定し、A銘柄を株価200円で購入して170円に下落した後、損切りした場合を考えてみよう。

投資可能資金 投資額 保有株数 売却代金
(200円→170円)
損失額 損失割合
30万円 10万円 500株 8万5,000円 1万5,000円 5%
20万円 1,000株 17万円 3万円 10%

A株を10万円分購入した場合は、損失額は1万5,000円、損失割合は5%。A株を20万円分購入した場合は、損失額は3万円、損失割合は10%になる。

株式投資では、ずっと勝ち続けるということはありえない。取引に慣れておらず、投資をしながら知識も身につけていくというフェーズでは、投資額をとりあえず10万円に設定して損失額を抑えるのが賢いやり方と言えるだろう。

4, ステップ③ 投資スタイルを決める―短期投資と中長期投資のメリット・デメリットを把握

代表的な投資スタイル
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

株式投資は期間を基準にして、「短期投資」と「中長期投資」に分けることができる。また短期投資は、売買サイクルによって「デイトレード」と「スイングトレード」に分けられる。

株式投資では、資産をどれくらい増やしたいか、それをいつまでに達成したいかなどを踏まえて、それぞれの投資スタイルの特徴を知り、どの投資スタイルで投資するべきかを見定める必要がある。

短期投資,デイトレードのメリット・デメリット

デイトレードとは、株式や先物取引、FXなどの売買を営業日の立会時間中に完結して、翌日に決済を持ち越さない投資スタイルのことだ。値動きの大きい銘柄を選んで投資する、経験に基づく直感と迅速な判断力が求められる投資スタイルと言える。

代表的な手法に、「スキャルピング」と「デイトレード」がある。

・スキャルピング
スキャルピングでは、数秒あるいは数分の小さな値動きで利ざやを得る取引を、1日に何度も繰り返して利益を積み上げる。

・デイトレード
一方デイトレードは、スキャルピングよりも大きな利ざやを狙って数時間ポジションを保有し、その日のうちに売買を完結させる手法だ。

デイトレードのメリットは、1日のうちに反対売買が行われるため、取引終了後に予期せぬ事態による株価暴落に巻き込まれないことだ。

スキャルピングは1回の取引による利ざやが少ないが、損失額も少ない。裏を返せば、スキャルピングでは1回の取引で大きな利益を得ることは難しい。また1日中パソコンの前に座って、値動きを追いかけ続けなければならないこともデメリットと言えるだろう。

短期投資,スイングトレードのメリット・デメリット

スイングトレードとは、数日間から数週間ポジションを保有して、相場の動きを見ながら反対売買して利益を得る手法のことだ。

この投資スタイルでは、チャート分析によって値上がりのタイミングを狙って購入し、売却する投資家が多い。そのため、チャート分析をしっかり研究してから取引に臨む必要がある。投資初心者にとって、これはデメリットと言えるだろう。

メリットは、購入から売却まで時間があるので、デイトレードに比べて大きな利益を得る可能性があることである。1日中パソコンの前に座っている必要がないことも、会社員にはうれしいところだ。

中長期投資のメリット・デメリット

中長期投資は、割安株や成長株などを数年単位で保有し、十分値上がりしてから売却益を獲得する手法だ。また長期保有を前提に、配当や株主優待を狙って好配当銘柄や株主優待銘柄を保有する手法も、中長期投資の一種である。

中長期投資の2大メリットは、以下のとおりだ。

1,大きな利益を得られる可能性があること
2,一度株式を購入したら、日々の株価の小さな変動を気にする必要がないこと

長期間保有することでメリットがある投資スタイルなので、購入して数ヵ月や1~2年で資金化してしまうと、十分な利益を得られないのがデメリットだ。また、購入前にじっくり企業分析を行って将来性のある銘柄に投資しないと、十分な値上がり益が得られないことにも注意したい。

中長期投資という投資スタイルは、株の初心者に適していると言われている。直感や瞬時の判断力が求められるデイトレードはリスクが極めて高く、経験値の少ない初心者には向かない。多少の株価の上下に惑わされることなく着々と利益を積み上げる、もしくは企業が成長するのをじっくり待つ中長期投資がおすすめだ。

5,ステップ④ 銘柄を調査する―銘柄選びの際は5つの指標を確認しよう

投資スタイルを決めたら、次は実際に投資する銘柄を選ぶ。数日間から数週間ポジションを保有するスイングトレードでも、数年から数十年間株式を保有する中長期投資でも、利益を得るためには事前の調査が不可欠だ。

調査の対象は、経済・業界の動向から、業績、財務状態、配当状況まで多岐にわたる。中でも必ず確認しておきたい代表的指標と基準数値は、以下のとおりだ。

代表的指標 基準数値
PER(株価収益率) 15.9倍(東証一部上場銘柄の加重平均)
PBR(株価純資産倍率) 底値の目安は1倍
ROE(自己資本純利益率) 10%以上
ROA(総資産当期利益率) 5%以上
配当利回り 2.77%(東証一部上場銘柄の加重平均)

株の初心者が初めて銘柄選びをする際は、いくつかの指標を総合的に判断した上で投資銘柄を選定してほしい。投資判断の材料となる代表的な5つの指標について、詳しく説明しよう。

PER(株価収益率)――利益率の高い割安株を見つけるための指標

「PER(倍)=株価÷1株当たり純利益」で算出される。一般的に、予想1株当たり純利益が使われる。

株価が、1株当たり純利益の何倍になっているかを表す。PERの数値が高いと、利益水準に対して割高であると見なされる。PERの数値が低ければ割安なので、買い時と判断できる。

ただし業種によってPERの水準が異なるので、同業種の企業を比較して高いか低いかを判断するようにしたい。

ちなみに、東証一部上場銘柄の平均PERは17.8倍、加重平均PERは15.9倍である(2019年12月末現在)。東証一部上場銘柄の平均PERを上回る銘柄には、「カシオ計算機 <6952>」の18.03倍、「京セラ <6971>」 の21.32倍などがある。平均PERを下回る銘柄は、「トヨタ自動車 <7203>」の10.03倍、「ゆうちょ銀行 <7182>」の13.90倍などだ(4銘柄とも2020年4月13日終値ベース)。

PBR(株価純資産倍率)――資産価値の高い割安銘柄を見つけるための指標

「PBR(倍)=株価÷1株当たり純資産」で算出される。

株価が、1株当たり純資産の何倍になっているかを表す指標だ。1株当たり純資産は企業の資産価値(解散価値)を示しているので、PBRが高いと割高、低いと割安と見なされる。PBR=1倍が底値の目安とされている。

東証一部上場銘柄の平均PBRは、1.2倍(2019年12月末現在)である。東証一部上場銘柄でPBRが平均を上回る銘柄に、「山崎製パン <2212>」の1.46倍、「ソニー <6752>」の2.18倍などがある。平均PBRを下回る銘柄は、「電通グループ <4324>」の0.54倍、「理想科学工業 <6413>」の0.85倍などだ(4銘柄とも2020年4月13日終値ベース)。

ROE(自己資本純利益率)――自己資本を使って効率的に利益を上げているかを判断する指標

「ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100」で算出される。

自己資本を使って、企業がどれだけ効率的に利益を上げているかを測る指標であり、株主から見た投資効率(魅力)を判断できる。ROEが高ければ高いほど、投資する魅力のある企業と見ることができる。

ROEが10%以上だと、優良と言われている。

東証一部上場銘柄でROEが10%以上の銘柄には、「三菱商事 <8058>」の10.70%、「任天堂 <7974>」の14.20%、「中外製薬 <4519>」の19.60%などがある(2020年4月13日現在)。

ROA(総資産当期利益率)――総資産を効率的に使って収益を上げているかを判断する指標

「ROA(%)=当期純利益÷総資産×100」で算出される。

資産全体を使って、どれだけ利益を出せたかを示す財務指標。ROAを見ることで、経営効率を測ることができる。

ROAが5%以上だと、優良企業と見なされる。

東証一部上場銘柄でROAが5%以上の銘柄には、「日本通運 <9062>」の5.60%、「WOWOW <4839>」の8.40%、「串カツ田中HLDG <3547>」の15.60%などがある。

配当利回り――好配当銘柄を見つけるための指標

「配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金÷株価×100」で算出される。

投資の判断基準にする場合は、1株当たりの年間配当金には予想値を使う。株価が下がれば配当利回りは高くなり、株価が上がれば配当利回りは低くなる。株価や配当金額が異なる企業間で、配当を比較するための指標である。

東証一部上場銘柄全体の単純平均配当利回りは2.42%、加重平均配当利回りは2.77%である(2020年3月末株価基準)。

東証一部上場銘柄で加重平均配当利回りが2.77%以上の銘柄には、「ローソン <2651>」の2.80%、「ANA HLDG <9202>」の3.10%、「伊藤忠商事 <8001>」の3.97%などがある。

6,ステップ⑤ 実際に売買する 「成行」と「指値」を使い分ける

株の注文方法
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

企業分析を行って投資する銘柄が決まったら、口座を開設しているネット証券にログインして、対象銘柄のページに遷移する。株はオークション形式で売買が決定され、売買注文は板に表示される。注文方法には、「成行」と「指値」がある。

「成行」とは、価格を指定しない注文方法だ。売り注文ならば板情報で最も高い価格で、買い注文ならば最も安い価格で売買を成立させる。ほぼ確実に約定するが、相場が大きく動いている時は、思わぬ高値で買い、思わぬ安値で売ってしまうというデメリットがある。

これに対して「指値」は、価格を自分で指定する注文方法だ。自分が決めた価格で売買できるが、約定しない可能性があるのがデメリットだ。

板情報を見ながら、約定を優先するなら「成行」で、価格を優先するなら「指値」で注文を出すことになる。

7,初心者が株式投資でやってはいけない5つのこと

初心者の5つのNG行動
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ここまで株の始め方を紹介してきたが、最後に初心者が株式投資をする際に、避けなければならないことを整理しておこう。

NG行動1,1つの銘柄に集中投資する

株式投資の基本は、分散投資である。投資に充てられる資金の多少にかかわらず、すべての資金を1つの銘柄に集中投資すると、その株が暴落した際に大きな損失が出てしまう。

1つの銘柄に投資するなら、積み立てや投資時期を数回に分けるなどの方法で、時間を分散させるべきだ。あるいは、1銘柄につき投資可能資金の20%程度を目安に、複数の銘柄に資金を分散するといいだろう。

NG行動2,株価が下落した銘柄を塩漬けにする

株価が暴落した際に、損切りのタイミングを逸して塩漬けにしてしまうことは避けたい。

配当目的や株主優待目的の長期投資である場合、もしくは一時的な相場環境悪化による株価下落の場合を除いて、「株価が10%下がったら損切りする」など、自分なりのルールを設けて、条件を満たしたら自動的に売却するようにしたい。

「今は下がっているけれど、すぐに戻るかも」「そろそろ下げ止まるはず」などと考えて株価の下落を放置すると、大きな損失を被ることになりかねない。塩漬け銘柄があると、長期間資金を拘束された状態が続くことになり、投資効率が悪くなるので注意してほしい。

NG行動3,さまざまな投資手法に手を出す

投資スタイルは、数多くある。投資期間ではデイトレードや中長期投資、投資方針では成長株投資、割安株投資、テーマ株投資など、投資目的では値上がり益、配当金、株主優待などだ。しかし、これらを手あたり次第試すのは、おすすめできない。

一度投資スタイルを決めたら、一定の成果が出てくるまで変えないほうがいいだろう。変えてしまうと、その投資スタイルのメリットを享受できない、投資経験が積めないなどのデメリットが生じるからだ。どの投資スタイルでも、一定の成果が出てくるまでには時間がかかる。じっくり待つ忍耐力も必要なのだ。

数ヵ月や数年間同じ手法を試してみて、どうしても成果が得られないと判断した場合は、その時点で別のスタイルに切り替えよう。

NG行動4,企業分析をしないで感覚で投資する

株式相場全体が上昇トレンドにあるからといって、すべての銘柄の株価が上昇するわけでも、株価が上昇を続けるわけでもない。デイトレードを除き、一般的な株式投資では個別銘柄の企業分析は必ず行うようにしよう。

財務状態が良好、業績が好調、事業に成長性があるといった企業であれば、今は安くても今後株価が上がる可能性がある。企業分析を行い、各銘柄の成長余力を測った上で投資をするべきだろう。

NG行動5,ハイリスク・ハイリターンの金融商品に飛びつく

投資初心者のうちはなかなか利益が上がらないため、気持ちが焦って早々に大きな利益を獲得したいと思うものだ。だからといって、信用取引や先物取引、オプション取引、FXなどハイレバレッジの金融商品に飛びつくことはNGだ。

まずは現物株式などで、地道にファンダメンタル分析やテクニカル分析を学び、投資経験を重ねて相場観を身につけよう。ハイリスク・ハイリターンの商品に挑戦するのは、それからでも遅くない。

8,株式投資で成功するための基本は「考えること」

株式投資を始める目的は、利益を出して資産形成をすることだ。この目的を達成するためのカギとなるのが、ステップごとに自分で考え、調査して判断するプロセスだ。

証券会社選びから銘柄選び、投資タイミングに至るまで、イメージや聞きかじった情報だけで判断を下しても、利益を得ることはできないと考えたほうがいい。

株の初心者にも、「千里の道も一歩から」が当てはまるのだ。

執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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