2020年1月より、少額短期保険業を生業とする「株式会社JustInCase」が日本で初となるP2P(ピアツーピア)保険「わりかん保険」の販売を開始しました。
わりかん保険は、がんと診断された人に対して支払われた保険金を契約者全員で均等に「わりかん」して、毎月の保険料という形で後払いをする「これまでにない全く新しい保険」です。
実際に支払う保険料には上限が設けられているので他の保険よりも金額が割安で、保険金が支払われなかった月なら支払う保険料がゼロ円になるといったメリットがあります。
今回は、これまでにない新しい保険「わりかん保険」の特徴や仕組み、加入する前に知っておきたいデメリットを解説していきます。
わりかん保険とは?日本初のP2P保険の仕組み
わりかん保険は20歳〜74歳までの人が加入できる「がん保険」で、以下のような特徴があります。
わりかん保険の特徴
- がんになった人の保険金を契約者全員で割り勘
- 割り勘して支払う保険料には年齢に応じた上限金額が設けられている
- がんと診断された時の保険金は一律80万円
- 契約者の中にがんと診断された人がいない月は保険料支払いがゼロ円に
- 契約者が死亡した場合(がん以外も含む)は年齢に応じた死亡保険金が支払われる
がんと診断された人に支払われた保険金を、契約者全員で均等に割り勘する「P2P(ピアツーピア)保険」という分類に属します。
P2P(ピアツーピア)とは、もともとは通信技術や通信方式の呼称で、サーバーを介さず端末同士が直接繋がって通信を行うことを指します。
P2P保険は、利用者同士でグループを形成し、そのグループ内で誰かががんになった場合、他のメンバーが保険金を割り勘して支払うことになります。
もともと「保険商品」は相互扶助の考えで成り立っていますが、これまでの保険商品は前払いで集められた保険料の使われ方や保険会社の手数料(利益)が開示されておらず、果たしてその保険の保障内容と保険料が妥当であるかが不透明でした。
わりかん保険では、先に保険会社が保険金を支払い、支払った保険金額を契約者に開示した上で、均等に割り勘した金額を後払いで集めます。
集めた保険料の使われ方や保険会社の手数料が開示されていることから透明性が高く、保険金を全員で均等に割り勘して負担することから、もともとの「相互扶助」という考え方がより明確化された保険商品だと言えます。
ちなみに、日本では「わりかん保険」が初のP2P保険として登場しましたが、欧州や中国ではすでにいくつかの企業がP2P保険を販売中です。
中でも、中国のアリババが提供するP2P保険の「相互宝」は、2018年10月にサービスをリリースし、およそ1年で加入者数が1億人を突破しています。
わりかん保険の保険料
わりかん保険は、支払われた保険料を契約者全員で均等に割り勘して負担しますが、負担する金額には上限が設けられています。
わりかん保険の保険料上限額
- 20〜39歳:500円/月
- 40〜54歳:990円/月
- 55〜74歳:3,190円/月
わりかん保険の補償期間は1年間で、その都度契約を更新する形となります。
加齢に伴ってがんに罹患する確率が高くなるため、年齢を重ねるにつれて保険料の上限額が上がっていきます。
ただし、これらの金額はあくまで上限額なので、必ずしも上記の金額を支払わなければならない訳ではありません。
たとえば、20〜39歳までの契約者数が1万人で、その内の2人ががんと診断された月の保険料は以下の通りです。
保険料シミュレーション
- 保険金160万円(1人あたり80万円)×管理費用割合30%=管理費用48万円
- (160万円+48万円)÷(契約者1万人-がん罹患者2人)=約208円
つまり、上記の例で言えばその月の保険料は208円となり、この金額を後払い(該当月の翌月支払い)で支払うことになります。
わりかん保険の保障内容
わりかん保険の保障内容は以下の通りです。
わりかん保険の保障内容
年齢 | がん・上皮内がん 診断一時金 |
死亡保険金 | |
男性 | 女性 | ||
20〜24歳 | 一律80万円 | 200万円 | 300万円 |
25〜29歳 | 180万円 | 180万円 | |
30〜34歳 | 150万円 | 60万円 | |
35〜39歳 | 110万円 | 10万円 | |
40〜44歳 | 200万円 | 140万円 | |
45〜49歳 | 120万円 | 60万円 | |
50〜54歳 | 50万円 | 30万円 | |
55〜59歳 | 190万円 | 300万円 | |
60〜64歳 | 90万円 | 240万円 | |
65〜69歳 | 30万円 | 160万円 | |
70〜74歳 | 5万円 | 90万円 |
がん(上皮内がん含む)と診断された場合は一律80万円の一時金が支払われる他、被保険者が死亡した場合は年齢に応じた死亡保険金が支払われます。
死亡保険金は、がん以外の理由で死亡した場合でも保険金が支払われるので、毎月の保険料を抑えつつ万が一の事態に備えておくことができます。
ただし、満期保険金や解約返戻金といった積立機能はなく、掛け捨て保険である点は覚えておきましょう。
わりかん保険のメリット
わりかん保険のメリットは以下の通りです。
わりかん保険のメリット
- 毎月の保険料は最安ゼロ円で年齢に応じた上限額が設けられている
- 他の保険に比べて保険料が割安で保障内容がシンプルでわかりやすい
- 集められた保険料の使われ方や保険会社の手数料が開示されていて透明性が高い
これまでにもお伝えした通り、わりかん保険は実際に支払われた保険金を契約者全員で均等に割り勘して負担する保険です。
支払われた保険金がない月は保険料がゼロ円となり、さらに年齢に応じた上限金額が設けられているので他の保険に比べて保険料が割安です。
また、集められた保険料の使われ方や保険会社の手数料が開示されているため、保険料に対する不安が少なく安心して契約できるというメリットがあります。
わりかん保険のデメリット
わりかん保険のデメリットは以下の通りです。
わりかん保険のデメリット
- 支払われるのは80万円+年齢ごとの死亡保険金のみで保障内容は物足りない
- 保険期間が1年間で一度利用すると翌年からは更新ができない
- 最高で74歳までしか加入できず、終身保障は受けられない
- 満期保険金や解約返戻金などの積立機能がないため、保険料は掛け捨てとなる
わりかん保険の保障内容は非常にシンプルでわかりやすいことがメリットで、保険に入ったことがなかったり興味がなかったりする若者向けの保険商品だといえます。
一方、家族がいる人や40歳以上の人からすると、すでに契約中の保険の方が保障内容は手厚く、わりかん保険の保障内容では物足りないと感じる人が多いかと思われます。
また、最高で74歳までしか加入できないので一生涯の保障は受けられず、入院給付金や手術給付金、先進医療特約なども一切ありません。
そのため、基本的には別の保険を継続しながら、さらに別枠で万が一の事態に備える「オプション」的な立ち位置でわりかん保険の契約を検討するのが良いでしょう。
まとめ
わりかん保険は、これまでの保険商品とは一線を画す、全く新しいタイプの保険商品です。
保険料が割安であることに加え、保障内容がシンプルでわかりやすいという特徴から、これまでに保険に入ったことがない若者向けのがん保険だといえます。
また、P2P保険はこれまでに見られない全く新しい保険商品で、今後ますます成長していくことが予想されます。
日本では2人に1人が「がん」と診断されるほどの罹患率なので、がんに対する保険の最初のステップとして「わりかん保険」を検討されてみてはいかがでしょうか。
プロフィール
ナビナビ保険編集部
どこよりも分かりやすい保険情報を届けることをコンセプトに、FPに無料相談ができる保険情報サイト「ナビナビ保険」を運営。
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