近年、メディアがGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)のロビー活動の活発化を取り上げることが増えています。ワシントンでは大手ハイテク企業関係者の姿が多くみられるようになり、2019年におけるフェイスブック、アマゾン、アップルのロビー活動費は史上最高額になったといわれています。最近ではコロナウイルスの影響でネット関連企業への期待が高まり、ロビー活動は今後ますます加速すると予測されます。
GAFAがロビー活動に注力している
米国では近年、政治の中枢であるワシントンで、GAFA関係者の姿をよく見かけるようになったといわれています。
ロビー活動は、企業や業界が政治に働き掛け、自らに有利な状況をつくろうとする活動を指します。欧米では政治の重要な要素になっており、GAFAがロビー活動にかける費用は増加傾向にあります。GAFAにとって、政府や議会による規制の強化は企業経営を脅かす結果につながることがあります。それを防ぐためにも、ロビー活動によって政治との接点を持っておくことの重要性が高まっているのです。
一方で、米議会や規制機関にとっては、膨大な情報を保有するGAFAの影響力を把握し、管理することが求められます。つまり、ロビー活動はGAFA側にとっても、米議会や規制機関にとっても、意味を持つというわけです。
ロビー活動の狙いとしての事例-2019年の対中関税発動の回避
ロビー活動の狙いとしてGAFAなどネット関連事業が恩恵を被った事例として、記憶に新しいのが2019年末の対中国の関税回避でしょう。
米国は、2019年末に中国に対する制裁措置として、対中制裁関税の発動を予定していました。対中制裁関税が発動されれば、中国本土にて多くの製品を生産している米国のネット関連企業は大きな打撃を受けることが予測されていました。
対中制裁関税の発動においては、多くのビジネスリーダーたちが、米国経済に悪影響を及ぼす内容であることをホワイトハウスに呼び掛けていました。結果として、対中制裁が回避されたことは、ロビー活動の1つの成果といえるかもしれません。GAFAはサービスだけでなく、ロビー活動を交えてそれぞれが目指す世界をつくりあげようとしているのです。
コロナウイルスの影響でさらにネット関連企業への期待が高まる
新型コロナウイルスの出現は、GAFAと政治の距離が近づくロビー活動の重要性をあらためて感じさせる事態となっています。
パンデミック時の対応で重要な施策の1つは、風評や噂、偽情報による混乱を防ぐことです。ホワイトハウスは、GAFAなどの大手ネット関連会社と電話会議を開き、対策について協議しました。
さらに、連邦政府とGAFAは情報を共有し、ネットを活用した遠隔での医療実施や、通学を止められた学生を対象に、オンラインによる教育システムを導入することなどを検討しています。
日本においても、各企業から無償で提案されているオンライン学習や在宅ワークなどの支援を、内閣官房、総務省及び経済産業省がとりまとめて、データ・フォーマットを標準化し、公開する「#民間支援情報ナビ」プロジェクトを実施しています。
日本でも対話型のアプローチであるロビー活動が求められる
日本でのロビー活動に目を向けると、アメリカほど活発ではないことがわかります。業界ごとに利益を獲得するために、政治や行政に一方的に働きかける陳情の要素が大きかったのが実情です。
しかし、近年は企業や業界の利益獲得という概念ではなく、公益性のある理念を掲げて、すべてのステークホルダーを巻き込み、社会全体に働きかける対話型のアプローチによって政治や行政に接近していくロビー活動が求められています。
ロビー活動の狙いは、プレーヤーを広く巻き込み、企業が成長を継続すること
ロビー活動は、GAFAのような巨大企業にのみ必要な施策ではありません。中小企業やベンチャー企業にとっても重要な取り組みです。グローバル化した現代で、企業が成長を継続するためには、新しい市場を開拓したり、新しいビジネスをスタートしたりする必要があります。
新しい市場開拓や新しいビジネスのスタートのためには、企業が広義の政治(進出する国の政府や財閥、規制当局、関連業界の人脈)に働きかけるロビー活動が非常に重要になります。ロビー活動の狙いは企業が成長を継続することなのです。特に海外でのビジネスの1つの側面として、ロビー活動についての知識をもっておきましょう。(提供:JPRIME)
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