訪日外国人客の8割以上が、日本滞在中に日本酒を飲むと答えています。また、日本酒の海外への輸出量が年々伸びています。国内での出荷量が減少傾向にあるのとは対照的です。輸出先の8割を台湾、香港、中国、韓国、アメリカの5つの国と地域が占めており、「SAKE」を好んで楽しむ文化が広まっている地域と言えます。
先駆けはロバート・デ・ニーロ氏と松久信幸氏が展開した和食店「NOBU」
日本酒が世界的な支持を得るようになったきっかけを作った立役者と言われているのが和食レストラン「NOBU」です。日本料理のシェフ松久信幸氏とハリウッド俳優であるロバート・デ・ニーロ氏が共同経営しており、日本酒のラインナップを充実させながら17ヵ国で事業を展開しています。
そんなNOBUで使われている日本酒は、新潟県佐渡島の北雪酒造の大吟醸がメインです。デ・ニーロ氏本人が一番気に入ったからと言われています。実際には、日本酒の定着は決して順調に進んだわけではありませんでした。
当時の日本酒の相場が1杯あたり3ドル前後だったのに対し、NOBUに置かれている大吟醸は1杯あたり12ドルで販売しないと元を取れなかったのです。相場よりも4倍も高いのでは、なかなか注文してもらえなかったのも無理もありません。
そこで、冷やした青竹の筒でぐい吞みしたり、ワイングラスでアロマを楽しみながら飲んだりなど、新しいスタイルの提案やプレゼンテーションを精力的に進めました。これが功を奏し、日本酒が欧米を中心に食中酒として定着していったのです。つまり、SAKE文化が世界に浸透する土壌をつくったのがNOBUであるとも言えるのです。
エド・シーランやギタリストのMIYAVIもプロデュース
最近では、世界を舞台に活躍するアーティストによる日本酒のプロデュースも目立つようになっています。2019年にはヒップホップなどの分野で活躍するファレル・ウィリアムスがNIGOとコラボして、丹波の酒をリリースしました。
また、世界的なヒットメーカーとなったエド・シーランは、小西酒造とコラボレーションして、自身の似顔絵のラベルが特徴的な日本酒をリリースしましたし、世界的なDJであるリッチー・ホウティンは、関谷酒造とコラボして「ENTER.SAKE」という新ブランドをリリース。さらに、日本酒とテクノを楽しめるパーティーを催すなど、精力的に活動しています。
本場の日本勢も負けてはいません。世界的なギタリストになったMIYAVIは、ファレル・ウィリアムスがリリースした同年に、「月の桂」で有名な浜田徳兵衛商店とコラボして「MIYAVI SAKE」をリリースしました。
ドンペリの元最高醸造責任者が富山に酒造建築
ドンペリニヨン(ドンペリ)と言えば高級シャンパーニュの代名詞ですが、ドンペリニヨンで以前に最高醸造責任者を務めていたリシャール・ジョフロワ氏も、日本酒好きでした。シャンパーニュ界でレジェンドと称されるジョフロワ氏は、ついには富山県の立山町で日本酒をつくるということで、酒造建築にまで踏み切りました。
富山県はこの酒造建築プロジェクトを全面的にバックアップしており、酒造建築には建築界の巨匠である隈研吾氏も加わっています。異国の巨匠が、富山県から世界へSAKEを旅立たせる日が待ち遠しいです。
10万円越えの高級日本酒も
日本酒の価値について国境を越えて広く理解されるようになったいま、米作りからこだわり、醸造技術を高めてたどり着いた「プレミアム日本酒」が支持を集めています。そんなプレミアム日本酒には、10万円を超えるものもあります。もはやヴィンテージワインに匹敵する境地に達しているのです。
たとえば25年もの歳月をかけて熟成させた、「沢の鶴」が製造する「現外」は16万5,000円の値段です。さらには入札方式を使って価値を問うたものもあります。それは黒龍酒造の「無二」で20万円前後です。「無二」をさらに超えるのが新澤醸造店の「零響」。精米歩合の限界に挑んだ純米大吟醸は35万円というから驚きです。
世界中で愛される日本酒がこれからさらにグローバルな活躍をする姿が目に浮かぶようです。(提供:JPRIME)
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