預金金利の低水準が続く昨今でも好金利が特徴の預金もある。その一例がSBI証券と住信SBIネット銀行の「SBIハイブリッド預金」というサービスだ。このSBIハイブリッド預金の特徴やメリットとはどのようなものか解説していこう。

目次
1,SBIの「ハイブリッド預金」とは何か?
2,SBIのハイブリッド預金4つのメリット
3,SBIのハイブリッド預金のデメリットと対処法は?
4,SBIのハイブリッド預金の開設・設定方法
5,貯蓄も投資もできるSBIハイブリッド預金

1,SBIの「ハイブリッド預金」とは何か?年0.01%の好金利預金

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(画像=create jobs 51/Shutterstock.com)

住信SBIネット銀行とSBI証券では銀証連携サービスとしてSBIハイブリッド預金という円預金サービスを提供している。同預金に入金することでSBI証券の口座に買付余力として自動的に反映し、株式や投資信託などへの投資に利用できる。つまり住信SBIネット銀行にハイブリッド預金として資金を預けつつ、預金でありながらいつでもその資金を利用しSBI証券で投資ができるサービスなのだ。

ハイブリッド預金は単に銀行に預けた資金で証券投資が可能となるだけではなく、好利率である点も特徴の一つ。長引くマイナス金利政策の影響もあり、現在の銀行の普通預金の金利は以前低いままだ。2020年5月28日現在で、メガバンクを中心に多くの銀行の普通預金金利は年0.001%(税引前)だ。

しかしSBIハイブリッド預金の場合は年0.010%(税引前)と一般的な普通預金の10倍もの金利が適用される。SBIハイブリッド預金には好金利という大きなメリットがあるが、実は金利以外にもさまざまなメリットがある。

2,SBI証券のハイブリッド預金4つのメリット

ここからは住信SBIネット銀行とSBI証券の連携サービスであるハイブリッド預金のメリットを見ていこう。

メリット1 年0.01%の好金利

SBI証券のハイブリッド預金であれば年0.01%(税引前)の金利がつく。一般的な普通預金の金利年0.001%(税引前)と比較すると10倍の金利だ。投資先がなく他社の証券口座で眠っているような余剰資金や金利の低い普通預金などはハイブリッド預金への移動を検討してもいいだろう。

メリット2 利払いは年2回ではなく毎月

ハイブリッド預金の利払いは毎月行われている。毎月第三土曜日に利息が計算され翌日に入金される。一般的な金融機関の普通預金の利払いは多くが年2回だ。しかしハイブリッド預金では年12回もの利払い日があり、毎月利息を受け取れるメリットがある。

メリット3 預金保険制度の対象

SBI証券のハイブリッド預金は銀行預金という性質上、元本保証ならびに預金保険制度の対象となっている。

預金保険制度とは万が一預金をしていた金融機関が破たんした場合でも、元本1,000万円までとその元本に対する利息が保護される制度だ。ただし元本1,000万円を超える部分については、破綻時の金融機関の財産状況に応じて支払いが行われる。

メリット4 ATM利用料・振込手数料が一定回数無料

ハイブリッド預金などの住信SBIネット銀行のサービスを利用している場合には、同社が提供しているスマートプログラムの対象となる。同プログラムでは顧客の利用度に応じてランク1からランク4までに分けられ、ランクによってATM利用料・振込手数料の無料回数が変化する。具体的な回数は以下の通りだ。

  ATM利用手数料
無料回数
振込手数料
無料回数
ランク4 月15回 月15回
ランク3 月7回 月7回
ランク2 月5回 月3回
ランク1 月2回 月1回

ランク判定対象月の判定条件とランクアップ条件を満たすと、翌々月に新ランクが適用される。

口座開設時はランク2からスタートし、開設当初2カ月間は一律ランク2、3カ月目から6カ月目はランク2以上で、判定対象月の条件次第では翌々月のランクにランク3、ランク4が適用される。

口座開設7か月目以降は、前々月の判定対象月の条件に応じてランク1からランク4まで適宜適用される。

判定対象月の月末預金残高が30万円未満や、30歳未満など、いずれの条件も満たさない場合にはランク1となるが、それでも月2回のATM利用料と月1回の振込手数料は無料。

ランク3は月末預金残高300万円以上、ロドアドバイザー資産運用残高合計が月末時点で100万円以上、住宅ローンを利用などの条件が1つでも達成されれば、翌々月に適用され、ATM手数料と振込手数料が月7回まで無料になる。これらが難しくても

・外貨預金(普通・定期)の月末残高あり
・SBIハイブリッド預金の月末残高あり
・給与、賞与、または年金の月内入金あり

という3つを満たせばランク3になれるので、そう難しい条件ではないはずだ。

なお、ランク4はハイブリッド預金だけでは達成できず、外貨預金と仕組預金の月末残高合計が500万円以上、または外貨預金と仕組預金の月末残高合計が300万円以上かつ住宅ローンを利用といった条件となる。

3,SBIハイブリッド預金のデメリットと対処法は?

SBIハイブリッド預金には、あると便利なサービスが用意されているが、若干使いにくさを感じる点もある。銀行口座を開設する前に、デメリットとその対処法についても確認しておこう。

デメリット1、ATMからハイブリッド預金に直接現金を入金できない(出金も不可)

住信SBIネット銀行口座のSBIハイブリッド預金は、本来SBI証券の預り金自動スィープサービスであり、第2の証券口座という位置付けなので、SBIハイブリッド預金からATMを使って直接現金を入出金することはできない。

そのため、証券のサイトで口座を開設する時点では、「認証番号カード」(振込などの各種銀行サービス時に使用)は発行されるが、銀行キャッシュカードは発行されない。

住信SBIネット銀行の代表口座円普通預金に紐付いた銀行キャッシュカードはあるので、キャッシュカードが必要な場合は、認証番号カードが届いてから銀行のWebサイトにログインして、キャッシュカードの発行を申し込む。

クレジットカードや公共料金の引き落としについても、SBIハイブリッド預金ではなく、代表口座円普通預金を利用する。さらに、SBIハイブリッド預金に資金を入金または出金する際は、いったん銀行サイトにログインして、資金の振替処理をする必要がある。

念のため、SBI住信ネット銀行のSBIハイブリッド預金の入出金方法を確認しておこう。

・住信SBIネット銀行(SBIハイブリッド預金)への入金方法
SBIハイブリッド預金への入金は、以下の手順で行う。

1 銀行キャッシュカードを使って、ATMから住信SBIネット銀行の「代表口座円普通預金」に入金する、あるいは他行から「代表口座円普通預金」に振込入金する。

2 住信SBIネット銀行サイトで、資金を「代表口座円普通預金」から「SBIハイブリッド預金」に振り替える(手数料無料)。

3 銀行サイトにログインしてから、「商品・サービス」→「振込・振替・支払」→「振替」に進んで、「代表口座円普通預金」から「SBIハイブリッド預金」への振替金額を指定する。

・住信SBIネット銀行(SBIハイブリッド預金)から出金する方法
入金時とは逆の手順で、以下のように出金する。

1 住信SBIネット銀行サイトにログインして、資金を「SBIハイブリッド預金」から「代表口座円普通預金」に振り替える(手数料無料)。

2 銀行キャッシュカードを使ってATMから出金する、あるいは他行宛てに振込出金する。 また、SBI証券総合口座を経由して出金することもできる。

③SBI証券のATMカードを持っている場合は提携ATMから出金する(5,000円以上1,000円単位)、もしくはSBI証券サイトにログインして登録金融機関に出金指示を出す方法もある。

デメリット2、ハイブリッド預金残高を即金規制のかかったIPOには使えない

人気の高いIPO銘柄の中には、上場初日に初値が付かず、即金規制がかかることがある。この場合、証券口座の預り金または現金残高しかIPOの買付注文に使えなくなる。

SBIハイブリッド預金は、もともと証券口座の買付余力として見なされる資金なので、即金規制がかかったIPO銘柄の買付注文には、ハイブリッド預金を使えないので注意したい。なお、IPO抽選時の買付余力(前金)にはSBIハイブリッド預金残高を利用できる。

4,SBIハイブリッド預金の開設・設定方法

SBI証券に口座を持っている人が、SBIハイブリット預金を利用するための手続きの流れを確認しておこう。

SBI証券のログインサイトから住信SBIネット銀行口座を開設すると、すでにSBI証券に登録されている個人情報を、同意の上で住信SBIネット銀行に引き継ぐことができる。わずらわしい個人情報の入力や、本人確認書類の提出が必要ないので便利だ。

住所などに変更がある場合は、SBI証券の「口座管理」→「お客様情報設定・変更」で変更してから、住信SBIネット銀行の口座開設申込を始めること。これによって、新しい情報が住信SBIネット銀行に引き継がれる。

なお、SBI証券ログインサイトを経由した住信SBIネット銀行の口座開設は、個人と成人を対象としたサービスであり、法人や未成年者は利用できない。

ステップ1:SBI証券サイトから住信SBIネット銀行口座開設サイトを開く

SBI証券サイトにログインして、SBI証券のメニューバーから「銀行」を選んで、「TOP」タブを開く。

「銀行」→「TOP」ページにある上記ボタンのうち、「銀行口座開設はこちら(銀行代理業)」ボタンをクリックする。

ステップ2:銀行の概要と口座開設の流れを確認する

住信SBIネット銀行の概要と口座開設の流れが掲載されたページに遷移するので、内容を確認して、ページ最下部の「同意のうえ申込入力画面へ」ボタンをクリックする。

ステップ3:「申込入力画面」に必要事項を入力する

申込入力画面は、「住信SBIネット銀行の口座開設申込」と「SBIハイブリッド預金のスィープサービス申込」に分かれており、以下のような項目が設けられている。

・居住地国
・閲覧書類(個人情報保護方針、SBIハイブリッド預金規定など)
・Eメールアドレス
・SBIハイブリッド預金(預り金)預り金自動スィープサービス申込チェック欄、など

すべての書類を閲覧しないと、それぞれの「同意」チェックボックスを押下することができないので注意してほしい。

同画面では、銀行の口座開設と併せて、預り金自動スウィープサービスの申込も忘れないようにしよう。

最後に、申込入力画面の最下部に「取引パスワード」欄があるので、証券の取引パスワードを入力してから「確認画面へ」をクリックする。

ステップ4:入力内容を確認する

確認画面に変わったら、すでに入力されている個人情報などを確認する。

SBI証券に登録されている個人情報が引き継がれているので、まだ変更されていない項目がある場合は、証券の「お客様情報設定・変更」に戻って変更する。

すべての入力内容に誤りがないことを確認したら、最下部の「申込」を押下する。

ステップ5:銀行口座開設完了→完了通知メールを受信する

「口座開設申込・完了」画面が開く。

住信SBIネット銀行が口座開設申込を受け付けて、手続きが完了すると、登録したメールアドレス宛てに「【住信SBIネット銀行】口座開設申込完了のお知らせ」という通知が届く。

ステップ6:銀行サイトに初回ログインする

SBI証券サイトにログインした状態で、申込当日は「住信SBIネット銀行/口座開設」ボタン、日付が変わったら「住信SBIネット銀行/ログイン」ボタンをクリックして、銀行サイトにログインしてからパスワードなどを設定する。

銀行の「SBIハイブリッド預金」メニュー→「便利な機能とサービス」→「振替上限額の設定」で、証券口座とハイブリッド口座の振替上限額を指定できる。それぞれ残したい金額を都合に合わせて設定するといいだろう。

5,貯蓄も投資もできるSBIハイブリッド預金

SBI証券と住信SBIネット証券が連携して提供しているハイブリッド預金は多くのメリットがあり、まさに貯蓄と投資のハイブリッドが可能な預金だ。もし貯蓄か投資か迷っている人はまずはハイブリッド預金に資金を預けてもいいだろう。

執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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