外貨の売買を通じて利益を狙うFXは、その手軽さや成功した時の利益の大きさもあって、個人投資家に人気です。FXというと短期での売買を想像する人が多いかもしれませんが、短期売買以外にも利益を狙う方法があります。

今回紹介したいのは「高金利通貨のスワップ投資」です。ご存じのとおり、日本では長らく超低金利が続いており、今後も金利が急上昇することは考えにくい状況ですが、世界には金利の高い国々があります。「外貨の高い金利を味方につけて、資産を増やすことはできないか?」と思う人も多いでしょう。

当記事ではその疑問に答える形で、FXの仕組みを利用した高金利通貨のスワップ投資について解説していきます。

FXで利益を上げる方法は2通り

FX投資,高金利通貨スワップ投資
(画像=creativa-images/stock.adobe.com)

投資による利益は、大きく分けて2通りあります。1つは値上がりなどの価格差によるキャピタルゲインで、もう1つは配当や利息など保有していることで得られるインカムゲインです。

これをFXに当てはめると、為替差益はキャピタルゲインで、高金利通貨を保有していると得られるスワップはインカムゲインです。高金利通貨スワップ投資が狙うのは、このインカムゲインです。

キャピタルゲイン(保有資産の売却によって得られる売買差益) → 通常の為替差益
インカムゲイン(資産を保有していると得られる収益)→ 高金利通貨スワップ投資

高金利通貨スワップ投資とは

FXでは金利水準が異なるさまざまな通貨を取引することができ、低金利通貨を売って高金利通貨を保有すると、その金利差を調整するためにスワップが支払われます。スワップは毎日支払われるので、文字どおり毎日コツコツと資金を増やすことができるのが魅力です。

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(画像=Incomepress編集部)

※実際のFX取引では単純に5.9%のスワップが発生するわけではありませんのでご注意ください。

2020年6月現在、「みんなのFX」というFX取引サービスでは、メキシコ・ペソ/円の10万通貨あたりスワップが1日80円です。メキシコ・ペソ/円の実効レートが5円前後なので、10万メキシコ・ペソを保有するのに必要な資金は約2万円です。

本来であれば5円×10万通貨で50万円が必要になりますが、FXにはレバレッジの仕組みがあるため、最低必要資金はその25分の1にあたる2万円で済みます。

仮に2万円で10万メキシコ・ペソを1年間保有すると、スワップ収入は80円×365日で2万9,200円となり、単純計算で運用利回りは146%になります。これは理論上の数値ですが、これだけの高利回りが見込めるのが高金利スワップ投資なのです。

FXで取引できる高金利通貨3つ

日本国内のFX取引会社が取り扱っている高金利通貨は、主に以下の3つです。

1.メキシコ・ペソ
2.南アフリカ・ランド
3.トルコ・リラ

ただし、3のトルコ・リラは長期的に下落トレンドが続いていることと、通貨当局の方針で政策金利の引き下げが続いているため、長期的かつ安定的なスワップ収入を狙うのは難しいかもしれません。

2の南アフリカ・ランドについても、長期的に見るとやや下落傾向が見られるため、上記3通貨の中で最もスワップ投資に適しているのは3のメキシコ・ペソということになります。ただし、これについても2020年6月時点の値動きから言えることであり、未来永劫同じ傾向が続くかどうかはわかりません。

注意したい2つのリスク

一般的に、FXはリスクが高い投資と言われています。それはキャピタルゲイン狙いのトレードに当てはまることです。では、コツコツとインカムゲインを積み上げるスワップ投資には当てはまらないのかというと、そんなことはありません。2つのリスクを挙げましょう。

1.高金利国は新興国で政治や経済に脆弱性がある
2.急激な円高

最大のリスクは、ここで挙げた高金利国のすべてが新興国であり、政治や経済に脆弱性を抱えていることです。資源価格に左右されやすいメキシコ・ペソと南アフリカ・ランドは、原油や金などの資源価格が下落すると通貨にも下落圧力がかかりやすく、地政学リスクが高いトルコでは、軍事的な緊張や政情不安がトルコ・リラの下落圧力となっています。

もう1つのリスクが、これらの高金利通貨とペアを組んでいる日本円の急激な上昇(つまり円高)です。リーマンショックやコロナショックなどが起きると急激な円高になり、メキシコ・ペソや南アフリカ・ランド、トルコ・リラなどが暴落しました。

すると時間をかけて蓄積してきたスワップ収益が一気に吹き飛んでしまい、最悪の場合は資金不足となって強制ロスカットになる可能性もあります。

これを防ぐために、長期的なスワップ投資をする場合は資金に余裕を持たせることが必須です。実効レバレッジを2~3倍程度に下げ、過去の最安値まで下落したとしてもロスカットにならない水準を維持しながら投資をするなどして、適切なリスク管理を心がけましょう。(提供:Incomepress


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