FX口座を最初に開設するにあたり、DMM FXとFXネオは引き合いに出されることが多い。しかし違いが分かりにくいと感じる人もいるだろう。FX初心者が安心して取引できるか、あるいはお得に取引できるかに焦点を当てて、2つのFX口座を比較してみよう。

目次
1,DMM.com証券とGMOクリック証券、FX口座の基本情報
2,DMM FXとGMOクリック証券FXネオのスプレッド比較
3,DMM FXとGMOクリック証券FXネオのスワップポイント比較
4,追加証拠金制度とロスカット制度の比較
5, DMM FXとGMOクリック証券の特徴の違いは?

1, DMM.com証券とGMOクリック証券、FX口座の基本情報

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(画像=manusapon/stock.adobe.com)

最初に、DMM.com証券FXとGMOクリック証券のホームページ上で紹介されているFX口座基本情報を参照し、2つのFX口座のどこに違いがあるのかを確認してみよう。

FX口座の基本スペック比較

  DMM.com証券 GMOクリック証券
FX口座名
(商品名)
DMM FX FXネオ
口座数
(2020年
1月31日現在)
75万7,511口座 65万4,625口座
入金 ・クイック入金手数料 →
無料(会社負担)
・振込入金→利用者負担
・即時入金手数料→
無料(会社負担)
・振込入金→利用者負担
出金 ・手数料無料(会社負担)
・2,000円以上
・手数料無料(会社負担)
・1万円以上
取引通貨ペア数 20通貨ペア 20通貨ペア
取引通貨単位
(米ドル/円)
1万通貨単位 1万通貨単位
最大発注数量
(米ドル/円)
100万通貨 【通常モード】100万通貨
【Exモード】500万通貨
キャンペーン・特典 ・口座開設&新規取引で
2万円キャッシュバック
・取引応援ポイント
(ポイントランクに
応じて最大3倍付与)
・口座開設&新規取引で
最大3万円キャッシュバック
米ドル/円
スプレッド
0.20銭 0.20銭
米ドル/円
スワップポイント
(2020/7/8
付与分実績)
9(買)/-12(売) 9(買)/-12(売)
追証発生水準 証拠金維持率100% 証拠金維持率100%
追証未解消による
強制決済手数料
なし 1万通貨当たり500円
(税込)
ロスカット発動水準  証拠金維持率50% 証拠金維持率50%
ロスカット手数料 なし 1万通貨当たり500円
(税込)
投資情報 ・マーケット情報
・経済指標カレンダー
・初心者向け学習
ページが豊富
・GMOクリックTV
投資チャンネル
・経済カレンダー
デモ取引 ・仮想マネー500万円
・利用期間3ヵ月間
・デモ取引純資産額
ランキングの
キャンペーン
(賞品付き)は随時開催
・仮想マネー
10万~9,999万円の
範囲で任意に設定
・利用期間1ヵ月間
サポート体制 ・電話は
月曜日7:00~
土曜日7:00まで
(夏時間は月曜日
7:00~土曜日5:50まで)
・メールフォームでの
問い合わせも可
・電話は月曜日7:00~
土曜日7:00まで
(夏時間は月曜日7:00~
土曜日6:00まで)
・問い合わせフォーム
の利用も可

DMM FXとGMOクリック証券FXネオの基本情報を見ると、取引単位や取扱通貨ペアの種類、追証発生水準、ロスカット発動水準など、FX取引そのものに関わるルールは基本的に同じである。

違いが見られるのは、手数料と特典内容だ。

DMM FXとGMOクリック証券の違い1,DMM FXは追証とロスカット手数料も無料

DMM FXでは、手数料は基本無料である。入出金(入金手数料無料はクイック入金のみ)だけでなく、追証が解消されなかった場合の強制決済手数料とロスカット手数料も無料だ。それに対して、GMOクリック証券FXネオの追証未解消による強制決済手数料とロスカット手数料は、いずれも主要通貨ペア1万通貨単位につき500円(税込)である。

DMM FXとGMOクリック証券の違い2,GMOクリック証券は口座開設のキャッシュバックが高い

キャンペーン・特典に関しては、DMM FXは口座開設キャンペーン以外に、賞品付きのデモ取引純資産ランキングキャンペーンも頻繁に開催されている。

GMOクリック証券FXネオでは、口座開設&新規取引キャッシュバック特典の金額が最大3万円であり、DMM FXよりも高い。

DMM FXとGMOクリック証券のどちらも、営業日のほぼ24時間、メールに加えて電話でも問い合わせを受け付けている。深夜も相場が動くFXに挑戦する初心者にとっては、どちらの会社のサポートも非常に心強い。

2,DMM FXとGMOクリック証券FXネオのスプレッド比較 それぞれ20種類の通貨ペア

取引手数料が無料のFXでは、主なコストといえばスプレッドだ。FXで利益を出したければ、よりスプレッドの幅が狭い通貨ペアや業者を選ぶべきだろう。

DMM FXとGMOクリック証券FXネオは、スプレッドの狭さで定評がある。実際に、この2つのFX口座の取扱通貨ペアの種類やスプレッドの幅には、どのような違いがあるのだろうか。以下で、両社が公表する原則固定の通貨ペア別スプレッドを比較してみよう。

取扱通貨ペア別スプレッド比較表(2020年7月8日現在)

  DMM FX GMOクリック証券
FXネオ
米ドル/円 0.2銭 0.2銭
ユーロ/円 0.5銭 0.5銭
英ポンド/円 1.0銭 1.0銭
豪ドル/円 0.7銭 0.7銭
NZドル/円 1.2銭 1.2銭
スイスフラン/円 1.8銭 1.8銭
カナダドル/円 1.7銭 1.7銭
南アフリカランド/円 1.0銭 1.0銭
トルコリラ/円 1.7銭
メキシコペソ/円 0.3銭
ユーロ/米ドル 0.4pips 0.4pips
英ポンド/米ドル 1.0pips 1.0pips
豪ドル/米ドル 0.9pips 0.9pips
NZドル/米ドル 1.6pips 1.6pips
米ドル/スイスフラン 1.6pips 1.6pips
米ドル/カナダドル 1.8pips
ユーロ/英ポンド 1.0pips 1.0pips
ユーロ/豪ドル 1.5pips 1.5pips
ユーロ/NZドル 3.5pips
ユーロ/スイスフラン 1.8pips 1.8pips
英ポンド/豪ドル 1.6pips 1.6pips
英ポンド/スイスフラン 2.8pips 2.8pips

DMM FXとGMOクリック証券FXネオが取り扱う通貨ペアの数は、どちらも20通貨ペアで同じだ。そのうち18通貨ペアは共通であり、スプレッドの幅もまったく同じなので優劣はつけられない。

20通貨ペアのうち、DMMだけが取り扱っている通貨ペアは米ドル/カナダドルとユーロ/NZドルで、GMOクリック証券FXネオだけが取り扱っているのはトルコリラ/円とメキシコペソ/円だ。

DMM FXだけが取り扱う米ドル/カナダドルとユーロ/NZドルの特徴

米ドル/カナダドルとユーロ/NZドルは、いずれも通貨としての信頼性は高いが、スプレッドの幅が広い通貨ペアである。

米ドル/カナダドルは、米ドル/円以外のクロス円通貨ペア(米ドルが含まれない、円を決済通貨とした組み合わせ)よりも流通量が多いため、取引の対象としては無難だ。ただし、スプレッドの広さが利益を圧迫する可能性は否めない。

ユーロ/NZドルは、スプレッド幅が比較表に掲載されている通貨ペアの中で最も広く、世界の基軸通貨である米ドルが含まれていないため、値動きもわかりにくい。初心者にとって、利益を出すのが最も難しい通貨ペアと言えるだろう。

GMOクリック証券が取り扱うトルコリラ/円とメキシコペソ/円の特徴

トルコリラ/円とメキシコペソ/円は、高金利通貨として人気のある通貨を基軸通貨に、円を決済通貨とする通貨ペアである。メキシコペソ/円はさておき、トルコリラ/円のスプレッドは1.7銭で決して狭いスプレッドではない。

トルコとメキシコは地政学的リスクが高く、値動きが激しいため、表示されている原則固定スプレッドから大きく開く可能性が高い。

初心者にとっては難易度が高いので、短期トレードではなく、中長期の保有を前提としたスワップポイント目的の購入に向いている通貨ペアだ。

3,DMM FXとGMOクリック証券FXネオのスワップポイント比較 GMOクリック証券のほうが高い

FXのスワップポイントで利益を出す方法は比較的リスクが低く、中長期的に保有することで利益を積み上げられるため、FX初心者におすすめだ。この投資手法では、スワップポイントの高さはFX業者や通貨ペアを選ぶ際の必須条件になる。

DMM FXとGMOクリック証券FXネオでは、各社のホームページ上にスワップカレンダーを公表している。国内の人気通貨ペアのスワップポイント(実績)に、どれほどの違いがあるか見てみよう。

主要通貨ペア別スワップポイント比較表

通貨ペア DMM FX GMOクリック証券
FXネオ
買い 売り 買い 売り
米ドル/円 9 -12 9 -12
ユーロ/円 -6 3 -13 10
英ポンド/円 1 -4 6 -9
豪ドル/円 2 -5 1 -4
NZドル/円 2 -5 4 -7
トルコリラ/円 22 -25
メキシコペソ/円 40 -70
南アフリカランド/円 6 -9 60 -90
ユーロ/米ドル -17 14 -22 19
英ポンド/米ドル -7 4 -10 9
豪ドル/米ドル -4 1 -5 2

※2020年7月8日、1日分付与実績

国内で最も人気がある米ドル/円のスワップポイントは9(買い)と-12(売り)で同じだが、他の通貨ペアの多くは、GMOクリック証券FXネオのスワップポイントのほうが大きい。

GMOクリック証券では、高金利通貨と呼ばれる南アフリカランド、トルコリラ、メキシコペソを含む通貨ペアを揃えており、スワップカレンダーにも「高金利通貨ペア」と記載されている。

GMOクリック証券のほうが、より高いスワップポイントを提供していると言えるだろう。

4,DMM FXとGMOクリック証券の追加証拠金制度とロスカット制度の比較

FXは証拠金取引であり、自己資金の25倍もの取引ができるため、顧客の損失額を限定するための仕組みが欠かせない。

以下は、両社ホームページに掲載されている追証とロスカットルールを参照して作成した比較表である。DMM FXとGMOクリック証券FXネオの共通点と相違点を、詳しく見てみよう。

追証関係内訳 DMM FX GMOクリック証券FXネオ
証拠金維持率(※1)
判定タイミング
毎営業日クローズ時点
※翌朝午前5時59分、
※土曜日朝のみ午前5時50分
毎営業日ニューヨーク
クローズ時点
追証発生水準 証拠金維持率が
100%を下回った場合
証拠金維持率が
100%を下回った場合
追証発生の
確認方法
顧客にメールで通知 顧客にアラート
メールを送信
追証発生による影響 ・新規注文と出金の停止
・未約定注文と出金予約の取消
・新規注文と振替出金の停止
・未約定注文の取消
追証解消方法※2 ・追証金額以上を入金
・ポジションの一部を決済
・追証金額以上を入金
・ポジションの一部を決済
追証解消期限 追証発生の翌営業日の
・夏時間:午前5時59分まで
・冬時間:午前4時59分まで
追証発生の翌営業日の
日本時間午前3時00分まで
強制決済時刻 追証発生の翌営業日の
・夏時間:午前6時00分
・冬時間:午前5時00分
追証解消期限後、
強制決済※3
強制決済手数料 なし 1万通貨単位当たり500円
(税込)

※1、証拠金維持率は「証拠金維持率(%)=時価評価総額÷必要証拠金×100」で算出され、為替レートに合わせてリアルタイムに変動する
※2、為替レートの変動によって証拠金維持率が100%を超えても、強制決済の対象
※3,日本時間午前3時00分以降に、順次強制決済されるため、損失額が拡大する可能性あり
※4、南アフリカランド/円とメキシコペソ/円は、10万通貨単位当たり500円(税込)

ロスカット関係内訳 DMM FX GMOクリック証券FXネオ
ロスカット水準 証拠金維持率が
50%を下回った時点
証拠金維持率が
50%を下回った時点
ロスカット執行手順 1.注文証拠金の取り消し
2.①で証拠金維持率
50%を回復しなければ、
ロスカット執行
発注中の全注文を
キャンセルし、
強制的に建玉の
反対売買が執行される
ロスカット手数料 なし 1万通貨単位あたり
500円(税込)

※1,南アフリカランド/円とメキシコペソ/円は、10万通貨単位あたり500円(税込)

追証あるいはロスカットに関する証拠金維持率判定のタイミングや判定水準は、DMM FXとGMOクリック証券FXネオでほぼ同じだ。

違いが見られるのは、追証解消期限とロスカット執行手順、手数料である。

違い1,追証解消期限はGMOクリック証券のほうが早い

追証解消期限は、GMOクリック証券FXネオのほうが夏時間では3時間、冬時間では2時間早く訪れる。

どちらのFX口座でも、追証発生によるアラートメールから追証解消期限まで24時間近い猶予期間が設けられている。万が一アラートメールを受信したら、追証解消期限にかかわらず、できるだけ早く対処したい。

違い1,ロスカット発動の執行手順はGMOクリック証券のほうが安全

ロスカットが発動された場合の執行手順にも、若干の違いがある。

DMM FXではまず未約定注文をキャンセルして、証拠金維持率の回復状況を確認し、それでも証拠金維持率50%を回復できない場合は反対売買を執行する。

それに対して、GMOクリック証券ではロスカットラインを割り込んだら、未約定注文のキャンセルと併せて反対売買を執行する。

GMOクリック証券では、追証が解消されなかった際の強制決済手数料と、ロスカットによる反対売買手数料が必要になることも、DMM FXとの大きな違いである。

このように、FXでは追証やロスカットを厳格に制度化することで、顧客の資産の損失拡大を防いでいる。しかしながら、相場の急変時はロスカット発動が間に合わず、証拠金を上回る損失が出るおそれがあることは忘れてはならない。

大切なのは、DMM FXとGMOクリック証券のどちらを選んだとしても、追証やロスカット制度を頼るのではなく、自分自身で確実にロスカットを行う習慣を身に付けることだ。

5,DMM FXは低コストを追求、GMOクリック証券は高スワップがのぞめる

DMM FXとGMOクリック証券FXネオは、FX口座としてのスペックが似通っている。そのため、どちらを選ぶべきか迷う人も多いだろうが、2つのFX口座の違いから、それぞれの志向性が見えてくるはずだ。

徹底的に手数料を抑えて顧客の利益を最大化するDMM FX。高いスワップポイントを提供し、より厳格なロスカットで顧客資産の損失を最小限に食い止めるGMOクリック証券。

どちらを選ぶかは、FX取引を実際に行う投資家の投資スタイル次第だ。

執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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