ポイント投資とは、クレジットカードやスマホのQR決済などを利用したときに付与される、ポイントを使った投資のことです。現金を出さずに投資が始められることから、初心者が投資を体験するにはもってこいであり、注目されるようになりました。今回は、ポイント投資の基本的な仕組みを説明した後、現在どのようなポイント投資があり、それぞれどのような特徴があるのかについて解説します。
ポイント投資のメリット・デメリットや注意点、Q&Aなどもまとめているため、興味のある人はぜひ最後までご覧ください。
ポイント投資とは?基本的な仕組みを知ろう
そもそも、ポイント投資には、ポイントを増やすために運用するポイント投資とポイントを使って株式等を購入するポイント投資の2種類があります。ポイントを増やすタイプをポイント運用型、ポイントを使って株式などを購入するタイプをポイント投資型と呼びます。
個別にどんなポイント投資があるのかを紹介する前に、ポイント投資の基本的な仕組みについて確認しましょう。
① 投資対象は株式や投資信託など
ポイント投資の対象は、株式や投資信託、ETF(Exchange Traded Fund=上場投資信託)などポイント投資の種類によってさまざまです。投資対象の種類や選択の幅は、ポイント投資を選ぶ重要なポイントとなります。
② ポイント投資に関係する手数料
ポイント投資に関係する手数料は、主に「信託報酬手数料」「売買手数料」「振込手数料」の3種類です。振込手数料は無料としているポイント投資もあります。また、信託報酬手数料は、ほとんどのポイント投資で投資信託を扱う場合に必要です。ポイント投資によって違いの出る部分のため、手数料としていくら徴収される必ず確認しましょう。
③ 「ポイント運用型」と「ポイント投資型」の違い
ポイント運用型は、いくつか用意された運用コースと運用ポイント数を指定するだけで、投資の疑似体験ができます。運用コースには、コースの目的(安全運用、アクティブ運用など)に合った投資信託などが選ばれており、それらの価格変動に合わせた変動をする仕様です。
一方、ポイント投資型は、個別の株式や投資信託を自分で選んで購入します。両者の大きな違いは、ポイントをそのまま運用するか換金しているかという点です。ポイント運用型はポイントのまま運用できますが、ポイント投資型は個別株や投資信託を購入するタイミングで、ポイントを換金しています。
ポイント投資各社を比較!それぞれの特徴を確認
それでは、現在提供されている主なポイント投資について一覧表形式で紹介します。
タイプ | ポイント投資名 会社名 ポイント制度 |
必要な 口座など |
取扱商品 | 最低投資 ポイント (金額) |
---|---|---|---|---|
ポイント 運用型 |
dポイント投資 NTTドコモ dポイント |
dアカウント | 投資信託、 テーマ別の株式、 金 |
100ポイント |
楽天ポイント投資 楽天ポイントクラブ 楽天スーパーポイント |
楽天会員の アカウント |
投資信託 (ポイント連動) |
100ポイント | |
永久不滅ポイント投資 クレディセゾン 永久不滅ポイント |
永久不滅 ポイント用 のID |
株式 (ポイント連動)、 投資信託 |
1ポイント チャージは 100ポイント から |
|
ポイント 投資型 |
日興フロッギー+docomo SMBC日興証券 dポイント |
日興 フロッギー の口座 dアカウント |
株式 | 100ポイント |
LINEポイント投資 LINE証券 LINEポイント |
LINE証券 の口座 |
株式、FX、 投資信託 28種類 |
入金 ポイントは 1ポイント から可能 最低投資額 は100円 |
|
Tポイント投資 SBIネオモバイル証券、 SBI証券、bitFlyer Tポイント |
投資先に 応じた口座 |
株、投資信託、 仮想通貨、FX |
1株単位 (数百円 程度~) |
|
楽天ポイント投資 楽天証券 楽天スーパーポイント |
楽天証券 の口座 |
株式(現物)、 投資信託 |
100円~ |
①dポイント投資
dポイント投資は、dアカウントさえ持っていれば、すぐにポイントを投資できる点が特徴です。投資スタイルとしては、おまかせ運用(バランスorアクティブ)か、テーマ運用(コミュニケーション、ヘルスケア、金など7種類)が選べます。
②日興フロッギー+docomo
日興フロッギーは、SMBC日興証券が提供する株式購入サービス。掲載記事で扱っている株式をそのまま購入できる点が独自の特徴です。dポイントと連携することで100ptからのポイント投資ができます。投資信託や運用のおまかせをしたい人はdポイント投資、自分で株式を選んで投資したい人は日興フロッギー+docomoが向いているでしょう。
③LINEポイント投資
LINEポイント投資は、LINE証券に直接LINEポイントを入金すると1ポイント1円で運用できるサービスです。LINE証券の扱う株式や投資信託などLINE証券が取り扱っている金融商品なら何でも投資対象にできます。入金時点で現金として扱われるため、ポイントをそのまま運用するタイプのポイント投資とは異なります。
④Tポイント投資
Tポイント投資は、投資対象の選択肢が広い点に特徴のあるポイント投資サービスです。株式とFXはSBIネオモバイル証券、投資信託はSBI証券、仮想通貨はbitFlyerと投資対象によって対応する会社の口座を開設する必要があります。ポイント投資で仮想通貨の投資を試してみたい人にとっては、第一選択肢となるサービスです。
⑤楽天ポイント投資
楽天ポイント投資は、投資信託または株式(現物)を投資対象とするポイント投資サービスです。楽天グループのサービスを利用すると貯まる楽天スーパーポイントのうち通常ポイントが投資できるポイントで楽天証券口座を開設することで運用できるようになります。楽天スーパーポイントがたくさん貯まる人に適した投資方法です。
⑥永久不滅ポイント投資
セゾン系のクレジットカードなどの利用に応じて貯まる永久不滅ポイントを使った投資が可能なサービスです。永久不滅ポイント以外に開設しなければならない口座はなく、気軽にポイント投資を始めることができます。投資対象は株式と投資信託です。
ポイント投資のメリットとデメリット
ポイント投資は、メリットの多い投資方法ですが一方デメリットもあります。どちらも把握しておきメリットを活かせる方向で利用するように検討しましょう。
①ポイント投資のメリット
ポイント投資の主なメリットは以下の通りです。
・期限切れになりそうなポイントの有効活用
・少額投資可能
・現金の支出がない
・投資初心者が投資を実体験できる
せっかく貯まったポイントでも使い道がないまま失効してしまうのはもったいないもの。運用に回すことで有効期限を意識しなくてもよくなる点は、ポイント投資を利用する大きなメリットです。現金の支出が不要で少額から投資できるため、投資初心者が投資を実体験する金融商品としても優れています。
②ポイント投資のデメリット
一方、ポイント投資のデメリットは以下の通りです。
・通常ポイントしか投資できない
・投資なので損失も当然出る
・所有ポイントの範囲内でしか投資できない
ポイント制度の中には、キャンペーンなどで特別に付与されるポイントを期間限定ポイントなどとして扱いを分けている制度があります。ポイントはたくさん貯まっているが期間限定ポイントが多い場合は、思っていたよりも投資できるポイントが少なくなる点は、デメリットの一つです。また、当然ですが投資なので元本は保証されていません。
万が一下落してしまえば損失が発生します。損失を少なくするためには、ポイント運用型を選んで比較的安定度の高いタイプを選ぶなどの方法が必要です。ただし投資なので元本割れする可能性は常にある点は念頭に置いておいてください。また、ポイント投資の中には、所有ポイントの範囲内でしか投資できないサービスもあります。
ポイント投資の投資額を将来的に増やしたい場合は、現金でも投資できるサービスを選ぶなどの検討が必要です。
ポイント投資に向いている人
ポイント投資に向いている人はどのような人でしょうか。主な特徴を以下の3点にまとめました。自分に当てはまっているかどうかチェックしてくださいね。
① 投資初心者
ポイント投資は、少額で始められるものが多く現金を出す必要もありません。自分が利用しているポイント制度でポイント投資サービスを提供している場合は、初めての投資体験として利用するのに向いています。
② ポイント投資対象のポイント制度を利用
自分が利用しているポイント制度でポイント投資サービスを提供している場合、ポイント投資を始めるのに大きな手間はかかりません。サービスの種類によっては、別途外部証券会社などの口座を開設する必要はありますが、投資するポイントは毎月貯まるので投資に回せるポイントを確保しやすくなります。
③すでにある程度ポイントが貯まっている
ポイントサービスを利用していて多くのポイントが貯まっている人もポイント投資サービスに向いています。ずっと寝かせているだけのポイントを投資することでリターンを得られる可能性があり有効期限切れでポイントを無駄にしてしまうこともありません。
ポイント投資を始める際の注意点
ポイント投資を始めるにあたり気を付けておきたいことは主に以下の3点です。
① ポイントを失うリスクはある
デメリットでも触れましたがポイント投資は必ずもうかるわけではありません。投資なので、ハイリターンの可能性が大きいほどハイリスクになります。ポイントは「ハイリターンを追い求めると割り切るか」「比較的安全な投資対象を選ぶか」など自分で意識的にリスクをコントロールするようにしましょう。
② 口座開設しなければ利用できない場合がある
ポイント投資を始めるにあたり、外部の証券口座などを別途開設しなければならないサービスもあります。必要となる口座は忘れないように開設手続きを済ませましょう。
③ 確定申告が必要になる場合も
ポイント投資には、タイプにより、以下のように所得の種類が変わります。
・ポイントを運用するタイプ→一時所得
・現金に換算するタイプ→譲渡所得
ポイントを現金に換算して投資するタイプは、譲渡所得となり、利益が50万円を超える場合は、確定申告が必要になります。
ただポイント投資は基本的に少額投資のため、この条件をクリアする可能性は少ないですが長く続けていると超えてくる可能性もゼロではありません。ポイントを引き出して利益が確定した金額は、毎年総計いくらになったかを確認して確定申告の要不要を判断しましょう。
ポイント投資に関するQ&A
ポイント投資を始めた人が抱きがちな疑問点を3点ピックアップしました。実際にポイント投資を始める際に確認しておきましょう。
① ポイントを損してマイナスになった場合どうなる?
ポイント投資で大きく損失を出すことはまれかもしれませんが、長く続けていると投資金額が大きくなり大きな損失を出す可能性もあるでしょう。ポイントをそのまま運用するタイプの場合は、一時所得ですので、損失に対して対処できる方法はありません。
ポイントを現金に換えて運用するタイプの場合は譲渡所得となります。譲渡所得の場合は、他の投資信託や株式取引などの利益・損失と合算して確定申告をすることで次年度から以降3年間損失を繰り越すことができます。
② 何ポイントから始められる?
ポイントサービスにより投資できる最低ポイント数には違いがあり一概にはいえません。サービスによって最低投資ポイントはいくらなのかは確認しておきましょう。ポイントがあまり多く貯まらない場合は、最低投資ポイント数は少ないほうが使い勝手は良くなります。
③ 未成年でもポイント投資は始められる?
法定代理人(親権者または未成年後見人)からの許可が得られれば、ポイント投資を始められます。dポイント投資などはその一例です。ただし証券口座が必要なポイント投資で、未成年の口座開設が認められていない場合は、そのポイント投資サービスは利用できません。その場合は、他のポイント投資サービスの利用を検討しましょう。
ポイント投資で投資体験をしてみよう
ポイント投資は、現金を出さずに投資体験ができる、初心者にも向いた投資サービスです。自分が良く利用しているポイントがポイント投資可能でポイントを使いきれずに失効してしまうことが多い人は、ポイント投資を始めるのに向いています。ポイント投資に興味がある場合は、まず自分の利用しているポイントに対応した投資サービスを検討してみてはいかがでしょうか。
文・藤森みすず
大手Slerにてシステムエンジニアを経験後、フリーランスのライターに。FX・保険・不動産・フィンテックなど、金融に関する記事を多く手掛ける。
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