銀行預金だけではなかなかお金が増えない昨今、「お金を増やしたいけれどやり方がわからない」「老後が心配」と感じる方も多いでしょう。

不安な時代だからこそ、将来に備えて資産運用を検討してはいかがでしょうか。この記事では、少額からでも始められる投資方法を、リスクとリターンの大きさの観点から分けてご紹介していきます。

そもそもなぜ投資が必要なの?

少額投資,ハイリターン
(画像=lovelyday12 /stock.adobe.com)

超低金利時代といわれる今、銀行にお金を預けるだけではお金はたまりません。少しでも早く資産運用を始めることが大切です。その理由は次の3つです。

・銀行の金利が低い
・物価上昇リスクがある
・自分で老後資金を準備する必要がある

1つずつ解説していきます。

銀行の金利が低い

銀行の金利が空前の低金利であることはすでに周知の事実です。メガバンクの普通預金の金利は0.001%、定期預金でも0.002%、ネット銀行の定期預金でも0.02%です。仮に1年間、ネット銀行の定期預金に10万円を預けたとしても、たったの2円しか増えません。

一方、10万円を年利3%で運用すると、3,000円の利益が得られます。金利の低い銀行預金より、投資の方がはるかにお金を増やしやすいのがよくわかります。

物価上昇リスクがある

政府が目標としている物価上昇率は2%。まだ一度もこの目標を達成していません。もし今後、目論見通り物価が上がっていくと、これまで1万円で買えていたものが1万200円出さなければ買えなくなり、実質現金の価値が減ってしまうことになります。物価上昇率以上にお金を増やす必要があります。

自分で老後資金を準備する必要がある

金融庁が発表した「老後資金2,000万円不足問題」はまだ記憶に新しいところです。これは、豊かな老後生活を送るには年金だけでは毎月5万円が不足するという内容でした。

少子高齢化が進んでいる現代、抜本的な改革がない限り年金が大幅に増える可能性はほぼありません。だからこそ、今あるお金を運用し、自分で老後に備える必要性が高まっています。

リスク別!少額から始められる資産運用の種類とそのメリット

自分のお金を増やしていく必要性がわかったところで、資産運用の種類とそれぞれのメリットを見ていきましょう。資産運用にはさまざまな種類があります。リスクとリターンを踏まえて考えましょう。

資産運用の種類

資産運用のリスクとリターンは、「ローリスク・ローリターン」「ミドルリスク・ミドルリターン」「ハイリスク・ハイリターン」の3つに分けられます。ここでは少額でもできる主な資産運用方法をご紹介します。

ローリスク・ローリターン おつり投資
ポイント投資
国債
金投資
ミドルリスク・ミドルリターン 投資信託
ソーシャルレンディング
ETF(上場投資信託)
ハイリスク・ハイリターン 株式
FX
仮想通貨

資産運用のメリット

資産運用にはリスクがつきものです。しかし、リスクがあるということは、損をする可能性もあれば、リターンを得られる可能性もあるということです。

投資で得られる1つめのメリットは、自分自身が働いて稼ぐのではなく、お金がお金を増やす仕組みがあることです。株式なら配当金という形で、投資信託なら分配金という形で、お金がお金を増やす仕組みがあります。得られた資金を再投資すれば複利効果でさらに資金を膨らませるチャンスがあるでしょう。

2つめのメリットは、経済の知識が身に付くことです。資産運用をしていると、株価や為替の動向を気にするようになり、自然と金融や経済の知識が身に付いていきます。

少額で投資できるローリスク・ローリターンな投資方法

少額でも投資できる主な投資方法の中から、ローリスク・ローリターンの投資方法を具体的にご紹介します。

おつり投資

おつり投資は、クレジットカードや電子マネーで買い物をした際の端数を自動的に投資できるサービスです。たとえば、100円以下を投資にあてると設定した場合、500円で420円の買い物をすると80円が投資に回ります。運用はリスクやリターンに応じて3つのファンドから選べます。

たとえば、「おつり投資のトラノコ」なら5円から1円刻みで始められます。誰でも気軽に、しかも、おつりという少額から始められるので、投資を始めたことがない初心者にもおすすめです。

ポイント投資

ポイント投資は、クレジットカードなどでたまったポイントを使用して投資商品を購入できるサービスです。現金を使わずに始められるため、投資初心者でも心理的負担が少ないですよね。サービスによってはポイントで1株から株式を購入できたり、毎月100円からコツコツ投資信託を購入できたりします。まずはローリスクで投資を始めてみたいという人におすすめです。

国債

国債は日本国が発行している債券で、1万円から購入できます。発行後、1年経過し、直前2回分の利息を支払いさえすればいつでも換金可能です。

さらに経済状況によって金利が下落したとしても、年利0.05%は最低保証してもらえます。大きなリターンは期待できないものの、元本割れのリスクを極力なくしたい方に向いています。

金投資

金投資は、金(ゴールド)を購入して資産を保有する方法です。金を積立で購入する場合は3,000円以上1,000円単位で始められます。

利息や配当はありませんが、相場の環境によって価格が変動します。状況によって価格が変動するという意味では通貨や株式と同じですが、株とは逆の値動きをするともいわれ、保有することでリスクを分散させることができます。金のような実物資産は無価値になる心配がない点も魅力です。

少額で投資できるミドルリスク・ミドルリターンな投資方法

次に、ミドルリスク・ミドルリターンな投資方法についてみていきましょう。

投資信託

複数の投資家から集めたお金をひとつの大きな資金とし、投資の専門家が株式や債券などで運用するのが投資信託です。投資家自身が投資先を選んだり運用したりする必要がないため、売却や購入のタイミングがわからない人に向いています。毎月100円から始めることができ、コツコツ長期的に運用することでリスクを減らすことができます。

つみたてNISAは、100円という少額から始められるため初心者におすすめの投資方法です。年間40万円を20年間コツコツ積み立てることができるため長期投資にぴったりです。非課税期間も20年間あり、投資で得た利益には税金がかかりません。

ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングとは、お金を借りたい人や企業に、お金を貸したい人や企業を結びつけるマッチングサービスのことをいいます。1万円から始めることができ、利回りがよく、毎月分配金を受け取れます。一方で、「運用途中は資金を引き出せない」、「元本割れ」、「借り手が返済不可能に陥った場合は貸し倒れが発生する」などのリスクが伴います。

ETF(上場投資信託)

ETFは、投資信託の一種で、上場している投資信託のことをETFといいます。現在値に売買単位をかけるとどのくらいの資金が必要なのかがわかります。常に価格が変動しているため、マーケットを見ながらリアルタイムで売買できるのが特徴です。ETFは、一般的な投資信託より手数料が安いため、低コストで運用したい人に向いています。

少額で投資できるハイリスク・ハイリターンな投資方法 

続いて、ハイリスク・ハイリターンな投資方法についてみていきましょう。

株式

「資産運用といえば株式」と言われるほど投資のイメージが強く、うまく運用できれば大きなリターンを得られるほか、株主優待や配当金がもらえる楽しみもあります。一方で企業が倒産してしまうという大きなリスクも考慮しなければいけません。

株式の最低購入価格は、通常であれば企業の株価に単元株数(100株)をかけて導き出します。数万円〜数十万円、場合によっては数百万円となります。

ただし、証券会社によっては「単元未満株」といって1株から購入できる仕組みもあります。SBI証券では、単元未満株(S株)であれば、1,000円以下で投資できる銘柄が約2,000(2020年6月1日現在)あります。

FX

FX(外国為替証拠金取引)は、外国の通貨を取引して、その為替差益で利益を得ていく投資方法です。FXは最低取引単位と、必要な証拠金は会社ごとに設定されています。証拠金とは、FX口座に担保として資金を預けることです。

たとえば、1ドル=100円、最少取引1,000通貨の場合10万円が必要になります。しかし、証拠金を預けて20倍のレバレッジを効かせた場合は5,000円で済みます。SBIFXトレードなら1通貨、証拠金は5円から取引可能です。

FXは24時間いつでも取引できるのが特徴で、うまく運用できれば大きなリターンが期待できます。しかし、為替相場に左右されやすいため、取引内容によっては大きなリスクを負うことになります。

仮想通貨

仮想通貨は、インターネット上のみでやりとりされる通貨です。資産運用としては、FXと同じように、安く買って高く売る方法で運用しますが、価格の変動が大きいため非常にハイリスクな運用方法といえます。Coincheckでは500円から購入可能です。

少額投資で失敗しないコツ

ローリスク・ローリターンからハイリスク・ハイリターンまでさまざまな投資方法があります。では、少額投資で失敗しないためにはどうすれば良いのでしょう。そのコツを見ていきましょう。

長期投資を選ぶ

投資は、1年や2年と言った短い期間でおこなうのではなく、10年以上の期間で運用しましょう。金融市場は短期間で見ると、新型コロナウイルスの影響のように一時的に大きく変動することがあります。しかし、10年~20年といった長期間で見るとその変動リスクは小さくなる傾向です。また、投資期間が長ければ長いほど、複利効果が期待できます。

分散投資

資産をひとつに絞ってしまうと、価値が下がったときにすべての資産を失ってしまう可能性があります。そうならないためにも、複数の投資先に分散投資しましょう。

積立投資

少額からコツコツ積み立てていく投資です。1度に投資するより気軽に始められます。また、一定金額を同一商品で買い付けて行くドル・コスト平均法によって、購入価格を抑える効果も期待できます。

FPがおすすめする少額投資でハイリターンを目指すなら投資信託

長期・分散・積立で、少額から投資をするなら投資信託の積み立て、特に「つみたてNISA」をおすすめします。

つみたてNISAで投資できる商品は金融庁が定めた要件を満たすものに限定されているので、投資初心者でも選びやすくなっています。100円から始められ、毎月積み立てるタイミングさえ決めてしまえばあとは自動で買付してくれます。

もし、投資を辞めたくなったらいつでも引き出し、投資を中止できるのも、初めての人にはありがたいですね。

少額投資を始めるなら、リスクと上手につきあいましょう

「投資にはリスクはつきもの」といいます。投資初心者はローリスク・ローリターンなものからチャレンジしてみてはいかがでしょうか。リスクと上手につきあいながら資産を増やしていきましょう。

文・ことりえ
所属・ファイナンシャルプランナー
奈良県在住のフリーライター。長年生命保険の営業に従事した後、ライターとして独立。会計・税務・保険の記事を中心に執筆活動をしています。FP資格保有

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