シンカー: 主要地域が新型コロナ禍を受けてロックダウンしたことで、世界経済が壊滅的な打撃を受けた。それに続いて、経済活動が再開した後にリバウンドが概ねすぐに発生した。経済活動が多くのセクターで力強く回復しており、今のところV字型軌道を描いているという証拠が出ている。しかし、当初のリバウンドは簡単に実現できる部分で、現在は正念場を迎えている。景気拡大(回復)は最大限のスピードを維持してきたが、それが第3四半期(Q3)以降に減速することは避けられない。このため、公共保健と経済に対する懸念(の解消)の間で安定したバランスを取るとともに、財政政策や金融政策の支援が必要になる。

SG証券・会田氏の分析
(画像=PIXTA)

グローバル・レポートの要約

●SG世界経済見通し(9/17):正念場がやってくる

景気は、さほど暗くない弊社予測に沿う進展が続く

今の所、世界経済の成長(回復)に関するエビデンスは、「2020年Q2は景気低迷が深刻になるが、Q3には力強く回復、Q4には堅調に拡大する」という弊社想定の基本シナリオを裏付けている。弊社予測は、米国は主な例外だが、総じて(従来に比べて)小幅下方修正した。だが多くの機関の見通しが低調な中で、弊社予測はコンセンサスを上回っている。

貿易は大崩壊からの回復が進行中

世界貿易は2008/09年の大不況時より遥かに急速に崩壊した。だが2008/09年のU字型回復とは異なり、今回は全てのエビデンスが、早い段階の回復はV字型に非常に近いと示す。落込みが深刻だったのはサービス業で、回復の勢いは弱いが、最終的には回復すると見込まれる。

中央銀行の緩和策は限界に近づく

多くの中央銀行は、バランスシート拡大を通じ緩和的な政策を続けている。だが弊社基本シナリオでは、追加の緩和策は非常に限定的だと想定している。基本的には、資産買入れがプログラムを実行する形で今後も継続されるが、世界の大半の地域で大型バズーカ砲が(既に)発射されている。だが、新しく出来た基準を破ることはますます難しくなった(金利では特に)。大半の先進国中銀は、(政策金利が)ゼロ金利下限かそれに非常に近い水準となっている。

大幅な生産ギャップが残り、低水準が持続

インフレは急にホットトピックに躍り出た。市場ベースの期待インフレ率が3月から急上昇している。しかし、それはコロナ危機以前の水準に戻っただけである。確かに、各国中央銀行は過去に例のないペースでバランスシートを拡大している。だがこれは今の所インフレ加速をもたらしておらず、そうなる(インフレが今後加速する)理由もいまのところは明らかになっていない。より重要なことに、大幅な生産ギャップ(デフレギャップ)と長期的なデフレ圧力が、今後長年にわたってインフレ率を低水準に留めると見込まれる。

下振れシナリオの実現可能性と潜在リスクが後退

弊社は、下振れシナリオの実現可能性(の評価)を20%に引下げたが、上振れシナリオは同じく15%で据え置く。また、現在はQ2のGDPが入手できており、3種類のシナリオの差が大幅に縮小、さらに基本シナリオからの乖離も上下ほぼ対称的となった(3カ月前は、基本シナリオと下振れシナリオの差が、上振れシナリオとの差の2倍になっていた)。

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
チーフエコノミスト
会田卓司