シンカー: 経済産業省は鉱工業生産の判断を 6月の「下げ止まり、持ち直しの動き」から7月に「持ち直しの動き」、そして8月に「持ち直している」へ上方修正し、持ち直しが明らかなことを示した。9月の経済産業省予測指数である同+5.7%を前提とすると、7-9月期の鉱工業生産指数は前期比+9.9%となる。4-6月期の前期比-16.9%の落ち込みの6割程度を取り戻したことになろう。財の動きだけでは、4-6月期の実質GDPの前期比年率-28.1%に対して、7-9月期は同+16.5%程度まで取り戻した勢いだ。飲食を含めたサービス業の活動の戻りが弱いことが下押しである一方で、財政支出の拡大、GoToトラベルを含めた消費喚起策、、建設投資の進捗、輸出対比で輸入の戻りが遅いことが押し上げになっている。総じてみれば、7-9月期の実質GDPは前期比年率20%は上回るとみている。

SG証券・会田氏の分析
(画像=PIXTA)

8月の鉱工業生産指数は前月比+1.7%と、3か月連続での上昇となった。

誤差修正後の経済産業省予測指数の同-1.7%を大きく上回った。

8月の実質輸出が同+6.5%と、同じく3か月連続で上昇したのと整合的だ。

輸出より生産が若干弱かったのは、在庫指数が同-1.4%の5カ月連続の低下となり、在庫の積み上げに慎重なことが理由だが、裏を返せば在庫はうまくコントロールされていることを意味する。

2月から5月まで新型コロナウィルス問題などによる経済活動の停滞で、鉱工業生産指数と実質輸出は両者とも20%程度低下した。

50%程度も減少した自動車を含む輸送機械工業だけで、生産の減少の半分程度を説明できることになる。

6月から8月までリバウンドが進み、鉱工業生産指数が13%程度、実質輸出は16%程度上昇した。

経済産業省は鉱工業生産の判断を 6月の「下げ止まり、持ち直しの動き」から7月に「持ち直しの動き」、そして8月に「持ち直している」へ上方修正し、持ち直しが明らかなことを示した。

米国で自動車販売の持ち直しが確認され、自動車や部品に挽回生産の動きで、生産が持ち直したことが大きく寄与したとみられる。

6月の輸送機械工業の生産は前月比+24.1%と増加した後、7月も引き続き同+30.5%、8月も同+8.6%と強く増加した。

9月の経済産業省予測指数である同+5.7%を前提とすると、7-9月期の鉱工業生産指数は前期比+9.9%となる。

4-6月期の前期比-16.9%の落ち込みの6割程度を取り戻したことになろう。

財の動きだけでは、4-6月期の実質GDPの前期比年率-28.1%に対して、7-9月期は同+16.5%程度まで取り戻した勢いだ。

飲食を含めたサービス業の活動の戻りが弱いことが下押しである一方で、財政支出の拡大、GoToトラベルを含めた消費喚起策、、建設投資の進捗、輸出対比で輸入の戻りが遅いことが押し上げになっている。

総じてみれば、7-9月期の実質GDPは前期比年率20%は上回るとみている。

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
チーフエコノミスト
会田卓司