最近、QR決済サービスやコンビニなどで、マイナポイント勧誘キャンペーンの告知をよく見かけますよね?PRに熱が入っている様子ですが、世間ではまだマイナポイントのことが周知されていないように思われます。いったいどのような制度で、オトク度はあるのかについて探ってみましょう。

そもそもマイナポイントとは?

マイナポイント
(画像=ra2-studio/stock.adobe.com)

マイナポイントとは、マイナンバーカードを使って申し込み手続きを行うと、自分が希望して指定したキャッシュレス決済でチャージや買い物をするたびに、利用金額の25%分のポイントが得られるというサービスです。

対象となるキャッシュレス決済は、SuicaやPASMO、WAON、nanacoをはじめとする電子マネー、PayPayやLINEpay、d払いなどのQR決済、一部のクレジットカード・プリペイドカード・デビットカードです。

マイナポイントは、2020年9月から2021年3月までの期間限定の施策です。取得したポイントの使用期限は、決済サービス事業者によって異なります。

マイナンバーカードの普及促進を狙う制度

そもそもマイナンバーカードとは、12ケタの個人識別番号が記載されたプラスチック製カードです。この番号をもとに、税や社会保障・災害対策などの公的手続きを行えます。

また、カードの表面には本人の顔写真と氏名、住所、生年月日、性別が記載されており、本人確認のための身分証明書としても利用できます。このように便利なうえにマイナポイントまでもらえるとなればオトク度が高そうですが、市区町村の窓口まで出向かなければ発行手続きを行えないことが難点でした。

こうしたことから、マイナンバーカードは国民の間であまり浸透していません。総務省の公表データによれば、2020年1月20日時点における日本の人口が1億2,744万3,563人であるのに対し、マイナンバーカードの発行枚数は1,910万1,271枚で、普及率は15.0%にとどまっています。都道府県別で最も普及している宮崎県でも20.5%にすぎず、最も少ない高知県にいたっては9.0%と低い水準です。

マイナポイント創設の背景には、マイナンバーカードの普及を促進するという政府の戦略があると言えるでしょう。

マイナポイントのオトク度はどの程度?

マイナポイントの申し込み手続きは、自身のスマートフォンやパソコン、または全国の市区町村窓口や郵便局、コンビニ(マルチコピー機・ATM)、携帯ショップ、家電量販店などに設置された約9万箇所(今後開設予定のスポットも含む)に設置された端末で行います。

その際に必要となるのは、①自分のマイナンバーカード、②マイナンバーカードの申請時もしくは受取時に自分で設定した数字4桁のパスワード(暗証番号)、③希望する決済サービスのID/セキュリティコードです(決済サービスによってはマイナポイントの申し込みに先駆けて事前登録が必要)。

「利用金額の25%分」と聞けば、非常にオトクな気がしますが、残念ながらマイナポイントの還元は1人当たり5,000円分が上限となっています。ただし、多くの決済サービスが利用者を囲い込む絶好のチャンスと位置づけ、独自の特典を設けたキャンペーンを実施中です。

たとえば、NTTドコモが提供しているd払いでは、最大5,000円分のマイナポイントとは別に、上限1,000円分のdポイントを進呈。こうした特典も加味すれば、オトク度はアップするでしょう。

こうしたポイント取得によるオトク度だけでなく、マイナンバーカードを作っておくと行政手続きで利便性がアップすることも確かです。

マイナンバーカードがあると行政手続きがカンタンに!

現時点で、マイナンバーカードを使って利用できるのが「コンビニ交付」というサービスです。マイナンバーカードがあれば、市区町村が発行する証明書(住民票の写し、印鑑登録証明書など)を全国のコンビニエンスストアなどに設置されたキオスク端末(マルチコピー機)で取得できます。また、現住所のある市区町村と本籍地の市区町村が異なる場合には、事前申請によって戸籍証明書も入手できます。

さらに、今後はマイナンバーを通じてオンライン上で行政手続きが進められるようになる見通しです。2019年5月31日公布の「デジタル手続法」によって、下記の行政手続のオンライン原則が定められています。

①行政手続(申請及び申請に基づく処分通知)について、オンライン実施を原則化(地方公共団体は努力義務)
②本人確認や手数料納付もオンラインで実施(電子署名等、電子納付)
③行政機関間の情報連携等によって入手・参照できる情報に係る添付書類を不要とする規定を整備

地方公共団体は「努力義務」と明記されていることから、地域によって進展に違いが出てくる可能性はあるものの、新たにデジタル庁創設の動きもあり、ようやく日本でも行政手続きのオンライン化が進んでいきそうです。

ポイントの魅力に加えてマイナンバーカードの利便性も考慮

一人当たり最大5,000円+α(決済サービスのキャンペーン特典)にとどまるものの、先々で行政手続きが便利になることを踏まえれば、マイナンバーカード取得のメリットもありそうです。より多くの人たちが便利であることに気づくと、申し込み手続きが殺到して手続きが面倒になる恐れもあります。このタイミングでマイナンバーカードの申請・取得からマイナポイントの利用までを完了させてしまうのも一つの方法です。(提供:Wealth Road