米国株同様に、米国ETFにも関心が寄せられている。手数料の安さや、昨今の株価の変動などが主な要因だ。米国ETFはバラエティに富み、世界的に有名な銘柄も多い。ここでは、初心者がチャレンジする際に知っておきたい特徴や選び方、おすすめ銘柄などを紹介する。

1, 米国ETF(アメリカETF)の3つの特徴――リアルタイム、リスク分散、低コスト

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(画像=Beneath Blue/Shutterstock.com)

米国ETFは米国個別銘柄に比べて扱いやすいので、米国株初心者にとって最適な商品と言える。米国ETFには、以下のような特長がある。

特徴1,リアルタイムで取引できる

米国ETFは、米国株式市場に上場する投資信託である。一般的なの投資信託との違いは、上場しているため、普通株と同じように価格の推移を見ながら株式市場で売買できることだ。

投資信託の取引価格は、1日1回夜に確定する基準価額が適用されるので、注文を出した時点では約定代金がいくらになるかわからない。よって、その場で約定価格を知りたい人にはETFはおすすめだ。

特徴2,リスクを分散できる

ETFは投資信託の一種である。投資信託は株価指数を構成する多くの銘柄でポートフォリオが組まれているため、1つの銘柄に投資する場合よりもリスクを分散できる。米国ETFの構成銘柄はさまざまなので、米国ETFを1本購入するだけで自動的に分散投資ができる。

投資の基本は分散投資。米国ETFは、専門的な知識がなくてもリスク分散投資ができる便利な商品なのだ。

特徴3,低コストで運用できる

米国ETFはインデックス指数を対象としているため、経費率(信託報酬とほぼ同義)が安く設定されている。一般の投資信託の信託報酬に比べても、米国ETFの経費率は安い傾向がある。

米国ETFの主なコストである経費率は、保有する期間中継続的に発生する。長期保有することを前提に米国ETFに投資するなら、経費率の低さは大きなメリットになる。

2, 米国ETF(アメリカETF)を選ぶ3ポイント――経費率、流通量、投資スタイル

多くの米国ETFの中から特定の銘柄を選ぶ際は、以下の3点を確認してから判断するといいだろう。

選ぶポイント1,経費率は安いか

投資初心者や米国株初心者は、米国ETFの主なコストである経費率が安い銘柄を選ぶことが大原則である。

米国ETFで資産形成をするにあたっては、為替手数料など国内株式にはないコストも発生するので、常に低コストを心掛けて運用したい。

選ぶポイント2,流通量は多いか

ETFのメリットの1つは、価格変動を見ながらリアルタイムで取引できることだ。このメリットを最大限活かすためにも、日々の出来高が多い銘柄を選びたい。出来高が少ないと、思い通りのタイミングで取引できないことがあるからだ。

証券会社のホームページから、人気銘柄や話題を集めている銘柄の出来高をチェックしてみるといいだろう。

ポイント3,ポートフォリオは自分の投資スタイルに近いか

米国ETFのポートフォリオは、それぞれに特徴がある。主な例は以下のとおりだ。

・高配当利回り銘柄ばかりを対象としたETF
・S&P500構成銘柄でポートフォリオを組んだETF
・S&P500対象銘柄のうち高配当利回り銘柄または成長株を集めて構成されたETF
・ナスダック上場銘柄のうち時価総額上位100銘柄を集めたETF

最初に自分の投資スタイルを決めて、その投資スタイルに近い特徴を持つ米国ETFを選ぶと手間がかからない。

3,おすすめ米国ETF(アメリカETF)10選!経費率や利回りなどを比較

ここでは、投資に適した米国ETFを絞り込んで、おすすめの米国ETFトップ10銘柄を選定し、それぞれのETFの概要を説明する。

米国ETFを選ぶにあたって、以下の条件を満たす銘柄を抽出した。

・長期投資を前提として「経費率が低いこと」
・保有期間中の繰上償還や上場廃止を回避するために「流動性があること」、もしくは「純資産総額が確保されていること」
・インカムゲインを期待できるように「分配金利回りが高めであること」、あるいは売却時にキャピタルゲインを狙えるように「騰落率(上昇率)が高いこと」

以下の手順で初心者でも取引しやすい、おすすめ米国ETFを絞り込んだ。

1,SBI証券と楽天証券の週間売買代金ランキング各10銘柄と、マネックス証券「銘柄スカウター米国株」配当利回り上位30銘柄をピックアップする
2,各銘柄の経費率、分配金利回り、出来高、純資産総額などのスペックを調べて、経費率の低い順に並べ替える。
3,分配金利回りが高くても、極端に出来高や純資産残高が少ない銘柄は除外する。
分配金利回りが低い(2%以下)銘柄については、直近1年、直近2年、設定来の騰落率や長期的なトレンドをチェックして横ばい、あるいは下降トレンドにある銘柄を除外する。

最終的に絞り込まれたのは、以下の10銘柄である。ETFのスペックやファンド概要を見ながら、どのような米国ETFがラインアップされているかチェックしてほしい。

米国ETFおすすめランキングTOP10(2021年4月8日終値基準)

銘柄名 経費率 分配金
利回り
純資産総額
(1米ドル=109円で換算)
1 バンガード S&P 500 ETF 0.03% 1.44% 2,055億7,681万米ドル
(22兆4,078億7,229万円)
2 バンガード
トータルストックマーケットETF
0.03% 1.34% 2,241億9,721万米ドル
(24兆4,374億9,589万円)
3 バンガード
米国高配当株式ETF
0.06% 2.94% 354億3,386万米ドル
(3兆8,622億9,074万円)
4 SPDRポートフォリオS&P
500高配当株式ETF
0.07% 4.79% 30億5,710万米ドル
(3,332億2,390万円)
5 iシェアーズ
コア米国高配当株 ETF
0.08% 3.70% 64億5,118万米ドル
(7,031億7,862万円)
6 エネルギー・セレクト・
セクター SPDRファンド
0.13% 4.24% 223億9,647万米ドル
(2兆4,412億1,523万円)
7 インベスコQQQトラスト
シリーズ1 ET
0.20% 0.53% 1,537億6,045万米ドル
(16兆7,598億8,905万円)
8 グローバルX米国優先証券 ETF 0.23% 5.16% 14億7,887万米ドル
(1,611億9,683万円)
9 バンガード米ドル建て
新興国政府債券ETF
0.25% 4.18% 26億5,126万米ドル
(2,889億8,734万円)
10 ヴァンエック ベクトル
JPモルガン新興国現地通貨建て債券ETF
0.30% 4.99% 32億2,151万米ドル
(3,511億4,459万円)
※ランキング表のデータは、SBI証券の米国株銘柄情報を参照した

上述の抽出条件を満たす米国ETFを経費率の低い順に並べ替えると、上位3銘柄がバンガードの低コストETFになった。

世界最大級の資産規模を誇る米国の資産運用会社バンガード社は、ファンドの経費率の低さで世界的に知られている。保有コストの低い銘柄を選択する際は、抽出条件で運用会社にバンガードを選択すると効率的なファンド選びができるだろう。

米国ETFおすすめランキングの選択条件基準には、「純資産総額が多いこと」も含まれている。これによって、米国株式市場で人気のVOO、VTI、QQQといった定番ETFも複数ランクインしている。

定番銘柄は総じて経費率が低く流通量も多いが、分配金利回りが低めだ。ランキング表からはわからないが、このような銘柄は長期的に見て価格が上昇する傾向があり、売却益が期待できる。

米国ETFは銘柄ごとに、「分配金利回りが高い」「騰落率が高い」「純資産総額が大きい」などの特徴がある。

米国ETFを選ぶ際は、インカムゲイン目的か、あるいはキャピタルゲイン目的かをあらかじめ決めておきたい。その上で、米国ETFおすすめランキングTOP10や、以下のETF概要(2021年4月8日現在)などを参考にしながら、自分の投資目的に合った特徴を持つ銘柄を洗い出すとよいだろう。

第1位,バンガード S&P 500 ETF……S&P 500指数の構成銘柄に一括投資

VOOは米国の定番ETFとして認知されており、根強いファンを持つ。低コストファンドを特徴とする米国バンガード社が設定し、運用・管理している。

対象指標は、米国株式市場を代表するS&P500指数。本指数の構成銘柄は、米国株式市場を代表する時価総額が大きい500銘柄であるため、各銘柄の倒産リスクや株価下落リスクが低いことからも長期保有に向いている。

VOOの特徴として、以下の4点が挙げられる。
・バンガードならではの、0.03%という世界最安水準の経費率
・世界最大規模の純資産総額
・長期的な価格上昇率が高い(3年65.68%、5年119.29%、設定来362.30%)
・分配金利回りはそれほど高くない(1.44%)

米国株式市場を代表する優良企業の成長力を背景に、長期的な価格上昇による値上がり益を期待できるETFだ。

VOOをはじめとするETFは、毎年一定の管理費用が発生する。長期保有によるキャピタルゲインを目的とする場合は、経費率がより低い銘柄を選ぶことでトータルリターンを向上させることができる。

第2位,バンガード トータルストックマーケットETF……低コストで米国株式全体に投資

VTIは、VOOと並んで米国で最も人気のあるETFである。VOOとの違いは、CRSP USトータル ・マーケット・インデックスを対象指標としている点だ。成長株から割安株、大型株や小型株など、米国株式市場の幅広い株式を投資対象としている。

VTIは、米国株式市場全体に一括投資できるETFといえるだろう。

VTIのおおまかな特徴は、VOOと似通っている。
・バンガード運用による、世界的に見ても最安水準の経費率(0.03%)
・世界最大級の純資産総額
・長期的な価格上昇率が高い(3年66.93%、5年122.74%、設定来416.09%)
・分配金利回りが低め(1.34%)

VOO同様、VTIも長期保有を前提に値上がり益が期待できる銘柄である。

どちらを選ぶか迷った場合は、投資対象をS&P500に限定したければVOOを、米国株式市場全体に広く分散投資したいならVTIを選ぶとよいだろう。

第3位,バンガード 米国高配当株式ETF……高配当株にまとめて投資

VYMはバンガードが運用する、FTSEハイディビデンド・イールド・インデックスを対象指標とする低コストETFである。本株価指数は、FTSEグローバル・エクイティ・インデックス・ シリーズの一種であり、米国の高配当銘柄で構成されている。

VYMは米国高配当利回り銘柄を投資対象としているため、分配金利回りも2.94%(2021年4月8日現在)と高い。また、バンガードが設定・管理しているため経費率も低い。

長期的な騰落率はゆるやかに上昇しており、3年で38.26%、5年で74.67%、設定来は219.67%となっている。

長期保有で分配金を貯めながら、購入して10年後などに売却すると、一定の値上がり益も確保できる可能性があるETFだ。

第4位,SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF……投資対象はS&P500の高配当銘柄

SPYDは、世界的な資産運用会社ステートストリートのETFブランド「SPDR(スパイダー)シリーズ」の一つである。対象指標はS&P500高配当指数。S&P500構成銘柄のうち、高配当銘柄だけで構成された株価指数だ。

S&P500の高配当銘柄に投資するSPYDは、高い分配金利回りを最大の特徴としており、米国ETFおすすめランキングTOP10の中でも第3位の高い分配金利回り(4.79%)を誇る。

投資対象銘柄はS&P500を構成する優良企業ばかりであり、経費率も0.07%と低めだ。

騰落率は3年で28.04%、5年で58.35%、設定来が70.46%で、上述のVOOやVTIに比べると低い。

SPYDは、売却益を狙うよりも徐々に買い増しながら長期保有することで、将来副収入としてまとまった額の分配金収入を期待できるETF銘柄の代表格だ。

第5位,iシェアーズ コア米国高配当株 ETF……米国の高配当75銘柄に分散投資

iシェアーズは、グローバル展開する資産運用会社ブラックロックのETFブランドである。

iシェアーズシリーズの一つであるHDVは、モーニングスター配当フォーカス指数を対象指数として、本株価指数の価格やパフォーマンスに連動するように運営されている。

モーニングスター配当フォーカス指数は、配当余力の高い米国優良企業75銘柄で構成されている。本指数をベンチマークとするHDVも、2021年4月8日現在で3.70%という好分配金利回りを維持している。

騰落率は3年27.50%、5年46.73%、設定来は169.51%。長期的には価格が上昇しているため、分配金目的で長期保有しながら必要に応じて売却しても、一定の値上がり益を確保できる銘柄である。

第6位,エネルギー・セレクト・セクター SPDRファンド……米国のエネルギーセクターが投資対象

ステートストリートが設定・運用するスパイダーシリーズのETF。対象指標はS&Pエネルギー・セレクト・セクター・インデックスであり、S&P500を構成する米国エネルギーセクターの優良企業を投資対象としている。

XLEは、エネルギーセクターのETFの中では純資産総額が圧倒的に大きいことで知られている。

経費率は0.13%と比較的低い。エネルギーセクターのETFだけでなく、米国ETFおすすめランキングTOP10銘柄の中でも分配金利回りが高め(4.24%)なので、分配金狙いで長期保有するのに適している。

XLEを含むエネルギーセクターのETFには、景気後退局面に強いという特徴もある。

好景気に強い資本財セクターなどのETF(バンガード米国資本財サービスセクターETFや、iシェアーズ グローバル資本財 ETFなど)とポートフォリオを組むことで、効果的なリスク分散が可能になることも覚えておきたい。

第7位,インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ET……ナスダック100指数に連動

インベスコは、S&P500に採用されている米国の独立系資産運用会社である。

QQQはインベスコが設定・運用するETFの一つであり、対象指標のナスダック100指数はナスダック市場に上場する時価総額上位100銘柄で構成されている。

投資対象が成長著しいナスダック100銘柄であるため、QQQの価格上昇率の高さは米国ETFの中でもトップクラス。

QQQの騰落率は、3年116.70%、5年217.41%、設定来647.79%を記録しており、長期投資によるパフォーマンスが非常に良好だ。

純資産総額もおすすめTOP10銘柄の中で第3位の規模を誇っており、人気が高いため取引量が豊富。VOO、VTIに次ぐ、米国の定番ETFでもある。

今後も同様の好パフォーマンスが期待できるため、基本的には長期保有を前提として、価格上昇後の売却で利益獲得を目指すのに適した銘柄だ。

ただし、ナスダック100指数の構成銘柄が米国の主要IT系企業に偏っていることから、リスク分散の観点では若干の不安要素もある。分配金利回りも0.53%と低く、分配金を目的とした投資には向かない。

QQQの購入後は、念のためナスダック100指数の動向にも注意を払っておくとよいだろう。

第8位,グローバルX 米国優先証券 ETF……米国優先株のバスケットが投資対象

PFFDは、ETFに特化した米国の資産運用会社であるグローバルX社が設定・運用するファンドである。対象指標であるICE BofAMLダイバーシファイド・コア・米国優先証券インデックスのパフォーマンスに連動する投資成果を目指して運用されている。

PFFDは米国優先株のバスケット(市場で買い付けた現物株の集合、「現物株バスケット」のこと)に投資するファンドであり、高い分配金利回りを上げているのが大きな特徴だ。2021年4月8日現在の分配金利回りは5.16%で、おすすめランキングTOP10の第1位である。

経費率は0.23%だが、分配金利回りの高さから許容範囲内とみなすことができるだろう。

ファンド設定は2017年と日が浅く、現在までの騰落率は25.42%となっている。

現状では将来高い売却益を見込めるかどうかを判断することはできないが、投資対象が高配当を期待できる米国優先株ばかりなので、分配金を目的とした投資に適した米国ETFと考えられる。

第9位,バンガード米ドル建て新興国政府債券ETF……米ドル建ての新興国政府発行債券が対象

バンガードが運用する債券ETF。対象指標はブルームバーグ・バークレイズ米ドル建て新興市場政府債RIC基準インデックスである。本株価指数は、新興国政府もしくは国有企業が発行する、残存期間1年超の米ドル建て債券で構成されている。

VWOBの特徴は、分配金利回りの高さだ。債券で構成されるETFなので大きな価格上昇を期待できないことから、長期保有による分配金獲得を目的とする投資に向く。

投資対象は政府もしくは国有企業発行債だが、新興諸国が対象であるため、カントリーリスクがあることに注意したい。

第10位,ヴァンエック・ベクトルJPモルガン新興国現地通貨建て債券ETF……新興国債券が投資対象

EMLCの資産運用会社はヴァンエックであり、対象指標であるJPモルガンGBI-EMGコア・インデックスのパフォーマンスに連動する投資成果を目指している。

個別投資が難しい新興諸国の債券にまとめて投資できることが、大きなメリットである。分配金利回りが高いことから、分配金を目的とした長期保有にも向く。

同じ新興国債券で構成されるVWOBとの違いは、VWOBの投資対象が米ドル建て債券であるのに対して、EMLCの債券は現地通貨建て債券であることだ。

債券が現地通貨建てであることは、分配金利回りに直接影響している。EMLCの分配金利回りは4.99%であり、米ドル建て債券に投資するVWOBの分配金利回り(4.18%)に比べると高い。

債券の発行通貨の違いは現地通貨と米ドル間の為替リスクを意味し、この点はデメリットといえるだろう。

注意点はVWOB同様に、新興国債券を対象としたETFであるため、カントリーリスクによる価格下落の可能性があることと、大きな価格上昇が望めないことである。

4, 米国ETFを購入する際の注意点 配当利回り以外の基準もしっかり確認しよう

個別銘柄とは違い、米国ETFは1回の投資でリスクを分散しながら、米国株の特色であるインカムゲインのメリットも得られる。米国ETFのメリットを活かした投資を実現するには、銘柄の選び方にいくつかの注意点があるので、忘れずに確認しておきたい。

注意点1,高い利回りの銘柄が良い銘柄とは限らない

米国ETFには利回り(30日)が8%、9%にもなる高利回り銘柄が存在するが、利回りの高さだけに着目して銘柄を選ぶのは危険だ。

高利回りの株式や社債が組み入れられたETFには、株式であれば赤字業績が続いている、社債であれば信用格付け「B」銘柄の投資比率が高いなどの潜在的リスクがある。このような場合は倒産や減配の可能性があるため、状況が悪化すると基準価額が暴落するだけでなく、希望通り売却できないことも考えられる。

高利回りを米国ETFの銘柄選びの基準にする際には、利回りが高すぎない銘柄、せいぜい5%程度までの銘柄を選んでおくのが無難だ。5%以上の場合でも、S&P500やナスダックなど、質の高い企業が母集団になっているETFなら比較的安心だろう。

一方で、分配金を得られるETFでも経費率(年率)が0.6%や0.7%という銘柄もある。米国ETFを保有する期間中かかる経費は、受け取る分配金の手取り額を減らしてしまう。経費率が高くはないか十分チェックしてほしい。

注意点2,為替リスクや価格変動リスクを忘れない

米国ETFは個別銘柄に比べて価格変動リスクが低いものの、米ドル建ての商品であることから為替リスクがある。為替相場の悪化によって、売却時に投資元本を割り込む可能性があることを忘れないでほしい。

また、ETFは多くの銘柄に分散投資をするためリスク分散になるとはいえ、価格変動リスクがなくなるわけでない。米国株式相場が下落すれば、米国株式を組み入れているETFの基準株価も下落する。米国ETFといえども、万能ではないことを覚えておきたい。

注意点3,購入時に買付手数料がかかる

米国ETFは米国株の一種なので、購入時には株式同様に買付手数料がかかる。ネット証券では投資信託の買付手数料は原則無料になっているが、これと混同しないようにしたい。

しかしネット証券各社では、米国ETFのうち特定銘柄に対して買付手数料を恒久的に無料にしている。NISA口座を使えば実質的に買付手数料が無料で、かつ非課税になる。これを利用すれば、コストをギリギリまで抑えて米国ETF投資ができるようになる。

条件が合えば米国ETFのコストを下げながら投資ができるので、買付手数料無料の米国ETFをチェックしてみるといいだろう。

5,投資初心者に米国ETFをおすすめする理由

投資初心者のうちは、取引コストとリスクはできるだけ低いほうがいい。この条件を満たす商品の1つが米国ETFだ。

米国ETFなら、大きな利益を得ることは期待できないが、堅実に投資したい人の強い味方になるはずだ。

執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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