自分の投資内容を公開している「投資ブログ」を見たことがある方は多いでしょう。会社員や独身女性など、いわば“普通”の方の資産運用は、運用の専門家とは違った目線で行われているため、参考になります。実は金融庁も投資ブロガーと座談会を開いており、その影響力は小さくありません。
「私も投資ブロガーのように資産運用をしてみたい」と思っている方のために、投資ブログでよく取り上げられている投資法と、女性におすすめの資産運用を3つご紹介します。
おすすめの女性投資家ブログ5選
まず、おすすめの女性投資家ブログを5つ紹介します。どれも更新頻度が比較的高めで、楽しく読めるものばかりです。
ブログ | ブロガー | 主な資産運用 |
---|---|---|
ゆる~い独身OLのコツコツ投資生活♪ https://kantanshisanunyo.hatenablog.com/ |
りん | 投資信託 |
3000万貯蓄!アラフォー独身女性の資産運用 http://mameko-setsuyaku.com/ |
@まめこ | 株式、投資信託 |
そこのけ、ねこのけ、おひとりさま https://nekonoke.com/ |
ねこの毛 | 株式 |
アラサーOL暮らしと株の記録 https://kikuuiki-uki.hatenablog.com/archive |
ユキ | 株式、投資信託 |
お気楽主婦の株とアフィリエイトで生活 http://kabuaf.com/ |
ゆりぴょん | 株式 |
これらは、いずれもブロガー自身の取引を公開しているものです。画像付きでわかりやすく説明している記事が多いので、参考にしやすいかと思います。
投資以外にも「ふるさと納税」や「マイナポイント」など、ちょっとお得な情報を共有している記事もあります。
投資ブロガーがよくやっている資産運用
投資ブログを見ていると「自分も投資をやってみたい!」と思うかもしれません。投資ブログでは、「投資信託」と「株式」の記事がよく公開されているようです。この章では、それぞれの商品内容と始め方を紹介します。
投資信託 みんなのお金を集めてまとめてプロが運用
投資信託は、資金をプロに運用してもらう金融商品です。運用の成果は投資家に還元され、投資信託は運用の手数料(信託報酬など)を取ります。
プロに任せるからといって絶対に利益になるわけではありませんが、投資初心者には始めやすい資産運用方法といえるでしょう。
株式投資 値上がりと配当が魅力 お得な優待も
株式は企業が資金調達のために発行するもので、将来の利益の還元を約束する代わりに、投資家からお金を集めます。利益は「配当金」や「株主優待」などで還元されます。これらは、投資家ブログでもよく取り扱われているテーマですね。
株式は、基本的に取引所で売買されます。株式は企業の利益をもらえる権利ですから、一般的に企業の利益が大きくなりそうなら値上がりすることが多いです。値上がりしたら売却して利益を得る手法も、投資家ブログでよく取り上げられています。
投資を始めるにはまず証券会社に口座を開設する
投資信託や株式に投資するためには、証券会社に口座を開設する必要があります。投資信託は銀行でも買えますが、株式は証券会社でないと取引できないので注意しましょう。
これから証券会社の口座を開設するなら、ネット証券がおすすめです。対面型の金融機関と比べて投資信託の取扱数が多く、株式の取引手数料も安い傾向があります。
独身女性におすすめの投資法3選
ここで、これから投資を始める女性におすすめの投資法を3つご紹介します。
おすすめ①:「つみたてNISA」 金融庁認可の投資信託でコツコツ運用
投資信託を始めるなら、有利に運用ができる「NISA」という制度をぜひ検討してください。投資信託は「NISA」を通して購入すると運用益が非課税になり(通常は利益の約2割が課税される)、手取りを増やすことができます。
NISAには「一般NISA」と「つみたてNISA」がありますが、投資初心者にはつみたてNISAがおすすめです。つみたてNISAを通して買える投資信託は、金融庁が設定した一定のハードルをクリアした銘柄ばかりです。銘柄選びに不安がある方でも、長期投資に向く銘柄を選びやすい工夫がなされています。
つみたてNISAの投資法は、「積立投資」に限定されています。少ない資金でも始められ、一度設定したら基本的にはほったらかしで運用できるので、仕事や家事に忙しい女性でも始めやすい資産運用といえます。
おすすめ②:「iDeCo」 大きな節税効果が魅力
iDeCoは老後資金の形成に適した制度で、NISAと同じく運用益は非課税です。iDeCoには、この他にも税制優遇があります。iDeCoでは投資金額の全額が所得控除になり、節税ができる仕組みになっています。
ここで、所得税(国税)と住民税の税率を見てみましょう。所得税は所得に応じて5~45%、住民税は一律10%です。つまり最低でも税率は15%であり、iDeCoを利用すると最低でも15%分の節税ができるのです。
所得税(国税)の税率 | 住民税の税率(所得割) |
---|---|
5~45% | 10% |
もともと納める税金がない方には関係ありませんが、毎年投資金額の15%以上の節税効果があるiDeCoは、大変有利な制度といえます。
受け取るときは課税されますが、「退職所得控除」か「公的年金控除」が適用され、税負担を抑える工夫がなされています。
iDeCoにはメリットが多いですが、原則60歳まで出金できない点に注意してください。
NISA (一般NISA/つみたてNISA) |
iDeCo | |
---|---|---|
投資するときの所得控除 | なし | 全額所得控除 |
運用益 | ||
お金を受け取るとき | 非課税 | 課税 ※軽減処置あり |
解約の制限 | なし | 原則60歳まで不可 |
おすすめ③:株式投資 値上がりに期待しながら好配当と優待を獲得
上記の2つに比べると少しハードルは上がりますが、株式投資もおすすめです。投資信託と違って自分で売買する必要がありますが、リスクがある分大きな値上がりも期待できます。
値上がりを狙う以外に、配当や優待をもらいながら長期保有するのもありです。
独身女性の資産目標はいくらがいい?貯蓄額と老後年金の平均をチェック
資産運用を始めるなら、「資産目標」を設定することをおすすめします。目標を設定しておけば「目標達成に必要なリターン」を計算できますから、どのくらいのリスクを取ればよいかもわかります。あるいは、リスクを取る必要がないかもしれません。
資産目標は人によってさまざまでしょうが、参考までに独身女性がどれくらい貯蓄しているか確認してみましょう。
独身女性の貯蓄額の平均 40歳未満は264万円 60歳代は1,622万円
「全国消費実態調査(2014年)」によると、単身女性の平均貯蓄額は以下のとおりです。
女性の貯蓄額 年齢別の平均(単身世帯) | |||
貯蓄額 | 内、預金と生命保険 | 内、株式などの 有価証券 |
|
40歳未満 | 264万円 | 91.0% | 6.2% |
40歳代 | 959万円 | 86.7% | 5.5% |
50歳代 | 1,383万円 | 84.6% | 12.5% |
60歳代 | 1,622万円 | 83.1% | 16.4% |
70歳以上 | 1,432万円 | 82.4% | 17.5% |
40歳未満では264万円ですが、60歳代では1,622万円まで貯蓄額が増えています。
ここで、「40歳時点で264万円の貯蓄があり、60歳までの20年間で1,622万円まで貯蓄を増やす」ことを考えてみましょう。20年で1,358万円増やす必要があります。1年で67.9万円、月に5.7万円貯蓄すれば目標を達成できます。
これはリターン0で計算したものであり、金利や配当、売買益などを得られれば、さらに目標を達成しやすくなります。年間リターン別の必要貯蓄額は、以下のとおりです。
20年間で1,358万円を貯蓄するのに、必要な年間および月間の貯蓄額 | ||
年間リターン | 年間の貯蓄額 | 月間の貯蓄額 |
0% | 67.9万円 | 5.7万円 |
0.1% | 67.3万円 | 5.6万円 |
3% | 50.5万円 | 4.2万円 |
5% | 41.1万円 | 3.4万円 |
単身世帯の老後年金は平均11.6万円、老後支出は月に15.1万円
次は、老後の生活費から資産目標を考えてみましょう。「家計調査(2019年)」によると、60歳以上単身世帯の年金受給額は月に平均11.6万円です。これに対して支出は約15.2万円なので、月に3.6万円の赤字になっていることがわかります。
厚生労働省によると、60歳女性の平均余命は約29年です。348ヵ月(=29年×12ヵ月)の間3.6万円の赤字が続くとすると、1,253万円の貯蓄が必要です。これを資産目標にしてみましょう。
現在40歳だとすると、40歳未満の平均貯蓄額が264万円ですから、大体20年間で1,000万円貯蓄すれば目標を達成できます。こちらも必要な年間貯蓄額を求めてみましょう。
20年間で1,000万円貯蓄するのに必要な年間および月間の貯蓄額 | ||
年間リターン | 年間の貯蓄額 | 月間の貯蓄額 |
0% | 50万円 | 4.2万円 |
0.1% | 49.5万円 | 4.1万円 |
3% | 37.2万円 | 3.1万円 |
5% | 30.2万円 | 2.5万円 |
資産目標から必要なリターンを逆算しましょう
資産目標は、仮にリターンがほとんどないとしても、必要な額を貯蓄し続ければ達成できます。しかし投資によるリターンがあれば、より少ない金額でも達成できるのです。
上記の表を参考にして、「自分が年間いくらぐらい貯蓄できるか」「どれくらいのリターンがあれば目標を達成できるか」をじっくり考えてみましょう。
独身女性に投資は必要?「自分の目標を達成できそうか?」が大切
ここまで、投資の始め方や投資でリターンを得た場合の必要貯蓄額を紹介してきました。ところで、そもそも投資は必要なのでしょうか。
貯金だけで達成できるなら投資は不要
前章でもお伝えしましたが、投資をしなくても必要な貯蓄をし続ければ目標を達成できます。投資にはリスクもあるので、絶対にしなければならないわけではありません。
貯蓄だけで自分の目標を達成できそうなら、投資をしないほうがよいでしょう。
家計の見直しも大切
投資には元本が減るリスクがあるため、始める際は資金を生活費から捻出するのではなく、必ず余剰資金を投資に回すようにしてください。普段の生活がギリギリなら、すぐに投資を始める必要はありません。家計を見直して無駄な支出を削れば、貯蓄できる額を増やせるかもしれません。
人生の選択肢を増やすために投資も視野に入れよう
投資は絶対にしなければならないものではありませんが、選択肢に入れておくと資産形成の可能性が広がります。
投資にはリスクがありますので、有利な制度を利用しつつ、資産目標を定めて冷静に取り組みましょう。
文・若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業、保険募集代理業、金融系ライターとして活動しています。関心のあるジャンルは資産運用や保険、またお得なポイントサービスなど。お金にまつわることなら幅広くカバーし、発信しています。AFP、プライベートバンキング・コーディネーター資格保有。
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