「太陽光投資に興味はあるけど初期費用が高い」「太陽光発電の破損リスクや災害リスクが気になる」「高利回りの投資がしたい」という人は、インフラファンドへの投資を検討してはいかがでしょうか。投資家から集めた資金を太陽光発電に投資し、売電収入の一部を投資家に還元するインフラファンドは高利回りで安定性の高いファンドとして注目を集めています。

本記事では、インフラファンドの概要と仕組み、高利回りの理由や購入方法、注意点やリスクを解説します。

インフラファンドとは?概要と仕組みを解説

ESG投資
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

インフラファンドとは、投資家から集めたお金を太陽光発電などの電力、ガス、水道へのインフラ事業に投資して、そこから得られた売電収入などを投資家に還元する仕組みの投資ファンドです。2020年10月時点で東京証券取引所に7銘柄が上場しており、投資対象は太陽光発電が中心になっています。株式や投資信託と同様に証券会社で購入することが可能です。

インフラファンドの魅力は、安定性と利回りの高さにあります。2012年から始まった固定価格買取制度(FIT)は一定価格で国が電力を20年間買い取ってくれる仕組みで、「売電価格が20年間保証されている」「国が電力を買い取ってくれる」といったことから安定性が高く利回りも高い傾向にあります。

上場しているインフラファンドの銘柄とは?

以下が上場しているインフラファンド7銘柄の上場日や1口あたりの純資産額、格付情報、予想配当利回りです。

銘柄上場日1口当たり純資産額格付予想配当利回り
(2020年10月20日時点)
ジャパン・インフラファンド投資法人2020年
2月20日
9万1,808円
(2020年5月期)
A5.52%
エネクス・インフラ投資法人2019年
2月13日
9万1,697円
(2019年11月期)
A-5.62%
東京インフラ・エネルギー投資法人2018年
9月27日
8万9,582円
(2020年6月期)
不明6.13%
カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人2017年
10月30日
9万3,998円
(2020年6月期)
A5.62%
日本再生可能エネルギーインフラ投資法人2017年
3月29日
9万466円
(2020年7月期)
A-5.95%
いちごグリーンインフラ投資法人2016年
12月1日
4万4,094円
(2020年6月期)
不明6.37%
タカラレーベン・インフラ投資法人2016年
6月2日
10万3,486円
(2020年5月期)
A-5.62%

格付情報はファンドの信頼度や安定性・利回り等を総合的に判断して格付会社が評価します。AAAが最も信用力が高くAA、A、BBと下がっていきDは債務不履行の状態です。例えばR&I格付投資情報センターの2020年9月末時点のデータによると、米国やオランダはAAA、日本はAA+となっていますが2010年に財政危機に陥ったギリシャはBBとなっています。

インフラファンドでは多くのファンドがAまたはA-であり、信用度が高いと言えるでしょう。

インフラファンドの利回りが高いのはなぜ?

上記7銘柄の配当利回りは高く約5~6%です。(2020年10月20日時点)一般的な投資信託が運用に成功した場合の利回りは3%程度と言われているため、2倍程度の利回りが期待できることになります。インフラファンドの利回りが高い理由は「キャッシュフロー(手元に残る現金)が多いから」です。太陽光発電の資産のほとんどは発電設備となりますが、建物と同様に数十年かけて減価償却していきます。

利益は(収入-経費)で成り立っていますが、経費として大きな額となる減価償却費を計上することで帳簿上の利益は減少。実際に入ってくる売電収入と利益のバランスが崩れ多くのファンドは「利益超過」状態となり利益超過分配を行っています。例えばジャパン・インフラファンド投資法人の2020年5月期の分配金は1,171円です。

しかし内訳は1口あたりの分配金が557円、1口あたりの利益超過分の分配金が614円となっています。インフラファンドは帳簿上、減価償却費として計上した費用の一部を分配金として投資家に分配しているため利回りが高くなるのです。ただし、インフラファンドには後述するリスクもあるため高リスク高リターンの投資と言えます。

インフラファンドの購入方法

インフラファンドは以下のような流れで購入します。

  • 証券会社に口座を開設する
  • 買付注文
  • 分配金を受け取るまたは売却

株式や投資信託などと大まかな流れは同じのため、投資を行っている人はすでに開設している証券口座でファンドを購入することも可能です。

証券会社の口座を開設する

インフラファンドを購入するためには、まず証券会社の口座を開設しましょう。証券会社には、店舗を構えずネット上で取引を行うネット型の証券会社と店舗を構える店舗型証券会社の2種類があります。店舗型の証券会社もネット上で取引は可能です。ネット型の証券会社は手数料が安いことが魅力ですが、店舗型証券会社のようにプロにアドバイスをもらうことは難しくなります。

そのため自分に合った取引ができる証券会社を選びましょう。ネット型証券会社の場合、名前や住所など基本情報を入力することですべての手続きがWeb上で行えるようになります。一般的に1週間程度で本人確認が終わり取引できるようになるでしょう。

買付注文

購入したいファンドの買付注文を行います。指定する購入金額(指値)や株数、購入期間、口座の預り区分などを指定して購入します。成行注文を選ぶと金額を指定することなく購入することが可能です。

分配金を受け取るまたは売却

ファンドの値動きをチェックしつつ分配金を受け取ります。ファンド価格の値下がり・値上がりが気になる人もいるとは思いますが利回りが高いため、まずは分配金で投資した金額を回収することを目標としても良いかもしれません。購入時はできるだけ安い価格、売却時は高い価格が理想ですが、あまりに値下がりしたときには損切りの検討も必要です。

できれば投資する前の段階であらかじめ「〇円になったら売却する」など自分でルールを決めておき大きな損失を防ぎましょう。

インフラファンド投資の注意点・リスク

固定価格買取制度(FIT)の終了・出力制御の可能性

インフラファンドの安定性は、FIT制度(固定価格買取制度)が一因です。しかしFIT制度が終了してしまった場合、収益性が低下したり将来的に太陽光発電設備が減少する可能性があります。また需給バランスや送電線の容量によっては、国から電力の出力制御としてパワコンからの出力を減少または停止するよう要請される可能性もあるでしょう。2018年10月には九州で出力抑制が実施され、年末までに26回行われています。

減価償却費の計上が終わり、利益超過分配がなくなるリスク

太陽光発電設備などの機械設備は、「法定耐用年数」により減価償却費を計上できる期間が定められています。利回りの項で解説した通り、インフラファンドは減価償却費を計上することで高い利回り(分配金)となる仕組みです。そのため法定耐用年数を過ぎると減価償却費を計上できず利益超過分配ができなくなってしまう懸念もあります。

利益超過分配・資産額・純資産額などが減少する恐れがあり、ファンドの値段が下がるだけではなく上場廃止となる危険性もあるのです。

インフラファンド投資は高リスク・高リターン

インフラファンドは、ファンドの中でも比較的高リスク・高リターンの投資です。太陽光投資のように周辺環境の整備や運営は必要ありませんが、設備の法定耐用年数が過ぎると利益超過分配がなくなるリスクがあります。ただし太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの導入量は世界中で年々伸びており、売電価格が下がっても将来性が期待できる産業と言えるでしょう。

高利回りの投資、将来性のある事業へ投資したい人は、インフラファンドを選択肢の一つにしてみてはいかがでしょうか。(提供:Renergy Online