コロナ禍のニューノーマル(新常態)の時代、ネット通販のアマゾン等は非常に好調な売上を示している。ネットで商品を調べ、カスタマーレビューや書込みなどを参考にして選択する消費行動は、いまや広く浸透しているようにも見受けられる。

一方、一度の購入金額から見れば、時にクルマだって買えてしまうような出費にもかかわらず、あまり調べもしないで購入してしまう商品もある。その典型が「投資信託」だ。実際には商品が違えば、まったく得られる効用が違うにもかかわらず、よほど販売金融機関のブランド名を信頼しているのか、或いは「素人にはよく分からないから」と、半分諦めているからなのか、安易に購入するケースが多いように見受けられる。筆者ならば「これだけの情報では何も判断できない」と思ってしまう投資信託が新規設定の時からバカ売れしていたりする。「営業力」恐るべしだ。

投資信託の一面正しく、一面まったくの勘違いでもある話

アクティブファンド,選び方
(画像= WorldImage / pixta, ZUU online)

伝説のファンドマネージャーであるピーター・リンチ氏も、投資の神様のように称せられるウォーレン・バフェット氏も、言い方は違っても基本的に投資哲学は一緒だということは前回お伝えした。そう「自分の知っているもの、分かるものに投資をする」というものだ。どんなに時流に乗った流行りものでも、投資先が提供する商品やサービスなどを評価できなかったり、ビジネス自体を理解できなかったりしたら、手を出さないというのが彼らの鉄則だ。それからすると、冒頭で述べた購入スタイルは、その時点で既に投資で成功する人の条件から外れたことになる。

ITバブルの頃、ウォーレン・バフェット氏がインターネット関連銘柄に一切手を出さなかったことはあまりにも有名な話だ。数年後、アマゾンの劣後債から投資を開始、それまでこの分野に投資をしてこなかったことを悔やむコメントが発表された。逆に言えば、それまでの期間、リサーチに時間を費やしていたということだ。たとえば昨今話題のAI関連やESG関連に十分な時間をかけてリサーチしたうえで、購入している個人投資家がどれくらいいるだろうか。耳が痛い方も多いのではないか。

ピーター・リンチ氏とウォーレン・バフェット氏、筆者はこの二人の投資哲学に賛同する。自分の運用スタイルも同様だったが、分かる分野であれば「未来予測」も適格だが、知らない分野だと、そのビジネスや製品・商品、或いは提供しているサービスが、どれだけの付加価値を創造し、どれだけ競争力がある技術で、将来に亘って安定した収益を生み出せるかなど分かる筈が無い。

「投資信託は投資の初心者にぴったりな運用商品だ」などと言う、一面正しく、一面まったくの勘違いでもある話を、都合よく額面通りに捉えて、あとから後悔するのだけは止めて欲しいと常々思っている。一面正しいと思われる部分については多くの人が語っているので、今回は後者の「まったくの勘違い」の部分をクローズアップしたい。