京東健康(JDヘルス、06618)が12月8日に香港上場を果たした。これをきっかけに、「オンライン医療」という投資テーマが注目を集めている。 ただ、顧客第一とは言い難い営業姿勢に加え、“心付け”が幅を利かせる中国らしいリアルな世界も見えてきた。


オンライン医療各社の売上構成はいびつだ。 平安健康医療科技(ピンアンヘルスケア、01833)は売り上げの25%をオンライン医療で稼ぐが、阿里健康信息技術(アリヘルス、00241)は2.5%、京東健康は数字上に表れてこないほどわずか(下部グラフ参照)。 実は各社とも医薬品のネット通販が売り上げの過半を占める。ハッキリ言えば、“ネットの薬屋さん”と称したほうが実態に近い。 もっとも、オンライン医療が成長スポットであることは確かだ。 診療全体に占めるネット経由の比率は足元では12.2%(20年推定)に過ぎないが、25年には47.9%、30年には68.5%まで上昇する見通し。

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(画像=東洋証券株式会社)

まずは薬の通販で顧客を囲い込み、将来的に自社の医療サイトに誘導する。皆、そんな思惑なのだろう。 実態がよく分からないので、平安健康の“中の人”に直接聞いてみた。 同社は患者と医者(病院)をつなぐプラットフォームを提供するほか、自前の医療チームも持つ(20年6月末時点で1836人)。医師免許を持つ専門医1人と助手(元医療関係従事者が多い)4~5人が一組となり業務に当たっているそうだ。

客は、医療アプリ「平安好医生(ピンアン・グッドドクター)」を使い、主にチャット形式で身体の不調や持病などを問い合わせる。 基本的には助手が対応し、必要に応じて医師のアドバイスも添える。小児科や産婦人科などの一部や、医師への直接質問などは有料だが、一般コンサルは無料。稼ぐのは、巧みな営業トークによる医薬品販売だ。 京東健康や阿里健康は親会社のECサイトと連携しており、“待ち”の営業でも客が入るが、平安健康は話術で勝負。 「問診だけではカネが落ちないため、クスリを売り付けて回収する」と言ったら意地悪だろうか。

一方、別の知人はオンライン医療プラットフォーム「好大夫在線」を利用し、かかりつけ医の診断を受けた。 1回160元(約2560円)で、対面診断とほぼ変わらなかったそう。初診も可能で、医師の指名もできる。 ただ、その場合は追加費用が発生。何だか人気ホステスかカリスマ美容師みたいだ。


オンライン医療アプリの多くには、おせっかいなことに“心付け(チップ)”を別途払える機能が実装されている。中国では診療・入院・手術などの際に、医師に“袖の下”を渡す行為がいまだに横行。 背景には、「渡さなければ医師が手を抜いてしまうのでは」という疑心暗鬼があるようだ。カネの切れ目が医療の切れ目!? 何でもカネで解決したがるご時世。オンライン医療というスマートな言葉のウラには、こんな陋習(ろうしゅう)も見え隠れする。

奥山要一郎(おくやま・よういちろう)
東洋証券 上海駐在員事務所 所長
2007年入社。本社シニアストラテジスト等を経て、2015年より現職。
中国現地で株式動向のウォッチや上場企業取材などを行い、中国株情報の発信・レポート執筆を手がける。

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