本記事は、安田正氏の著書『デキる人はこっそり使ってる! 人を動かす20の質問術』(ポプラ社)の中から一部を抜粋・編集しています
お悩み 言い訳ばかり返ってくる
後輩くんに5日前から資料の作成を頼んでいたあなたですが、今日提出された資料を見ると、あちこちにミスが。
本人の成長のためにも、ここは先輩としてちゃんと指摘しておきたいところですよね。
あなた「さっき提出してもらった資料だけど、ちょっとまとめ方が雑じゃない?」
後輩くん「すみません。期日が短かったもので……」
あなた「いや、5日もあれば十分だろ」
後輩くん「他にもいろいろ立て込んでいたもので……」
あなたとしては、後輩くんを責め立てたいわけではなく、今後のために反省を促したいだけ。
それなのに後輩くんは言い訳ばかりです。
これには、さすがにあなたも声を荒らげそうに……。でも、ここは職場とグッと感情をこらえました。
どうして後輩くんは言い訳を繰り返すのでしょう?
むやみに「相手のミス」を攻撃していませんか?
雑な資料を提出した後輩くんに対して、「ちょっとまとめ方が雑じゃない?」とストレートに尋ねたあなた。
これに対して後輩くんが言い訳ばかりするのは、あなたに「叱られた」と思ったからでしょう。
このように、「質問」は時として相手に「叱責」だと受け取られてしまうことがあります。
その理由は、質問の内容が「相手のミス」を攻撃するようなものだったから。ミスを攻撃された時点で、相手は「防御モード」に入ってしまい、こちらの言い分を素直に聞く姿勢ではなくなってしまうんです。
似たようなシチュエーションを、家庭で経験したことのある人も多いのではないでしょうか?
一日中一生懸命働いて、クタクタになって家に帰ってきたところ、なぜか夕飯のしたくができていないことに気づいたあなた。
思わずカチンときて、奥さんにこう言ってしまいます。
×あなた「おい、なんでメシができてないんだよ!?」
奥さん「お隣の奥さんにちょっと相談されてたのよ。そのうちにスーパーが閉まっちゃったの!」
やはり、言い訳しか返ってきませんよね。
しかも、かなり語気強めの言い訳です。
あなたがいきなり奥さんのミスを指摘したせいで、奥さんは完全に「素直に反省する気」をなくしてしまっています。
言い訳というものは、するほうも聞かされるほうもイヤな気持ちにしかなりません。
この手詰まりの展開に対して、打つ手はあるのでしょうか?
●質問は、相手が受け入れやすい順番で!
例えば冒頭のシーンで、あなたが後輩くんに次のように声をかけていたとすれば、どうでしょうか。
○「この資料、いつから準備してた?」(←ニュートラルな質問)
「少しミスが目立つけど、もっと早く手をつけてもよかったんじゃない?」(←本当にしたい質問)
いかがでしょうか?
冒頭の例のような険悪な雰囲気はまったくなくなっていますよね。これなら後輩くんも、素直にミスを認めて反省してくれそうです。
ポイントは、いきなりミスを指摘せずに「ニュートラルな質問」から入ること。
そして、そのあとに「本当にしたい質問」をしていることです。
このような「2段ロケット方式」の質問にすれば、相手もあなたの言葉を受け入れやすくなります。
さらに、ふたつめの質問に「相手への期待」を伝えるような言葉を盛り込めば、より前向きにあなたの言葉を聞いてもらうことができるでしょう。
今度、家に帰って夕飯の準備ができていなかったら、こんなふうに言ってみましょう。
○「あれ、メシはどうした?」(←ニュートラルな質問)
「普段から作り置きしておくといいんじゃないか?おれだってお前が作るメシが食いたいし」(←期待を伝える質問)
和やかなムードの中で、奥さんにリクエストを伝えることができましたね。今度は「2段ロケット方式」の質問を活用して、家庭円満で行きましょう!
超一流の質問術 まずは相手の心を開かせる
相手が気分よくなるように 相手のミスをいきなり指摘してはいけません。期待を込めた質問をプラスして、相手に状況の改善を促しましょう。
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