本記事は、安田正氏の著書『デキる人はこっそり使ってる! 人を動かす20の質問術』(ポプラ社)の中から一部を抜粋・編集しています

お悩み 言い訳ばかり返ってくる

マネジメント,人間関係
(画像=fizkes/Shutterstock.com)

後輩くんに5日前から資料の作成を頼んでいたあなたですが、今日提出された資料を見ると、あちこちにミスが。

本人の成長のためにも、ここは先輩としてちゃんと指摘しておきたいところですよね。

あなた「さっき提出してもらった資料だけど、ちょっとまとめ方が雑じゃない?」

後輩くん「すみません。期日が短かったもので……」

あなた「いや、5日もあれば十分だろ」

後輩くん「他にもいろいろ立て込んでいたもので……」

あなたとしては、後輩くんを責め立てたいわけではなく、今後のために反省を促したいだけ。

それなのに後輩くんは言い訳ばかりです。

これには、さすがにあなたも声を荒らげそうに……。でも、ここは職場とグッと感情をこらえました。

どうして後輩くんは言い訳を繰り返すのでしょう?

むやみに「相手のミス」を攻撃していませんか?

雑な資料を提出した後輩くんに対して、「ちょっとまとめ方が雑じゃない?」とストレートに尋ねたあなた。

これに対して後輩くんが言い訳ばかりするのは、あなたに「叱られた」と思ったからでしょう。

このように、「質問」は時として相手に「叱責」だと受け取られてしまうことがあります。

その理由は、質問の内容が「相手のミス」を攻撃するようなものだったから。ミスを攻撃された時点で、相手は「防御モード」に入ってしまい、こちらの言い分を素直に聞く姿勢ではなくなってしまうんです。

似たようなシチュエーションを、家庭で経験したことのある人も多いのではないでしょうか?

一日中一生懸命働いて、クタクタになって家に帰ってきたところ、なぜか夕飯のしたくができていないことに気づいたあなた。

思わずカチンときて、奥さんにこう言ってしまいます。

×あなた「おい、なんでメシができてないんだよ!?」

奥さん「お隣の奥さんにちょっと相談されてたのよ。そのうちにスーパーが閉まっちゃったの!」

やはり、言い訳しか返ってきませんよね。

しかも、かなり語気強めの言い訳です。

あなたがいきなり奥さんのミスを指摘したせいで、奥さんは完全に「素直に反省する気」をなくしてしまっています。

言い訳というものは、するほうも聞かされるほうもイヤな気持ちにしかなりません。

この手詰まりの展開に対して、打つ手はあるのでしょうか?

●質問は、相手が受け入れやすい順番で!

例えば冒頭のシーンで、あなたが後輩くんに次のように声をかけていたとすれば、どうでしょうか。

○「この資料、いつから準備してた?」(←ニュートラルな質問)

「少しミスが目立つけど、もっと早く手をつけてもよかったんじゃない?」(←本当にしたい質問)

いかがでしょうか?

冒頭の例のような険悪な雰囲気はまったくなくなっていますよね。これなら後輩くんも、素直にミスを認めて反省してくれそうです。

ポイントは、いきなりミスを指摘せずに「ニュートラルな質問」から入ること。

そして、そのあとに「本当にしたい質問」をしていることです。

このような「2段ロケット方式」の質問にすれば、相手もあなたの言葉を受け入れやすくなります。

さらに、ふたつめの質問に「相手への期待」を伝えるような言葉を盛り込めば、より前向きにあなたの言葉を聞いてもらうことができるでしょう。

今度、家に帰って夕飯の準備ができていなかったら、こんなふうに言ってみましょう。

○「あれ、メシはどうした?」(←ニュートラルな質問)

「普段から作り置きしておくといいんじゃないか?おれだってお前が作るメシが食いたいし」(←期待を伝える質問)

和やかなムードの中で、奥さんにリクエストを伝えることができましたね。今度は「2段ロケット方式」の質問を活用して、家庭円満で行きましょう!

超一流の質問術
まずは相手の心を開かせる

相手が気分よくなるように
相手のミスをいきなり指摘してはいけません。期待を込めた質問をプラスして、相手に状況の改善を促しましょう。

『デキる人はこっそり使ってる! 人を動かす20の質問術』より
安田正(やすだ・ただし)
宮城県仙台市生まれ。高校時代から英語教育分野に関心を持ち、大学卒業を機に渡英。本格的にグローバルコミュニケーション教育を学ぶ。帰国後、株式会社兼松パーソネルサービスの国際化事業部部長を経て、1990年パンネーションズ・コンサルティング・グループを創業。代表取締役に就任。全く新しい英語学習メソッド「システムイングリッシュ」、グローバルビジネスに必須の「ロジカル・コミュニケーション®研修」などを次々に発表。グローバル人材育成の先達として常に挑戦を続けている。受託先は官公庁・大手上場企業を中心に1700社にのぼり、総受講生は55万人に達する。また、京都大学、一橋大学などからの講演依頼を受ける傍ら、東京大学大学院、早稲田大学理工学術院非常勤講師として教鞭をとる。2017年4月より早稲田大学グローバルエデュケーションセンター客員教授。主な著書にシリーズ累計88万部を超えた『超一流の雑談力』(文響社)や『超一流 できる大人の語彙力』(プレジデント社)などがある。

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