本記事は、安田正氏の著書『デキる人はこっそり使ってる! 人を動かす20の質問術』(ポプラ社)の中から一部を抜粋・編集しています
お悩み 雑談が盛り上がらず、シラけムードに
商談や打ち合わせの合間に、ちょっとした雑談をはさむことがありますね。
そんなときは、「相手を知るための質問」をするというのが、鉄板の会話テクとされていますが、これが簡単なようでいて難しいもの。
あなたもきっと、次のような「盛り上がらない会話」を経験したことがあるのではないでしょうか?
あなた「○○さんは、どちらのご出身なんでしたっけ?」
相手「京都ですけど」
あなた「京都ですか!私も修学旅行で行きましたよ」
相手「そうですか。どちらを回られました?」
あなた「んー、えー、金閣寺に……行きましたね」
相手「ああ、みなさん行かれますよね……」
なんとなく「会話のラリー」は続いています。でも、相手が「どうでもいい会話だなあ」と思っている、ダルそうな雰囲気はビンビンと伝わってきますよね。
原因は、一体どこにあるのでしょうか?
「間を埋める」だけの質問をしていませんか?
冒頭の「雑談」で、あなたは「どちらのご出身なんでしたっけ?」と、わざわざ相手が話しやすそうな質問を振っています。
ですが、その努力にもかかわらず、この会話は遠からず「手詰まり」で終わってしまうでしょう。
そもそもの間違いは、「どちらのご出身なんでしたっけ?」という、あなたの最初の質問に「意図がない」ことです。
要するに、会話の「間を埋める」ために、行き当たりばったりの質問をしてしまっているわけです。
行き当たりばったりのノープランで質問をしてしまうと、その後の会話の展開を読むことができません。
●「ノープラン質問」はムダ話で終わる!
もしあなたの出身地が、相手と同じ京都なら、話はいくらでも盛り上がったでしょう。
しかし、残念ながらあなたは大して京都に詳しくありません。
そのため「修学旅行で行ったことがある」などという、京都出身の人なら百回以上は聞かされているにちがいない、ありきたりな打ち返ししかすることができませんでした。
しかも、相手が気を利かせて「(修学旅行では)どちらを回られました?」と聞いてくれているのに、「金閣寺」などという、面白みも何もないベタな答えしか返せないありさまです。
これでは相手も大して話を広げようがありませんね。
こんなふうに、ノープランで会話を進めてしまうと、会話は「意味のないムダ話」で終わってしまいがちなんです。
●「相手フォーカス型」の質問で、相手のストーリーを引き出す
では、相手が「京都出身です」と答えたあと、もしあなたが次のように質問を続けていればどうだったでしょうか?
○「では東京へは大学から?」 「慣れるのが大変だったでしょう?」
いかがでしょうか?同じ「ご出身はどちらですか?」という質問からスタートしているのに、今回はもっと話が広がっていきそうな雰囲気ですね。
前回の会話は、「私も修学旅行で行きました」という“自分(あなた)発信”の流れになっていました。
それに対して今回は「では東京へは大学から?」と“相手発信”の情報を聞き出す流れになっています。
こう尋ねれば、相手はおのずから自分のストーリーを語り出しますよね。
雑談を心地よくはこぶには、このように“相手に話してもらう”のがベストなのです。
自分自身に対して関心を向けられれば誰だってうれしいもの。答えるのを面倒くさがる相手はいないんです。
「出身地」「趣味」「持ち物」「好きな食べ物」といった「モノ」は、あくまで質問の糸口にすぎません。
こうした「モノ」の背景にあるストーリーを引き出そうとする「相手フォーカス型」の質問を心がけてください。
そうすることで、より相手への理解を深め、お互いの距離を縮めることができるでしょう。
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