「FIRE」という言葉を見聞きすることが多くなってきました。FIREは簡単にいえば「投資や運用などで収入を得て経済的自立をしながら早期リタイアして自分らしく生きるライフスタイル」のことです。FIREを実現するとなると「高いハードルを超えなければならない」と感じている人も多いのではないでしょうか。

しかし、現役世代の人にとってFIREは決して難しいものではなく、むしろ現実味のある選択肢の一つです。本記事では、特に将来のFIRE達成に現実味のある20~30代の人たちが今のうちからやっておきたいことについて解説します。

FIREが注目されている

50代,リタイア
(画像=cacaroot/stock.adobe.com)

FIREが注目されているのは、FIREに対する願望や期待を持っている人が多いからでしょう。FIREとは「Financial Independence Retire Early」の略で「経済的自立」「早期退職」を組み合わせた造語です。「お金を稼がなければならない」という義務から解放されることで自分の好きなことをして生きていく意味合いとも解釈できます。

今の仕事ではなく、自分の力で経済的自立を達成するために投資や資産運用を取り入れ不労所得で生活できるようになれば早期退職が実現可能です。もちろんFIREは自由な概念なため、完全リタイアではなくフルタイムの仕事を卒業して自分が納得できる範囲で仕事をしてそれ以外の時間は自分のために使う生活もFIREに含まれます。

いずれにしてもFIREが目指すのは、それぞれの人がお金にこき使われるのではなくお金を味方につけて自分らしく生きることです。価値観の多様化に伴いこうした考え方は今後日本でも浸透が進み誰もが目指す理想になっていく可能性があります。

20~30代の人はFIREを目指せる「適齢期」

生まれつき資産家の人であればともかく、標準的な所得水準や生活水準の人がFIREを目指すには事前に計画を立てることが必要です。ただし、例えば「50代からいきなり間近に迫っているセカンドライフを描く」というのではあまりにも時間が少なく、計画の選択肢が狭くなります。しかし20~30代の人たちには十分な時間があることが大きな強みです。

それほど大きな生活の変化を必要とせず、今の仕事を変える必要もないでしょう。FIREを目指す「適齢期」といえるのが20~30代という世代です。若いことは大きな強みとなるため、該当する年齢層の人は今の考え方を少しシフトするだけでFIREを目指せる優位性をフルに活かしてみましょう。

FIREを目指す人が持っておきたい3つの考え方

50代以降のFIREを目指すために(人によっては40代からでも可能)、20~30代の人が持っておきたい考え方を3つ紹介します。

1今の仕事を安定させて収入を着実に増やすこと

今の仕事を無理に変える必要はありません。重要なのは今の仕事を大切にしてしっかりと取り組み収入を安定させて着実に増やしていく視点です。時間がなければより一層劇的に収入を増やす必要がありますが、20~30代の人たちにその必要はありません。

2無駄な出費を見直し投資に回すお金を少しでも増やすこと

FIRE達成計画のためには、投資が必要です。投資に回せるお金を少しでも多くすることがFIRE達成の時期を早め、FIRE達成後の収入額を大きくします。そこでチェックしたいのが無駄な出費です。特に意識したいのが以下のような出費の見直しです。

  • お酒やたばこ、ギャンブルといった浪費を中心とした「コト消費」の見直し
  • 生命保険や携帯電話料金、住宅ローンといった固定費を必要十分なものへ見直す

それぞれの出費は1ヵ月にすれば少額かもしれませんが、数十年という長期間の場合は大きな効果が期待できます。そのためしっかりと見直しを行い、投資に回せるお金をしっかりと確保しましょう。

3今からできる投資をして不労所得を獲得すること

今からできる投資を始めて数百円、数千円という単位でも不労所得を得る仕組みをつくっていきましょう。例えば、株の配当金や投資信託の分配金などが有望です。また次項で解説する「複利」を味方につけていきましょう。

不労所得を獲得し、資産形成を始めよう

FIREを目指すための考え方の1と2については、そもそも今の生活を激変させないことが前提となるため、効果には限度があります。そこで注目したいのが3の投資による資産形成です。高配当株を保有することによる配当収入やETF、J-REIT、投資信託などからの分配金収入が軸になります。こうした商品をコツコツと積立購入していくことで不労所得を大きくすることが期待できるでしょう。

もちろん金融商品のため価格変動リスクはありますが、積立購入を行えば購入時の価格が毎回異なるため、長期的に積み立てを続けていくと購入価格が平均化されていきます。この手法は「ドルコスト平均法」と呼ばれ、長期投資によるリスク管理の基本です。さらにもう一つ重要なのが複利効果です。現役世代のうちは、投資によって得られた収入をすべて再投資していきます。

再投資することで積立分と収入の再投資分が加算され、時間の経過とともに資産が加速度的に増えていくことが期待できるのです。複利効果の威力をイメージできるよう、毎月5万円を「年利3%」の商品に30年積立投資していくシミュレーションをしてみましょう。ここでは、金融庁が提供している「資産運用シミュレーション」を使用します。

資産運用シミュレーション
(画像=Incomepress編集部)
年数金額の推移元本運用収益
開始年0円0円0円
3年目約188万1,000円180万円約8万1,000円
6年目約393万9,000円360万円約33万9,000円
9年目約619万円540万円約79万円
12年目約865万4,000円720万円約145万4,000円
15年目約1,134万9,000円900万円約234万9,000円
18年目約1,429万7,000円1,080万円約349万7,000円
21年目約1,752万3,000円1,260万円約492万3,000円
24年目約2,105万2,000円1,440万円約665万2,000円
27年目約2,491万3,000円1,620万円約871万3,000円
30年目約2,913万7,000円1,800万円約1,113万7,000円

仮に35歳から毎月5万円の積み立てをしながら年利3%で運用すると30年後の65歳時には約3,000万円近くの資産をつくることが可能です。ここで積み立てを終了して約2,900万円を毎年年利3%で運用した場合は、年額87万円、月換算で約7万2,000円の不労所得が入り続けます。夫婦2人の標準的な厚生年金受取額を約22万円(2020年度)とすると、毎月約29万2,000円の生活費を確保することが可能です。

年利3%で運用できれば、これらは貯金の取り崩しではなく半永久的に続く収入となります。このシミュレーションを軸に50代でFIREを実現すべく「毎月の積立額を多くする」「運用利回りをより高いものにする」「積立期間を長くする」など工夫をすることで、資産形成効果はより大きくなるでしょう。FIREに必要な金額を想定しながら自分でもシミュレーションをしてみてください。

レバレッジ効果を味方につけるなら不動産投資も視野に入れよう

不動産投資は、FIRE達成に有効な選択肢の一つです。ここまで解説してきた積立投資は全額自己資金が前提となりますが、不動産投資の場合は異なります。なぜなら、不動産投資の場合は金融機関の融資を活用することもできるからです。融資を利用して収益物件を購入したとしても、家賃は投資家の収入となります。

その際に重要になるのが「融資を受けられるかどうか」です。しかしビジネスパーソンや公務員など安定した収入があり、一定の勤続年数や勤務先の信用がある場合などは融資を受けられる可能性が高まります。これをうまく活用して融資を受けて収益物件を購入することができれば、以後は家賃収入をローン返済に充てながら不動産を運用していくことが可能です。

投資する物件を2件、3件と増やしていくことにより不労所得額が大きくなり、早期のFIRE達成が現実味を帯びてきます。不動産投資を活用してFIREを達成した人は多くいます。従前とは異なり、生まれつき資産家でなくても情報力や融資の活用によって給与所得を受けながらオーナーになることが期待できます。

このようにFIREを目指す場合は、不動産投資の活用を検討してみることが極めて有望なルートといえるでしょう。(提供:Incomepress


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