iDeCoは老後の収入の軸である公的年金を補い、より豊かなセカンドライフを送るための資産形成法の1つ。40代になって老後の問題が現実的になり、気になっている人も多いのではないだろうか。実は40代はiDeCoの始め時だ。iDeCoのメリット・デメリットや40代から始める場合のポートフォリオまで、知っておきたいiDeCoの基礎知識を紹介しよう。

1.iDeCo(イデコ)とは老後の収入の軸である公的年金を補うための私的年金制度

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(画像=Flamingo Images/Shutterstock.com)

iDeCoは加入者が自ら掛金額と商品を決めて運用し、掛金と運用益の合計額をもとに計算された給付金を原則60歳以降に受け取る仕組みだ。

iDeCoは2017年1月から専業主婦(夫)や企業年金加入者、公務員等も加入できるようになり、20歳以上60歳未満のほとんどの人が利用できるようになった。2019年12月時点でのiDeCoの加入者は、146.5万人だ。

iDeCo(イデコ)の掛金は加入資格ごとに上限額が違う

iDeCoの掛金は、加入資格ごとに上限がある。上限額までであれば月々5,000円から1,000円単位で設定できる。

加入資格と拠出限度額
  拠出限度額
自営業者・学生等
(第1号被保険者)
6.8万円

国民年金基金
または
国民年金
付加保険料の合算
専業主婦等
(第3号被保険者)
月額 : 2.3万円
 
会社員等
(第2号被保険者)
会社に
企業年金が
ない場合

2.3万円
企業型DCに
加入して
いる場合

2万円
DBと
企業型DCに
加入して
いる場合

1.2万円
DBのみに
加入して
いる場合

1.2万円
公務員等
 共済加入者
(第2号
被保険者)
1.2万円
注釈

※iDeCo公式サイトを基に筆者作成
※DC:確定拠出年金 DB:確定給付企業年金、厚生年金基金

拠出限度額が最も高いのは自営業者や学生などの第1号被保険者の月額6万8,000円だ。第1号被保険者は年金の2階部分を自分で準備する必要があるため拠出限度額が高い。

会社員などの第2号被保険者は条件により拠出限度額が月額2万3,000円、2万円、1万2000円と3段階に分かれている。

専業主婦(夫)などの第3号被保険者は月額2万3,000円だ。第3号被保険者は会社員などに扶養される配偶者で、年収130万円未満で20歳以上60歳未満の人である。

2.iDeCo(イデコ)の4つのメリットを解説

iDeCoの最大の特徴は節税メリットだ。

iDeCo(イデコ)のメリット1……掛金が全額所得控除される

iDeCoは自分で決めた掛金の全額が所得から控除される。例えば毎月の掛金が1万円の場合は年額が12万円となり、年収800万円で、課税される所得が330万円超695万円以下の人であれば、所得税20%住民税10%の合計3万6,000円が軽減されるのだ。

所得控除の手続きは、国民年金基金から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が発行されるので、国民年金の第1号・第3号被保険者の場合は確定申告を行う。国民年金の第2号被保険者で給与天引きであれば手続きは不要、口座振替なら年末調整で申告する。

iDeCo(イデコ)のメリット2……運用益が非課税

iDeCoの運用商品には定期預金、保険商品、投資信託がある。自分で許容できるリスクのレベルや目標とする利回りなどを決めたのちに商品を選んで掛金を運用する。通常は運用益に源泉分離課税20.315%が課税されるが、iDeCoであれば課税されることはない。運用益は再投資の資金に含まれる。

iDeCo(イデコ)のメリット3……受け取るときも控除の対象になる

iDeCoの受け取り方法は年金か一時金を選択できる。金融機関によっては年金と一時金を組み合わせて受け取ることができる。年金として受け取るのであれば「公的年金等控除」が適用されて税額が抑えられる。一時金で受け取る場合は「退職所得控除」の対象となり、20年間、積み立てると800万円までが非課税になる。

iDeCo(イデコ)のメリット4……持ち運びができる

iDeCoで積み立てた年金資産は、転職や離職したあとに移換の手続きを取って持ち運ぶことができ、掛金の拠出が継続できる。厚生年金基金や確定給付企業年金等から資産を引き継ぐこともできるので、まとまった資産を60歳以降に受け取れる。

3.iDeCo(イデコ)の2つのデメリット

メリットばかりに思えるiDeCoだが、デメリットもある。

iDeCo(イデコ)のデメリット1……60歳まで引き出せない

iDeCoは原則として60歳になるまで積み立てた資産を引き出すことができない。この点は、これから教育費の負担が増える、住宅購入の予定があるなど、支出がかさむ時期には少し不安に思えるかもしれない。 また、60歳から受け取るためには10年以上の通算加入者等期間が必要になる。加入者期間等に応じた受給開始年齢は以下の通りだ。

・10年以上……60歳
・8年以上10年未満……61歳
・6年以上8年未満……62歳
・4年以上6年未満……63歳
・2年以上4年未満……64歳
・1年以上2年未満……65歳

通算加入者等期間とは、加入者期間と運用指図者期間を合算した期間のことをいう。毎月一定の掛金を拠出している期間だけでなく、教育費や住宅ローンが重なり掛金の拠出を止め、運用だけを行っている期間があったとしても、支給要件に合算してもらえる。

iDeCo(イデコ)のデメリット2……加入時と運用時に手数料がかかる

iDeCoの口座では証券口座や銀行口座と異なり手数料がかかる。iDeCoにかかる手数料には、加入時に国民年金基金連合会と金融機関に支払う初期手数料と、運用期間中に金融機関、国民年金基金連合会、事務委託先金融機関に毎月支払う手数料がある。

国民年金が未納などの理由でiDeCoの掛金を還付するときにも手数料は必要だ。手数料は金融機関ごとに違い、すべて掛金の中から支払うことになるので、できるだけ安い金融機関を選びたい。

4.iDeCo(イデコ)の金融機関を選ぶときの2つのポイント

iDeCoは利用する金融機関によって手数料や対象の金融商品が異なる。iDeCo口座を開設できる金融機関は1人1つだけだ。

iDeCoの金融機関を変更するには手数料負担があり、期間は1ヵ月~2ヵ月程度必要になる。そのため最初の金融機関選びが重要だ。iDeCoを利用する金融機関を決めるポイントは以下の2つがある。

iDeCo(イデコ)にかかるコストが低い

iDeCoの運営管理機関は、証券会社や銀行、保険会社など221社だ(2020年6月時点)。運営管理機関以外にiDeCoの加入受付や情報提供のみを行う金融機関もある。どの金融機関でも共通でかかるiDeCoのコストは以下だ。

<加入時>
国民年金基金連合会に支払う手数料……2,829円

<運用期間中>
国民年金基金連合会へ支払う手数料……105円/月
事務委託先金融機関へ支払う手数料……66円/月

金融機関の中には、加入時に運営管理機関手数料が1,000円ほどかかったり、運用中に口座管理手数料がかかったりするところもある。手数料は金融機関によって異なるので、必ず確認しておこう。ネット証券や対面型証券、銀行など主要14社のiDeCoにかかる手数料を以下の表にまとめた。

金融機関14社の手数料一覧

金融機関 加入時手数料 運用期間中の手数料
掛金を拠出する場合 掛金を拠出しない場合
SBI証券 2,829円 171円 66円
楽天証券 2,829円 171円 66円
マネックス証券 2,829円 171円 66円
松井証券 2,829円 171円 66円
岡三オンライン証券 2,829円 380円 440円
野村證券
(掛金1万円以上または
残高100万円以上)
2,829円 171円 66円
大和証券 2,829円 171円 66円
イオン銀行 2,829円 171円 66円
ソニー銀行
(残高50万円以上などの
条件を満たした場合)
2,829円 171円 66円
auじぶん銀行 2,829円 171円 66円
三菱UFJ銀行
(標準コース)
2,829円 556円 423円
三菱UFJ銀行
(ライトコース)
2,829円 431円 326円
三井住友銀行
(標準コース)
2,829円 431円 326円
三井住友銀行
(みらい
プロジェクトコース)
2,829円 171円 66円
みずほ銀行
(残高50万円以上などの
条件を満たした場合)
2,829円 171円 66円
ゆうちょ銀行 2,829円 430円 325円
注釈

※筆者作成

iDeCo(イデコ)で運用できる商品のラインアップが充実している

iDeCoで運用できる商品は金融機関で異なる。多くの金融機関では利用者が選びやすいように商品を10本から30本程度に絞り込んでいる。

金融機関の比較では商品ラインアップを確認すべきだ。商品数が多ければよいというものではなく、各資産クラスに適切な商品が用意されることが重要だ。手数料と同様に、iDeCoを取り扱っている14社の商品本数を比較してみよう。

金融機関14社の商品本数比較

金融機関 金融商品の分類
株式 債券 REIT バランス コモディティ ターゲット
イヤー
元本確保
SBI証券
(セレクト
プラン)
20 5 2 4 1 4 1
SBI証券
(オリジナル
プラン)
20 3 2 7 1 4 1
楽天証券 13 6 3 5 1 3 1
マネックス
証券
14 4 3 3 1 0 1
松井証券 4 3 2 1 1 0 1
岡三オンライン
証券
15 7 3 9 0 0 7
野村證券 8 4 2 5 0 7 1
大和証券 12 4 2 3 0 0 1
イオン銀行 8 4 2 5 1 3 1
ソニー銀行 10 4 2 5 1 6 0
auじぶん銀行 0 0 0 4 0 0 1
三菱UFJ銀行
(標準コース)
6 3 1 8 0 7 7
三菱UFJ銀行
(ライトコース)
2 2 2 2 0 0 2
三井住友銀行
(標準コース)
8 3 1 11 0 0 2
三井住友銀行
(みらい
プロジェクト
コース)
13 0 0 5 0 0 0
みずほ銀行 3 3 2 6 0 0 1
ゆうちょ銀行 7 4 2 9 0 4 8
注釈

※筆者作成

5.iDeCo(イデコ)のおすすめ金融機関ランキングTOP5

iDeCoを利用する金融機関をランキング形式で紹介する。iDeCoにかかる手数料が低いネット証券を対象に、商品の選びやすさと低コストの商品の品揃えを重視した、投資初心者向けのランキングになっている。実際に金融機関を選ぶ際は自身の投資スタイルに合ったものを選んでほしい。(※データはすべて2020年2月26日時点)

1位……松井証券――商品は厳選された12本で初心者でも選びやすい

松井証券のiDeCoの特徴は厳選された12本の商品である。資産クラスごとに1本または2本のラインアップになっており商品の選びやすさはトップレベルだ。商品は信託報酬が低いものが選定されている。

松井証券では「iDeCoシミュレーター」というツールも提供しておりiDeCoを利用した場合の節税額を簡単にチェックできる。

<松井証券のiDeCo手数料(税込)やラインアップ総本数>

加入時運営管理手数料 2,829円(※1)
運用中口座管理手数料
(掛金拠出する場合)
171円/月
運用中口座管理手数料
(掛金拠出しない場合)
66円/月
移換・運営管理機関変更時手数料 4,400円
ラインナップ総本数 12本
注釈

※松井証券の公式ホームページを基に筆者作成

2位……マネックス証券――問い合わせダイヤルやロボアドバイザーなどの充実したサポート

マネックス証券では、iDeCoに関する電話の問い合わせを土曜日も受け付けている。5つの質問に答えるだけで最適な運用プランを提案するiDeCo専用ロボアドバイザー「iDeCoポートフォリオ診断」も利用できるのも魅力だ。

ラインアップは最低レベルのコストの銘柄を中心に、長期的に安定した運用成績が期待できる26本を揃えている。

<マネックス証券のiDeCo手数料(税込)やラインアップ総本数>

加入時運営管理手数料 2,829円
運用中口座管理手数料
(掛金拠出する場合)
171円/月
運用中口座管理手数料
(掛金拠出しない場合)
66円/月
移換・運営管理機関変更時手数料 4,400円
ラインナップ総本数 26本
注釈

※マネックス証券の公式ホームページを基に筆者作成

3位……SBI証券――10年を超えるiDeCoの実績をもつネット証券最大手

SBI証券はiDeCo加入者数No.1で10年の実績をもつネット証券最大手だ。

運用するにあたって、SBI証券では2つのプランから選ぶ。iDeCoサービス開始時からの「オリジナルプラン」と低コストと多様性にこだわった「セレクトプラン」だ。

新設されたセレクトプランのほうが信託報酬の低い商品が多くラインアップされている。そのため、年初心者にはセレクトプランのほうをおすすめしたい。

<SBI証券のiDeCo手数料(税込)やラインアップ総本数>

加入時運営管理手数料 2,829円
運用中口座管理手数料
(掛金拠出する場合)
171円/月
運用中口座管理手数料
(掛金拠出しない場合)
66円/月
移換・運営管理機関変更時手数料 4,400円
ラインナップ総本数 セレクトプラン37本
オリジナルプラン38本
注釈

※SBI証券の公式ホームページを基に筆者作成

4位……楽天証券――資産運用しやすい管理画面と無料セミナーなどの充実したサポート

楽天証券のiDeCoの特徴は資産管理しやすい運用画面だ。証券資産と年金資産を楽天証券のIDだけで管理できる。無料セミナーなどのサポートも充実している。

ラインアップは楽天証券経済研究所が厳選した32本。低コスト・好運用実績の投資信託を中心に幅広い商品を揃えている。

<楽天証券のiDeCo手数料(税込)やラインアップ総本数>

加入時運営管理手数料 2,829円
運用中口座管理手数料
(掛金拠出する場合)
171円/月
運用中口座管理手数料
(掛金拠出しない場合)
66円/月
移換・運営管理機関変更時手数料 4,400円
ラインナップ総本数 32本
注釈

※楽天証券の公式ホームページを基に筆者作成

5位……岡三オンライン証券――アクティブ投信や元本確保型商品が豊富なラインナップ

岡三オンライン証券の商品ラインアップや手数料は、岡三証券と同じである。商品ラインアップは41本と充実。14本がパッシブ型、20本がアクティブ型、7本が元本確保型商品だ。他のネット証券よりもアクティブ型と元本確保型商品が充実しているのが特徴的だ。

手数料のうち「運用中口座管理手数料」は証券会社への支払い分がある。上位4つのネット証券より手数料は若干負担増になるが、幅広い商品の中から選びたいという人は利用を検討してみると良いだろう。

<岡三オンライン証券のiDeCo手数料(税込)やラインアップ総本数>

加入時運営管理手数料 2,829円
運用中口座管理手数料
(掛金拠出する場合)
380円/月
運用中口座管理手数料
(掛金拠出しない場合)
440円/月
ラインナップ総本数 41本
注釈

※岡三オンライン証券の公式ホームページを基に筆者作成

6..iDeCo(イデコ)で買える投資信託の純資産増加額ランキングTOP10 人気の高い銘柄はどれ?(SBI証券の場合)

iDeCoで買えて人気がある投資信託には、どのようなものがあるのだろうか。純資産増加額は人気の投資信託を知る方法の一つで、純資産総額が増加する主な要因は保有資産の価値上昇と人気(販売件数・販売金額の多さ)だ。

SBI証券のiDeCoで買える投資信託の純資産増加額ランキングを紹介しよう。SBI証券を選んだのは、iDeCo口座開設数がNo.1で、2つのプラン(オリジナルプラン・セレクトプラン)を合わせると、取扱数がおすすめの金融機関の中で最も多いからだ。

なお、SBI証券のオリジナルプランは2021年1月から新規受付を停止しており、現在新規で申し込めるのはセレクトプランのみである。

SBI証券のiDeCo対象投資信託の純資産増加額ランキングTOP10は、以下のとおり(※純資産増加額は2021年4月1日時点の前月比データ)。

順位 ファンド名 純資産
増加額
(億円)
プラン 投資先 運用
タイプ
信託報酬
1位 eMAXIS Slim米国株式
(S&P500)
575.63 セレクト 国際
株式
インデックス型 0.0968%
以内
2位 <購入・換金手数料なし>
ニッセイ外国株式
インデックスファンド
213.98 セレクト 国際
株式
インデックス型 0.1023%
以内
3位 eMAXIS Slim
先進国株式インデックス
185.14 セレクト 国際
株式
インデックス型 0.1023%
以内
4位 フィデリティ・日本成長株・
ファンド
141.86 オリジナル 国内
株式
アクティブ型 1.683%
5位 セゾン・バンガード・
グローバルバランスファンド
117.03 セレクト 資産
複合
インデックス型 0.57%
±0.02%
程度
6位 セゾン資産形成の
達人ファンド
77.67 セレクト 国際
株式
アクティブ型 1.35%
±0.2%
程度
7位 eMAXIS Slim全世界株式
(除く日本)
67.35 セレクト 国際
株式
インデックス型 0.1144%
以内
8位 eMAXIS Slimバランス
(8資産均等型)
61.27 セレクト 資産
複合
インデックス型 0.154%
以内
9位 DCニッセイ外国株式
インデックス
49.65 オリジナル 国際
株式
インデックス型 0.154%
10位 三菱UFJ国際-
eMAXIS Slim新興国株式インデックス
41.58 セレクト 国際
株式
インデックス型 0.187%
以内
※SBI証券の公式ウェブサイトを基に筆者作成

この中から、人気がある(積立設定や販売金額が多い)投資信託を5つ紹介しよう。

1位,eMAXIS Slim米国株式(S&P500)……純資産増加額連続1位の人気ファンド

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、米国株式の主要な株式指標であるS&P500をベンチマークとするインデックスファンド。純資産増加額1位を連続して獲得している人気のファンドである。

2021年3月のS&P500指数は月初に下落する場面があったが、その後は上昇し月間ではプラスだった。

1ヵ月でファンドの基準価額は8%以上増え、純資産総額はそれを大きく上回る20%ほどの増加だった。米国株式市場は引き続き好調であり、基準価額の上昇などの要因から買いが継続して、純資産増加額を押し上げた結果となった。

2位,<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド……先進国株式へ投資するファンド

<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドは、主要先進国(日本を除く)の株式に投資するファンドであり、国別ではアメリカの株式が約7割を占めている。ベンチマークとする指数は、MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)である。

2021年3月は、ドイツやフランスの株価指数も上昇した。1ヵ月でファンドの基準価額は8%近く上昇し、純資産総額は9%ほど増加した。

純資産増加額3位のeMAXIS Slim 先進国株式インデックスもMSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)をベンチマークとしており、信託報酬が同程度のファンドである。

7位,eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)……先進国および新興国の株式へ投資

eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)は、世界の先進国(日本を除く)と新興国の株式に投資できるファンドだ。世界のさまざまな国の株式に1つのファンドで分散投資ができる。

投資先は先進国がメインで、全体の8割を超える。このファンドも、先進国株式のファンドと同様に3月の基準価額はプラスだった。

1ヵ月でファンドの基準価額は7%ほど上昇し、純資産総額は15%ほど増加した。

8位,eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)……バランス型ではトップレベルの人気ファンド

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は、8資産に投資できるバランス型のファンドだ。資産は株式・債券・リートで構成され、株式と債券の対象は国内・先進国・新興国、リートの対象は国内・先進国である。

1ヵ月でファンドの基準価額は3.6%ほど上昇し、純資産総額の増加率は7.7%ほどであった。このファンドは純資産増加額総額ランキングTOP10の常連であり、バランスファンドとしてトップレベルの人気を誇る。

10位,eMAXIS Slim新興国株式インデックス……新興国株式に投資できるファンド

eMAXIS Slim新興国株式インデックスは、新興国の株式を投資対象とするインデックスファンドだ。構成資産の上位国は中国、台湾、韓国などで、構成比率上位銘柄はテクノロジー企業が多い。

1ヵ月でファンドの基準価額は2.7%ほど上昇し、純資産総額は7.6%ほど増加した。コロナ禍では、新興国株式も先進国株式と同様に値動きが好調である。

7.iDeCo(イデコ)の商品を選ぶ3つのポイント

人気の投資信託ランキングTOP10を紹介したようにiDeCoの商品にはさまざまなものがある。

多くの金融機関では10本から30本程度のiDeCo対象商品をラインアップしている。その中から商品を選ぶポイントは3つある。

iDeCo(イデコ)商品選びのポイント1……インデックス型の投資信託なら低コストであるものを

iDeCoの対象商品のほとんどは投資信託だ。投資信託のコストには信託報酬の他に購入時手数料や解約時手数料(信託財産留保額)がある。購入時や解約時の手数料は無料のほうが良い。

インデックス型投資信託を選ぶ場合の信託報酬は、債券や株式なら0.2%程度以下、REITなら0.3%程度以下を目安にしたい。

アクティブ型の投資信託は信託報酬が高い傾向にある。高い信託報酬に見合う運用成績を長期で継続している銘柄なら、低コストでなくとも選んでも良いだろう。

iDeCo(イデコ)商品選びのポイント2……純資産総額が大きく増加傾向なこと

純資産総額は投資信託の規模を表す。安定した運用のためには、ある程度以上の資産があることが望ましい。できれば純資産総額が30億円以上の銘柄を選びたい。

iDeCoのような長期投資では純資産総額が増加傾向であることも条件に加えたい。純資産総額が増加傾向であるいうことは、投資家の買いが継続しており、将来性に期待される銘柄といえるためだ。

iDeCo(イデコ)商品選びのポイント3……運用成績が良いこと

投資信託の運用成績は投資対象のインデックス(株式では日経平均株価やダウ平均株価など)と比較されることが多い。運用成績がインデックスに対し悪くないことを確認したい。

アクティブ型はファンドマネージャーにより運用成績が大きく変わることがある。アクティブ型も通常はインデックスとの比較を月次レポートなどに掲載する。こちらも運用成績を必ず確認したい。

8.iDeCo(イデコ)の資産クラスごとのおすすめ商品7選

ここからは、iDeCoで買えるおすすめの投資信託を紹介しよう。低コストのインデックス型投資信託から資産クラスごとに選んだ(※データはすべて2021年4月1日時点)。

ここで紹介する商品は、前述の「おすすめ金融機関ランキング」の5社で購入できるものだ。

バランスファンド……eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)

購入できるネット証券……SBI証券(セレクトプラン)、松井証券、マネックス証券
信託報酬(税込)……0.154%以内

eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は、前述の純資産増加額ランキング8位のバランスファンドだ。8つもの資産を組み入れているが低い信託報酬を実現しており、積立などで人気がある。

2021年3月、ファンドの基準価額は3.6%ほど上昇した。資産別の値動きは8資産のうち6資産が上昇傾向であり、国内・先進国・新興国の株式、先進国債券、国内・先進国のリートが上昇し、国内・新興国の債券はほぼ横ばいだった。

国内・先進国・新興国の株式の値動きは3月も好調であり、国内・先進国のリートも2021年に入ってから上昇が続き、バランスファンド全体としても上昇が続いている。

国内株式……One DC 国内株式インデックスファンド

購入できるネット証券……松井証券、マネックス証券
信託報酬(税込)……0.154%

One DC 国内株式インデックスファンドは、国内株式を投資対象にし、TOPIX(東証株価指数)をベンチマークとして運用されるファンドだ。TOPIXは東証1部上場の全銘柄で構成されるため、東証1部全体への投資と同様の効果を期待できる。

2021年3月のTOPIXは、上旬から中旬にかけて上昇したものの下旬はもみ合い、月間では上昇した。3月のファンドの基準価額は3.7%ほど上昇し、純資産総額は500億円を超えて右肩上がりで増加している。

同等の商品には、SBI証券(セレクトプラン)の「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」、岡三オンライン証券の「DCニッセイ国内株式インデックス」がある。信託報酬が若干高めだが、楽天証券の「三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド」も同様の商品だ。

国内債券……三菱UFJ 国内債券インデックスファンド(確定拠出年金)

購入できるネット証券……SBI証券(オリジナルプラン)、松井証券、マネックス証券
信託報酬(税込)……0.132%

三菱UFJ 国内債券インデックスファンド(確定拠出年金)は、国内の公社債への投資効果を期待できるインデックスファンドだ。日本の代表的な債券指数であるNOMURA-BPI総合に連動する投資成果を目指している。

ファンドの基準価額は2021年1月から2月にかけて下落したものの、3月は回復して0.3%ほど上昇した。純資産総額は徐々に増加しており、現在は約445億円である。

同等の商品には、SBI証券(セレクトプラン)、松井証券の「eMAXIS Slim 国内債券インデックス」、岡三オンライン証券の「DCニッセイ国内債券インデックス」がある。信託報酬が若干高めだが、楽天証券の「たわらノーロード国内債券」も同様の商品だ。

国内REIT……たわらノーロード 国内リート

購入できるネット証券……松井証券
信託報酬(税込)……0.275%以内

たわらノーロード 国内リートは、国内REIT(不動産投資信託)を投資対象にするインデックスファンドだ。ベンチマークは東証REIT指数(配当込み)であり、REITを通してオフィスビル、住宅、商業施設などの不動産に投資することになる。

2020年のコロナショック後は冴えない値動きが続いていたものの、12月から3月まで上昇が続いている。3月のファンドの基準価額は3.5%ほど上昇した。

3月の純資産総額は1.2%ほどの増加に留まった。純資産総額の増加率が低かったため、3月は売りが増えた、あるいは買いが控えられたようだ。

同等の商品には、SBI証券(セレクトプラン)の「<購入・換金手数料なし>ニッセイJリートインデックスファンド」、SBI証券(オリジナルプラン)とマネックス証券の「DCニッセイJ-REITインデックスファンドA」、楽天証券の「三井住友・DC日本リートインデックスファンド」がある。

海外株式……eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

購入できるネット証券……SBI証券(セレクトプラン)、松井証券、マネックス証券
信託報酬(税込)……0.0968%以内

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、純資産増加額ランキングで連続1位のファンドだ。さまざまな証券会社における販売や積立ランキングで上位の人気ファンドである。

ベンチマークは米国のS&P500指数であり、米国の主要500社あまりの株式への投資と同様の効果を期待できる。

ファンドの基準価額は2020年11月から2021年3月まで5ヵ月連続で上昇した。運用開始から3年弱と若いファンドだが、純資産総額は3,500億円を超えるまで増加している。

海外株式に投資するファンドは、SBI証券(セレクトプラン)、マネックス証券、松井証券の「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」、楽天証券の「たわらノーロード 先進国株式」がある。これらは、米国株式に加えて他の先進国(日本を除く)株式も構成資産に含む。

海外債券……eMAXIS Slim 先進国債券インデックス

購入できるネット証券……SBI証券(セレクトプラン)、松井証券、マネックス証券
信託報酬(税込)……0.154%以内

eMAXIS Slim 先進国債券インデックスは、先進国(日本を除く)の債券市場の値動きに連動する投資成果を目指すファンドだ。ベンチマーク指数はFTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)である。

基準価額は2020年8月以降ほぼ横ばいが続いていたが、2021年3月の基準価額は2%ほど上昇。3月の純資産総額は11%も増加したことから、買いが上回ったことがわかる。

同等の商品には、SBI証券(オリジナルプラン)の「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」がある。信託報酬が若干高めだが、楽天証券の「たわらノーロード 先進国債券」も同類の商品だ。

海外REIT……三井住友・DC外国リートインデックスファンド

購入できるネット証券……SBI証券(セレクトプラン・オリジナルプラン)、楽天証券、マネックス証券、岡三オンライン証券
信託報酬(税込)……0.297%以内

三井住友・DC外国リートインデックスファンドは、世界各国(日本を除く)に上場するREITへ投資するファンドだ。S&P先進国REIT指数(除く日本、配当込み、円換算ベース)をベンチマークとし、その動きに連動する投資成果を目指す。

基準価額は1月から上昇が続いており、3月も8%ほど上昇。純資産総額は10%あまり増加した。ファンドの基準価額は、コロナショック前の水準に近づいている。

同等の商品に、松井証券の「たわらノーロード 先進国リート」がある。

9.iDeCo(イデコ)の商品選びの注意点

iDeCoを始めるときなどは、アクティブ型とインデックス型の商品選びに悩むことがあるだろう。また元本保証の商品は必ずしも損をしないというわけではない。iDeCo(イデコ)の商品選びの注意点は以下の2つだ。

元本保証の商品でも元本割れすることがある

iDeCoの元本保証の商品は得られる金利が低いため、運用による金額増加はほとんど期待できないが、iDeCoの掛金を拠出していれば、所得控除による税負担軽減により資産総額の増加は期待できる。

ところが掛金の拠出をやめた場合には税軽減がなくなり、iDeCoの手数料が引かれ続ける。特にメガバンクやゆうちょ銀行などは、掛金の拠出なしでも年間の手数料が4,000円から5,000円程度になることがある。手数料により、元本保証の商品が元本割れする可能性があるのだ。

iDeCoの掛金の拠出をやめる場合には、元本保証の商品のスイッチング(別の商品への預け替え)を検討し、手数料を上回るリターンを狙いたい。

初心者はアクティブ型の投資信託をなるべく避ける

インデックス型とアクティブ型の投資信託の選択では、インデックス(指標)を超えるパフォーマンスを目指すアクティブ型が魅力的に思えるかもしれない。

しかし大半のアクティブ型の実際のパフォーマンスはインデックス型より劣ると分析されている。アクティブ型は個々の商品によりパフォーマンスが大きく異なることがあり、成績を見極めるのは簡単ではない。初心者ならなおさらだ。

アクティブ型とインデックス型で迷ったら、失敗が少ないインデックス型を選択すると良い。

10.iDeCo(イデコ)を40代から始める場合のポートフォリオ

iDeCoでは自分の運用方針を決めて、金融機関が取り扱うラインアップの中から運用商品を選ぶことになる。40代でiDeCoを始める場合、どのような点に気を付けてポートフォリオを組むべきだろうか。

ポートフォリオとは、運用商品の組み合わせのことだ。ポートフォリオを組むとは、具体的にどの投資信託をどういった組み合わせで購入するか検討することを指す。

それに対しておおまかな資産配分のことをアセットアロケーションという。自分がいつまでにいくら必要なのかという運用目的と、運用期間の長さに合ったアセットアロケーションを考えて、適した運用商品を選ぶ。そうしてできあがった組み合わせがポートフォリオだ。アセットアロケーションを考えてポートフォリオを組むことで、リスクをコントロールしリターンを目標に近づける。

自分でポートフォリオを組むのが難しい人はバランスファンドを検討

投資初心者にとっては自分でアセットアロケーションを考えたり、数多くの投資信託の中からどの商品を選べば自分の投資目標に有効なのかを判断したりすることは難しい。そんな人には「バランス型ファンド」が良いだろう。

「バランス型ファンド」とは、複数の資産を組み合わせて運用してくれる投資信託のことだ。その中に値下がりした資産があっても、他の資産が値下がりしなければ資産全体が大きく目減りする可能性は低くなる。

資産配分の再調整もお任せにできる。資産配分の構成比が変わったときは値上がりした資産を売り、値下がりした資産を買う「リバランス(再調整)」を行ってくれる。

信託報酬はインデックスファンドに比べて少し割高になるが、ファンドによっては安い手数料で運用できるものもある。信託報酬を複数のファンドで比較したうえで目論見書などをしっかり確認して、自分の運用目的に合っているものを購入しよう。

11.iDeCo(イデコ)を始めるなら遅くとも40代までがいい 積立額と節税額をシミュレーション

子育て中は何かとお金がかかるため、「iDeCoは50代になって子どもが社会人になってから」と考える人もいるだろう。しかしiDeCoの掛金は拠出限度額が定められているうえに、60歳から受け取るためには10年以上の通算加入期間が必要になる。

掛金の拠出が難しい時期に差しかかった場合は掛金の減額や、停止して運用指図者になることもできるので、なんとか40代のうちに始めて節税メリットを享受したい。

確定給付年金に加入しているサラリーマンの場合について、40代と50代それぞれでiDeCoを始めた場合の積立額、運用利回り3%の場合の受取利息額、節税額を比較してみよう。年収は800万円で、拠出限度額は月1万2,000円とする。

45歳から始めると…
・積立額総額……1万2,000円×12ヵ月×(60歳-45歳)=216万円
・運用利回り3%の場合の受取利息……56万3,672円
・運用益の節税額…… 11万2,734円
・節税額……64万8,000円
・受け取り開始……60歳

55歳から始めると…
・積立額総額……1万2,000円×12ヵ月×(60歳-55歳)=72万円
・運用利回り3%の場合の受取利息……5万5,761円
・運用益の節税額……1万1,152円
・節税額……21万6,000円
・受け取り開始……63歳

※楽天証券の確定拠出年金(iDeCo)でシミュレーション

45歳からiDeCoを始めた場合、15年間で貯めることができるお金は、267万8,256円、節税効果は75万1,651円になる。

一方、55歳から始めた場合は5年間で76万4,496円、節税効果は22万4,899円にしかならないうえ、受け取り開始時期は63歳からとなる。潤沢な老後資金を別に用意しておかない限り、これでは心もとないだろう。

iDeCoを最大限に生かすなら、できれば上限額で取り組みたいところ。積み立てを新たに始めるためには、固定費の見直しや生活費の節約など家計の見直しが必要になる。毎月の他の貯蓄をiDeCoにまわすのではなく、家計の見直しを行うことで新たに捻出した資金を掛金に充てて将来に備えよう。

12.iDeCoに関する頻出Q&A3選

iDeCoなどの年金制度にいざ加入しようと思っても、不明点が多ければ加入を先送りにしてしまうことがある。iDeCoの理解を深めるために、よくある質問とその回答を紹介しよう。

iDeCo(イデコ)の掛金は毎月?年1回?

iDeCoの掛金は毎月一定額を拠出するのが基本だが、2018年1月からは掛金の拠出を1年の単位で考え、加入者が決めた任意の月(年1回以上)にまとめて拠出することもできるようになった。

iDeCoの拠出限度額が毎月2.3万円の会社員の場合を考えてみよう。年間の拠出限度額は27.6万円だ。

拠出区分を12月~5月、6月~11月、掛金の引き落とし月を6月と12月の年2回にすると、それぞれの拠出区分の限度額は13.8万円になる。たとえば、12月~5月分として10万円拠出すると拠出区分の限度額より少ないことになるが、差額の3.8万円は繰り越して6月~11月分の拠出限度額13.8万円に上乗せできる。

2018年5月、従業員が100人以下で企業年金を実施していない企業の従業員を対象とした、「イデコプラス・中小事業主掛金納付制度」が新設された。この制度では、加入者が拠出を予定している掛金と、企業が上乗せで拠出を予定している事業主掛金の拠出上限額の合計が2万3,000円になる。

iDeCo(イデコ)の個人型と企業型は併用できる?

併用できる場合がある。iDeCoには個人型と企業型がある。会社が企業型を導入している場合でも、企業型年金規約で同時加入を認めている場合は個人型と併用できる。

現在の仕組みでは、会社が拠出する掛金には拠出限度額が定められており、個人型と併用する場合、企業型の掛金は減額されることになっている。しかし、従業員が受け取る年金が減る可能性があるため、企業型の掛金の上限額を下げずに個人型と併用できるよう基準緩和が検討されている。

老後を見据えた資産形成に関心のある40代には朗報といえるだろう。

iDeCoやその他年金の拠出限度額は?

加入資格ごとに上限があるので、以下の表を参考にしてほしい。

加入資格と拠出限度額
  自営業者・
学生等
(第1号
被保険者)
専業主婦等
(第3号
被保険者)
会社員等(第2号被保険者) 公務員等
共済加入者
(第2号
被保険者)
拠出限度額 月額:
6.8万円
年額:
81.6万円

国民年金
基金
または
国民年金
付加保険料の合算
月額:
2.3万円
年額:
27.6万円
月額:
2.3万円
年額:
27.6万円
月額:
2万円
年額:
24万円
月額:
1.2万円
年額:
14.4万円
月額:
1.2万円
年額:
14.4万円
月額:
1.2万円
企業型
確定拠出年金
- - 月額:
3.5万円
年額:
42.0万円
月額:
1.55万円
年額:
18.6万円
-
確定給付型
年金
- - 拠出限度額
なし
拠出限度額
なし
年金払い
退職給付等
国民年金
基金
iDeCoと
併用可
厚生年金
保険
国民年金

iDeCo(イデコ)に加入できない人はどんな人?

・iDeCoへ加入できないのは次の人だ。
・20歳未満の人(厚生年金被保険者は20歳未満もiDeCo加入可)
・60歳を超える人
・自営業などの第1号被保険者で国民年金保険料を納めていない人(国民年金保険料を免除される人を含む)
・企業型確定拠出年金の加入対象者でiDeCoへの加入が認められていない人

iDeCo(イデコ)は途中で解約できる?

原則としてiDeCoは途中での解約はできない。ただし、東日本大震災の被災者などの特殊な条件に該当する場合には途中で解約して、積み立てた資金を引き出しできる。

iDeCo(イデコ)の金融機関を変更する場合、積み立てた資産はどうなる?

iDeCoの金融機関を変更する場合には、制度上、積み立てた資産(金融商品)はすべて解約により現金化され、変更後の金融機関には現金が移換される。変更後の金融機関では、移換された現金をどの商品に配分するかを指定する必要がある。

iDeCo(イデコ)の掛金の停止や再開はいつでもできる?手数料はかかる?

iDeCoの掛金の停止や再開の手続きはいつでも可能だ。ただし手続きは、コールセンターに連絡するなどして書類の取り寄せと提出が必要なため通常1~2ヵ月の期間が必要である。

iDeCoでは掛金を停止している間も運用を継続するために口座管理料などがかかる。ただし掛金を停止している間は、口座管理料のうち国民年金基 金連合会への支払分が不要となる分、手数料は安くなる。

iDeCo(イデコ)の資産は60歳になったら自動的に受け取れるようになる?

60歳の時点で、加入していた期間が10年以上あれば受け取る権利を得るが、資産を受け取るには70歳までの間に申請手続きが必要だ。申請手続きを忘れないようにしたい。

iDeCo(イデコ)の受給を60歳よりも遅らせることができる?

60歳以降に受け取る権利を得たら70歳までの間に受け取りを開始できる。受け取りたいタイミングで必要書類を取り寄せて、申請手続きを行えばよい。

転職先に企業年金制度がある場合、これまで運用していたiDeCo(イデコ)はどうなる?

転職先に企業型確定拠出年金があり、iDeCoの同時加入が認められている場合には、iDeCoの積み立てを継続できる。iDeCoを継続する場合は、国民年金の被保険者種別または登録事業所の変更手続きが必要だ。

企業型確定拠出年金とiDeCoの同時加入が認められていない場合には、転職先の企業型確定拠出年金へ移換する。移換する場合はiDeCo加入者資格喪失の手続きが必要だ。

転職先に確定給付企業年金がある場合には、iDeCoの資産を確定給付企業年金へ移換することが可能なケースがある。移換の可否は転職先企業に確認したい。

万が一、死亡してしまったらiDeCo(イデコ)の資産はどうなる?

資産は遺族が一時金として受け取り可能だ。死亡の場合には年金としての受け取りはできない。死亡一時金はみなし相続財産として相続税の課税対象になることに気を付けたい。

13.家計を見直して今すぐiDeCo(イデコ)を始めよう

40代は住宅購入資金や教育費が重くのしかかってくる世代でもあるので、iDeCoへ加入する前にまず自分の生活設計に合っているかを十分検討しよう。教育費などが増加したことで毎月の生活費が増えて拠出が困難になった場合は、掛金額の変更・停止・再開もできる。その後、生活にゆとりが生まれたら、再び掛金を増やすことも可能だ。iDeCoの掛金が決まったら、すぐ申し込み手続きに取り掛かろう。何もしないまま20年後を迎えても、時すでに遅しだ。

執筆・松本雄一
外資系コンピューター会社にてカスタマーサポート・開発・セキュリティ対策などを経験後に独立。自らの投資経験をもとに株式や投資信託などの投資情報を発信している。興味のある分野はフィンテックや新しい金融商品など。

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