ネット証券ではパソコンだけでなくスマホでも取引ができ、スマホ専用のアプリを用意しているところもある。ちょっとした隙間時間や外出先でもすぐ見られるスマホでの取引は便利だが、ネット証券の初心者が注意すべきことがある。

スマホだけで株取引するのにおすすめのネット証券は?

スマホ,株取引,ネット証券
(画像=Pinkyone/Shutterstock.com)

今では基本的にどのネット証券でもスマホでの取引に対応している。だが中には、スマホアプリでは機能や操作性の面で難がある証券会社もある。

そこでここでは、スマホアプリの使い勝手が高く、少額からの投資にも向いているネット証券3社を紹介しよう。

スマホ取引向き証券会社
証券会社 手数料 特徴
PayPay証券 0円
(※)
1000円から
株が買える!
投資先が豊富
LINE証券 0円
(※)
LINEアプリで
株が買える!
株のバーゲンも
SBIネオモバイル証券 0円 Tポイントでも
投資できる
※買いと売りの値が違うスプレッド制

PayPay証券

は、ヤフーグループのスマホ証券だ。

銘柄と購入金額を決めて「買う」をタップするだけで株が買えるというシンプルな操作で投資ができるため、投資初心者でもわかりやすい。

また、国内株式だけでなくアメリカの株の投資にも対応している他、つみたて投資にも対応しているなど商品の幅広さもの魅力だ。

では10月28日より、米国株を3万円以上買うことで最大10,000円キャッシュバックされるキャンペーンを開催する。

LINE証券

LINE証券は、LINEアプリで投資ができるスマホ専用証券会社だ。

使い慣れたLINEアプリの操作感で株の売買ができるので、投資初心者向きと言えるだろう。

またLINE証券の「いちかぶ」では、通常なら100株単位でしか売買できない株を1株から売買できるので、少額から投資を始めたい人におすすめのスマホ証券会社と言える。

LINE証券では現在、新規口座開設で3株分の購入代金をもらえるキャンペーンや手数料無料キャンペーンなど魅力的なキャンペーンを多数開催中だ。

SBIネオモバイル証券

SBIネオモバイル証券の1番の特徴は、月に50万円までなら手数料無料で取引できる点だ。月額手数料は200円 (税別) かかるが、その分投資にも使えるTポイントが200ポイントもらえるので、少額投資なら実質無料で取引し放題なのが嬉しい。

LINE証券と同じく1株単位での取引にも対応しているので、スマホで手数料を抑えながら少額投資したいならSBIネオモバイル証券も検討してみるといいだろう。

スマホで株取引する際の3つの注意点 機能制限、パソコン連携など

各社のアプリを確認したが、次からは実際にスマホで株取引する前に気をつけておきたいことを紹介していこう。

注意点1,スマホアプリは機能制限があり誤操作も

株取引アプリはその場で銘柄ごとの株価やチャート、マーケットなどの最新情報や各種投資情報を確認して、スピーディに注文できるように設計されている。忙しい人が望む「簡単・スピーディ」な情報収集と株取引を実現できるのもスマホアプリの魅力だ。

その一方で、持ち運びやすく画面の小さなスマホならではの弊害もある。アプリはパソコン用の高機能取引ツールに比べると、一部機能や情報が限定されている事実は否めない。また画面が小さいため、慌てて操作すると誤発注してしまう可能性も高い。

注意点2,ウイルスや個人情報漏洩などには要注意

最初にウイルス対策ソフトのインストールしっかりしてほしい。次に端末にインストールされているアプリを見直して、情報元が信頼できるものだけを残すよう配慮したい。

通信が暗号化されておらず個人情報漏洩や傍受の恐れがある、駅や空港、カフェなどのフリーWi-Fiスポットでは、極力スマホによる株取引を控えることも重要だ。

もっとも基本的なことではあるが、画面ロックはもちろんのこと、スマホを忘れたり紛失しないよう常に肌身離さず目を離さないよう徹底したい。

注意点3,詳しい情報分析はパソコンでスマホとの連携も考えたい

スマホでの取引では投資判断を下すための情報が不足している場合がある。理想を言えばパソコン用の高機能取引ツールやさまざまな投資情報ツールとの連携によって株取引するといいだろう。

休日や夜間など自宅のパソコンに向き合える時間があれば、銘柄分析ツールを使って取引したい銘柄を絞り込む、投資情報ツールで興味のある企業の業績を分析する、またはチャート分析ツールで株価チャートのテクニカル分析をするなど、事前の投資情報分析をしておくといいだろう。

実際の取引ではスマホの株取引アプリで株価の最新情報をチェックして、その場で最終的な投資判断を下して取引すれば、誤った投資判断をするリスクが減り、慌てて誤発注するような事態も避けられる。

スマホで株取引する2つのメリット

注意点を確認し、実際にアプリを使って株取引をするようになると、以下のようなメリットを感じることができるだろう。

メリット1,いつでもどこでも株取引ができる

言うまでもなく、スマートフォンはパソコンと比べて携帯性に優れている。そのため、スマートフォンに株取引アプリを入れておけば、通勤の途中に銘柄選びをしたり、昼休みに注文を出したりすることもできる。

平日の立会時間中にパソコンに向かうことができないビジネスパーソンでも、スマートフォンがあれば、株式相場の状況に応じて株式を売買できるのだ。

メリット2,高い操作性とスピーディな注文

スマートフォンを使った株取引に求められるのは、「使いやすさ」と「スピード」だ。

多くのスマートフォン専用株取引アプリは、パソコン用トレーディングツールと同等の機能性を確保しながら、パソコン用トレーディングツールより直感的かつスピーディーに操作できるように設計されている。

・新規銘柄をリストに1タップで追加する
・画面構成を自由自在に変更できる
・銘柄リストや板情報からフリック操作・数回のタップでできるスピーディーな発注
・次の注文に素早くつなげるための決算発表や権利付最終日などの重要イベントPush通知機能
・株価のリアルタイム更新

など、シンプルで直感的な操作ができることが特徴だ。スピード感のあるスマートフォン株取引に、大いに役に立つだろう。

スマートフォンは、日頃限られた時間の中で株取引するビジネスパーソンにとって不可欠な「使いやすさ」と「スピード」を兼ね備えた取引チャネルなのだ。

スマホ株取引は誤操作やセキュリティに注意してパソコンとの連携も

スマホを使った株取引はどこでもいつでも簡単にできることから、多忙なビジネスパーソンが投資を始めるには強力なツールになる。

その反面、個人情報漏洩のリスクと常に隣り合わせであるためセキュリティ対策はしっかりしたい。またスマホでは不十分な投資情報収集や情報分析については、パソコン用の各種ツールを活用することが望ましい。

ネット証券各社のスマホアプリ

主要ネット証券各社について、スマホアプリと特徴、対応OSについてまとめた。基本的にはどのネット証券も、iOS、Android共に対応しているが、念の為確認しておくといいだろう。

株取引できる主なネット証券のスマホアプリ一覧

ネット
証券会社
スマホの
株取引
アプリ名
特徴 対応端末
And
roid
iPhone
SBI証券 SBI証券
株アプリ
情報収集・
分析から
注文発注まで
楽天証券 iSPEED 日経テレコンの
閲覧可能
Apple Watch
でも使用可
松井証券 株touch 株価ボードは
最短0秒の
自動更新
マネックス
証券
マネックス
証券 アプリ
見やすい
画面デザインと
アプリならではの
便利な機能
マネックス
トレーダー
株式スマート
フォン
豊富な情報量
高機能
取引アプリ
au カブ
コム証券
kabu
ステーション
PC版より便利で
スピーディ
DMM証券 スマホアプリ
DMM株
「かんたん
 モード」と
「ノーマル
 モード」で
使い分け可能
GMO
クリック証券
iClick株 iPhoneの
使いやすさを
生かしたUI
×
株roid Androidの
操作性を
生かした
メニュー構成
×
ライブスター
証券
(新:SBIネオトレード証券)
Livestar
S2
豊富な
注文手法の
高機能アプリ
岡三
オンライン
証券
岡三ネット
トレーダー
WEB2
(アプリ)
充実した機能
でありながら
シンプル、簡単
使いやすい
SBI
ネオモバイル
証券
ネオモバ
株アプリ
「ひとかぶIPO」
サービスを
利用できる
※ネット証券各社のホームページを参照して作成

ネット証券のスマホ取引Q&A10!

Q1,スマホだけで株取引可能なのか?

A1,どのネット証券でも、国内株式の現物株式と信用取引をするだけなら、パソコンがなくても問題ない。スマホアプリでは株取引ができるだけでなく、株価や板情報、チャート、テクニカル指標、市況、ランキング情報など、さまざまな情報がリアルタイムで更新される。また、企業の業績や四季報などの情報も閲覧可能だ。

しかし一部ネット証券あるいは一部のスマホ専用アプリには、入出金機能がない(auカブコム「kabuステーション」、岡三オンライン証券「岡三株スマホ」)ものもある。この場合、PCが必要となる。口座を開設する前に、事前に必ず確認しておきたい。

Q2,PCはあった方がいいのか?

A2,ほとんどのネット証券のスマホ専用株取引アプリでは、取引に最低限必要な投資情報を提供してくれる。成行や指値以外の注文方法(逆指値など)にも対応可能で、多くのネット証券のスマホでは板発注も可能。PCがなくても、通常の株式売買に不便を感じることは少ないだろう。

しかし中上級者もしくはデイトレーダーになると、銘柄ごとに詳細なファンダメンタル分析を行う、あるいはさまざまなチャート分析機能を駆使してより詳しいテクニカル分析を行うことが多くなる。こうした場合は、スマホアプリより、投資情報の充実したPC用トレーディングツールを使ったほうが、断然有利だ。

Q3,スマホで特に取引しやすい証券会社はどこ?

A3,どのネット証券のスマホアプリも、情報量や注文方法、機能性、操作性が向上しており、主要ネット証券であれば、大きな違いはないと言ってよい。

株取引初心者にとって使いやすい、あるいはわかりやすいスマホアプリという観点から見ると、DMM.com証券 株の「スマホアプリDMM株」がおすすめ。レイアウトがシンプルで画面が見やすいだけでなく、かんたんモードとノーマルモードを切り替えながら使用できる。

Q4,スマホとPCでは、安全性が高いのはPCなのか?

A4,スマホとPC、どちらのサイトやアプリも、セキュリティ重視で堅牢に構築されている。それ以上に気を付けたいのは利用方法や管理方法。

定期的にパスワードを更新する、スマホを外出先で置き忘れたり落としたりしない、セキュリティソフトをインストールしてコンピュータウイルスに侵入されないようにするなど、自衛に細心の注意を払うようにしたい。

Q5,スマホを紛失した場合はどうなるのか?

A5,落としたスマホを悪意の第三者が拾ってネット証券サイトにログインしたとしても、規定回数を超えて暗証番号を入力すると、自動的にロックがかかってログインできなくなる。

スマホでログインする際に自動ログイン(パスワードをスマホに記憶させる)できないように設定し、ログインの都度、パスワードを入力するようにしておけば、必要以上に心配することがなくなるだろう。

万が一スマホを紛失してしまい、不正ログインの不安がある場合には、至急ネット証券のカスタマーセンターに電話をして、不正ログイン抑止の対処をしてもらうようにしよう。

Q6,証券会社のスマホアプリは利用料がかかるのか?

A6,どのネット証券のスマホアプリも利用料は無料。スマホアプリとPC用トレーディングツールの同期機能を利用する際に、PC用トレーディングツールの使用料金が発生する場合がある(auカブコム証券)。

Q7,スマホでの通知機能などが充実しているネット証券どこ?

A7,企業情報などをタイムリーに通知する機能が搭載されているのは、SBI証券「株アプリ」、楽天証券「iSPEED」、GMOクリック証券「株roid(Androi用)」「iClick株(iPhone用)」、岡三オンライン証券「岡三株スマホ」。

株アプリの「Push通知機能」では、決算発表や権利付売買最終日などの重要イベント時にアラート通知を受信。株主優待や配当の権利を狙っている人には便利な機能だ。

iSPEEDの「株アラート機能」は、注目企業の株価が設定した株価に到達した時、あるいは注目企業に関するニュースが発表された時などに、プッシュ通知が受信できる。通知が欲しい株価アラートとニュースアラートで、合計最大3,000件まで登録可能。

株roidとiClick株では、注目銘柄リスト「ウォッチリスト」の登録企業に関するニュースと適時開示情報が発表されると、企業名欄にアイコンが表示される。発表から24時間以内は「赤アイコン」で、1週間以内は「青アイコン」で表示されるので、売買タイミングを見極めたいときは、ウォッチリストの銘柄に赤または青アイコンが表示されていないかをチェックしよう。

岡三株スマホでは、注目企業の株価が指定の株価になったら、メールによるお知らせを受信する。

なお約定通知は、SBI証券「株アプリ」、松井証券「株touch」、楽天証券「iSPEED」、マネックス証券「マネックストレーダー株式スマートフォン」で確認可能。

Q8,AndroidとiPhoneどちらがスマホでの株取引に適しているのか?

Q8,株取引専用スマホアプリについては、すべてのネット証券が、Android版とiPhone版の専用アプリ(GMOクリック証券)、あるいは同一のアプリのAndroid版とiPhone版(GMOクリック証券以外)のいずれかを提供している。そのため、ご使用中のスマホOSの種類を気にする必要はないだろう。

Q9,タブレットでもスマホと同様に取引できるのか?便利さはどちらが上?

A9,どのネット証券でも、タブレットよりスマホのほうが断然使い勝手が良くおすすめ。

各社とも、スマホ専用の株取引アプリが提供されているため、操作性や画面がスマホ向けに最適化されている。パソコン用のトレーディングツールより若干機能を抑えることで簡便性をアップ、スピーディな発注にも対応。

iPad専用の株取引ツールを用意しているのは、楽天証券「iSPEED for iPad」とマネックス証券「マネックストレーダー株式タブレット」の2社、ブラウザ版でのタブレット対応を提案しているのは岡三オンライン証券「岡三ネットトレーダーWEB2」。

スマホに最適化されたアプリが多いため、タブレットだと表示が崩れることがあるなど、使い勝手が悪いと感じることもでてきてしまうだろう。

Q10,現物株、投資信託、外国株、NISA、つみたてNISAなどスマホでできない種類の株取引は?

どのネット証券のスマホアプリも、株取引専用のアプリは基本的に国内株式取引(現物、信用)のためのアプリだと考えたほうがよい。

たとえば投資信託はどのネット証券でもアプリで取引することはできない。また、先物・オプション、米国株式、FXなどは、国内現物株とは別に各商品専用のスマホアプリを提供しているネット証券が大半です。

株専用スマホアプリで取引できる商品は、各社のアプリで違いがある。以下で、対応商品を比較してもらいたい。

株取引専用スマホアプリ 対応商品比較表

証券会社名 アプリ名 対応商品
SBI証券 株アプリ 国内株式現物取引
国内株式信用取引
楽天証券 iSPEED 国内株式現物取引
国内株式信用取引
米国株式
松井証券 株touch 国内株式現物取引
国内株式信用取引
先物・オプション取引
マネックス証券 マネックス
トレーダー株式
スマートフォン
国内株式現物取引
国内株式信用取引
auカブコム証券 kabuステーション 国内株式現物取引
国内株式信用取引
先物・オプション取引
DMM.com証券 株 スマホアプリ
DMM株
国内株式現物取引
国内株式信用取引
米国株式
GMOクリック証券 株roid
iClick株
国内株式現物取引
国内株式信用取引
ライブスター証券(新:SBIネオトレード証券) トレードツール
livestarS2
国内株式現物取引
国内株式信用取引
先物・オプション取引
NISA取引
岡三オンライン証券 岡三株スマホ
岡三ネット
トレーダースマホ
国内株式現物取引
国内株式信用取引
SBIネオモバイル証券 ネオモバ株アプリ 国内株式現物取引
国内株式単元未満株取引
ひとかぶIPO

著者・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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