「MT4(MetaTrader 4/メタトレーダー4)」は、世界中のFXトレーダーからの人気を誇る取引ツールだ。今回は、MT4の高性能な機能や自動売買システムについて詳しく紹介。MT4を使いこなして、より効率的なトレードで高い利益を目指そう。
1,FX専用ツール「MT4」とは何か?
MT4は、ロシアのMetaQuotes Software(メタクオーツ・ソフトウェア)社が開発し、提供している取引ツールだ。FX以外にも対応しているものの、特にFXトレーダーからの人気が高く、世界でもっともメジャーなFXツールのひとつとして知られている。
初心者をはじめ上級者まで、国内外問わずFXトレーダーから人気を博す理由は、チャート機能の豊富さとカスタマイズ性の高さにある。チャート上に多種多様なインジケーター(分析ツール)を表示できる。インジケーターは、自作ができ、さらに世界のあらゆるところで作成されたインジケーターを購入して使うこともできるのだ。MT4は無料で利用可能だが、取引をするには対応しているFX会社に口座開設をする必要がある。
2,MT4が人気の3つの理由 ツールの特徴は?
MT4は、多数のテクニカル指標が用意されたチャートや、自動売買システムなど、FXで生計を立てているプロの専業トレーダーもうならせる高性能なツールだ。そんなMT4の人気の理由を詳しく見ていこう。
特徴1,チャートツールの表示方法が豊富
MT4では、バーチャートをはじめ、ローソク足、ラインチャートなどから好きなチャートを選んで表示できる。また、チャートウィンドウを分割して複数のチャートを同時に表示することもできる。表示・水平分割・垂直分割の分割方法はもちろん、特定のウィンドウを最大化するなど、チャート表示の自由度がとにかく高いという点が魅力。
他にも、背景色やパーツなども細かく設定でき、トレーダーがそれぞれ自分にとって直感的に分かりやすくアレンジできる使い勝手のよさが人気だ。
特徴2,トレードに合ったテクニカル分析を追求
FXで継続的に利益を上げ続けるためには、テクニカル分析による独自の判断基準を持つことが大切だ。MT4のチャートには、移動平均、RSI(Relative Strength Index、相対力指数)、ボリンジャーバンドをはじめとして約50種類ものテクニカル指標が表示できる。
先に紹介したバーチャート、ローソク足、ラインチャートなどに合わせて、複数のテクニカル指標を同時表示し、売買の意思決定をすることが可能だ。
さらに、「Meta Editor」という機能を使って独自のテクニカル指標をプログラミングすることができる。作成したテクニカル指標のプログラムを販売することや、逆に他のトレーダーが作ったテクニカル指標のプログラムを購入することも可能だ。自分のトレードスタイルに合ったテクニカルを徹底的に追求することができる。
特徴3,自動売買システムでチャンスを逃さない
MT4は、システムトレード(自動売買)にも対応している。多彩なテクニカル分析を活用して、一定の条件を満たした場合に売りと買いのタイミングをプログラミングすることで自動に売買を行える。そのため、仕事をしているときも、眠っているときも、設定した売買タイミングを逃すことなくトレードできる。
また、MT4には専用のEA(自動売買プログラム)が用意されているため、プログラミングができないという人でも手軽に自動売買を利用できる。
もちろん、オリジナルEAを作って過去のチャートを使ったバックテストを行うことも可能だ。さらには、オリジナルで作成したEAを販売することも、他の人が作ったEAを購入して使用することもできる。
3,MT4に対応しているFX会社一覧
効率的なFX取引を目指すならぜひ導入したいMT4。事業者によって、利用できる会社とできない会社がある。ここでは、MT4に対応しているFX会社を10社紹介する。
楽天FX
FX専業業者や外資系業者が提供することの多いなか、大手ネット証券のひとつ、楽天証券でMT4を使うことができる。オリジナルインジケーターの提供はないものの、楽天FX口座の高機能ツールを利用でき、複数の金融商品を取り扱っているのがメリットだ。
外貨ex byGMO(チャート表示のみ)
ユーザーからの要望を受けて「MT4チャート」を取り入れた外貨ex byGMOでは、発注機能は利用できない。FXの他にバイナリーオプションサービスも提供し、多様な取引にMT4チャートを取り入れることで、取引手法の幅を広げられる。
JFX(チャート表示のみ)
JFXも外貨ex byGMO同様にチャート表示のみで発注はできない。JFXによるオリジナルインジケーターが複数用意されているのはFX初心者にとって心強い。オリジナルインジケーターは無料で使えるのでぜひ活用したいところだ。
OANDA Japan(オアンダ・ジャパン)
MT4を取り扱っているFX会社のうち、約定力の高さに定評があり注目されているのは、OANDA Japanだ。通信方式にNDD(Non Dealing Desk)方式を採用し、レートの信憑性が担保されているので、安心してトレードができる。また、取引タイプに応じて選べる3つの取引コースを用意している。
FXTF(ゴールデンウェイ・ジャパン)
FXTFでは、前身であるFXトレード・フィナンシャル時代を含め、国内において2011年から長きにわたって、MT4サービスの提供を継続している。サポート体制が充実しているので、初めてMT4を使うという方におすすめだ。なんといっても、業界最狭水準のスプレッドが魅力的である。
外為ファイネスト
外為ファイネストが提供するMT4では、1回あたりの最大発注数量が1,000万通貨に設定されている。そのため大口の取引にも活用できる点が魅力的だ。また、EA利用制限や指値制限が設けられておらず、さらにはスキャルピングも可能というメリットも兼ね備えている。
サクソバンク証券
サクソバンク証券のMT4サービスは、大口投資家におすすめだ。プロトレーダーに向けて高い約定力を叶える取引環境、EAの利用制限なし、スキャルピングOKといったさまざまなメリットが用意されている。また、ベーシックな「MT4 Direct」と、月額利用料金70万円の「MT4 Prime(DMA)」の2つのプランを用意している。
AVA TRADE(アヴァトレード)
アヴァトレードのアヴァDupliTradeでは、厳選された少数精鋭のプログラムを選んで自動売買を行うことができる。フルリニューアルして従来比で3.4倍以上の高速化を実現しており、ストレスを感じない操作が可能だ。他に、MT4を使った選択的自動売買システム「AMMA」というサービスも提供している。
EZインベスト証券
東京のデータセンターにサーバーを設置しているため、約定スピードと高水準な取引環境に定評がある。そのうえで、早い約定スピードを活用したスキャルピングができるという利点がある。
FOREX.com
世界180ヶ国において、ワールドワイドにビジネスを展開しているのがFOREX.comだ。取引している国の数や1日の取引数(12万回以上)などに裏打ちされた高水準な取引環境によって、高い約定力を実現している。発注は1回で最大500万通貨まで対応可能で、比較的低水準のスプレッドなどが人気の理由である。
また、「EAホスティング」というサービスを用意しているので、PCを電源OFFにしていてもEAを24時間稼働できる。
4,MT4を利用するための3ステップ
MT4の利用手順を3つのステップで紹介する。
ステップ1:口座開設、DLとインストール
まずは、MT4を取り扱っているFX会社での口座開設だ。上記で紹介したFX会社から自分に合ったところを選び、口座開設の申し込みをする。
口座が開設されれば無料でMT4をダウンロードでき、パソコンにインストールしてすぐに使いはじめられる。ダウンロードやインストールの手順は、どのFX会社でもほとんど同じだ。FX会社のホームページなどでマニュアルが公開されている。
ステップ2:IDとパスワードの発行
MT4のインストール後は、口座開設したFX会社から発行されたIDとパスワードを入力すればログインすることができる。申し込み自体はすぐに完了しても、IDやパスワードが発行されるまでに少し時間がかかる場合もあるので注意が必要だ。
ステップ3:スマホ環境を整える
スマートフォンでトレードしたい場合は、ストア(Google Play、App Store)で「MT4」を検索してダウンロードする。アカウントにログインすれば、PCと同じ口座でスマートフォンでもトレードできるようになる。
5,MT4のデメリット・注意点は?
MT4を使用するにあたって、注意しておきたい点も事前にしっかりと把握しておこう。
注意点1,デモ取引に対応しているかどうか
MT4を使ったことがない人は、まずは仮想資金を使ったデモ取引を体験してみるといいだろう。デモ取引に対応しているFX会社は以下となる。すべて無料でデモ口座が利用できる。
• FXTF(ゴールデンウェイ・ジャパン)
• OANDA Japan(オアンダ・ジャパン)
• FOREX.com
• 外為ファイネスト
• EZインべスト証券
• 楽天証券
注意点2,スキャルピング取引は可能か
MT4を利用できるFX会社で、スキャルピング取引(秒単位〜分単位で行う超短期売買)を認めているのは、外為ファイネスト、サクソバンク証券(Primeプラン)、EZインベスト証券の3社のみとなる。
注意点3,インストール版はMT4はMacで使うことができない
通常、PCインストール型のMT4はWindowsにしか対応していない。しかし、ウェブブラウザ版MT4を利用すればMacでも使用できる。FXTFとFOREX.comではウェブ版MT4を展開していることから、WindowsでなくMac環境でも利用可能だ。
しかし、ウェブ版MT4では標準で搭載されているインジケーターのみの使用となっているため注意が必要だ。他に、VPS(仮想専用サーバー)を利用すればMacでもMT4を使用できる。ただし、VPSはコストもかかるので、まずはウェブ版を導入しているFX会社を選ぶ、あるいは、Windowsを利用する方法がおすすめだ。
注意点4,電源を切ると自動売買が止まってしまう
MT4の自動売買は、端末内において処理が行われていることから、MT4が動いているパソコンが止まればEAも停止してしまう。
そのため、本格的に自動売買をするのであれば、VPSを使ってMT4を稼働させる必要がある。VPSは基本的にコストがかかるが、一部FOREX.comのように条件付き(月間50万通貨取引など)ながら無料で使えるものもある。自分の取引スタイルや取引額などによって、VPS導入のタイミングを検討しよう。
注意点5,日本人には使いづらいUI
MT4は、ロシアのメタクォーツ・ソフトウェア(MetaQuotes Software)という会社によって開発された。ソフトのメニューなどはもちろん日本語化されているものの、操作に慣れるまでは使いづらいかもしれない。スムーズに使いこなすためには時間が必要なので、トレードをはじめる前にしっかりと触り倒すことがおすすめだ。
6,MT4は本格的なFXトレードには欠かせない
MT4は高性能であるだけに、ツールに慣れるまでにはそれなりの時間がかかる。初心者にとっては逆にハードルが高く感じられるかもしれないが、FXできちんと利益を出していきたいと本気で考えているのなら、プロと同じツールを使いこなせるようになることも大切だ。
また、自動売買ツールなどを活用してみたいという人にもおすすめなので、まずは口座開設してダウンロードしてみてはどうだろうか。
監修者・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。
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