「なかなかIPOに当たらない……」という人は多いだろう。新規上場株式を公募して売り出すIPOの抽選倍率は極めて高く、当選する人はほんの一握りだ。それにも関わらず、IPOは株式投資の初心者からベテランまで、幅広い層の投資家から人気がある。IPOの人気の理由と当選確率アップの方法などを紹介しよう。

1,IPO投資の3つのメリット 勝率9割のマーケットのお祭り

IPO投資のメリット
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

IPO(Initial Public Offering)とは、新規上場株式のこと。IPOを行う会社は、不特定多数の投資家が参加する証券取引所に新たに株式を上場させて、多額の事業資金を調達する。

IPOの最大の特徴は、通常の株式取引には見られない過熱気味の人気だ。IPOには3つのメリットがあるため、投資初心者からベテランまで、幅広い層の投資家が注目している。

メリット1,公募価格に対する初値騰落率の高さ

IPO株は、公募価格に対する初値の騰落率が極めて高い。初値の騰落率が100%、時には200%を上回ることも少なくない。

IPO抽選で運良く当選すれば、例えば「1,500円の公募価格で100株購入、3,000円の初値で全株売却して15万円のリターンを獲得」も夢ではない(手数料と税は考慮していない)。

メリット2,公募株式は購入手数料が無料

IPOの新規発行株式と売出株式は、どちらも公募によって販売される。公募株式の購入手数料は無料なので、どの証券会社を利用しても片道分の手数料を節約できる。

メリット3,IPO銘柄の勝率は9割と高い

新規公開株式は、勝率が高い。ここでいう「勝率」とは、「IPOの初値が新規発行株式と売出株式の公募価格を上回って、利益が出る率」のことだ。全IPO案件のうち、およそ9割程度の銘柄が公募価格を上回る初値を付けており、初値が公募価格の数倍に高騰する銘柄も散見される。

2018年1月から2020年8月までのIPO件数と勝率を、暦年ベースで確認してみよう。

直近のIPO件数と勝率

期間 IPO件数 初値>公募価格 初値<公募価格 初値=公募価格 勝率
2018年
(1~12月)
89件 79件 9件 1件 88.8%
2019年
(1~12月)
82件 73件 8件 1件 89.0%
2020年
(1~8月)
44件 26件 17件 1件 59.1%
(参考)
2020年
(4~8月)
18件 17件 1件 0件 94.4%
注釈

※IPO件数は取引所グループHPを参照

「初値>公募価格」は、2018年と2019年のどちらも9割弱であり、初値が公募価格を上回る銘柄が圧倒的に多いことがわかる。

2020年については、年初に新型コロナウイルス感染症が世界中で流行し、これによった株価が大暴落した。これを受けてIPOの中止や延期が相次ぎ、初値の公募価格割れも増えた。その結果、2020年上旬を含む2020年1~8月の勝率は6割弱となった。ただし、コロナショックが落ち着いた2020年4~8月に限定すると、9割5分弱という高い勝率を叩き出している。

一般的な株式売買の勝率を「すべての株式取引のうち、利益が出た取引の割合」(例えば10回の株式売買のうち、利益が出た取引が5回あれば勝率5割、2回であれば勝率2割)と定義すると、勝率は平均1割程度と言われている。

もちろん投資手法や投資の熟練度などによって、実際の勝率には個人差がある。また勝率は低くても、通算すると大きな利益を獲得できている人もいる。これらを考慮すると、約9割というIPOの勝率がどれほど高いか、実感できるのではないだろうか。

端的に言うとIPOに当選すれば、初値で売却するだけで相当額の利益を得られる可能性が高いというわけだ。「高い初値騰落率」、「購入手数料不要」、「高い勝率」という普通株式にはない魅力が、IPOが多くの投資家を魅了する理由だ。

2,IPOの当選確率は?ジャンボ宝くじ6等程度の確率

IPO投資には上記のようメリットがあるが、「IPOの抽選になかなか当たらない」という声も多く聞かれる。しかし、もちろん当選確率はゼロではない。

IPO銘柄によって公募株数が異なり、人気・不人気もあるため、抽選倍率同様に当選確率も銘柄ごとに違いがある。各IPO銘柄の抽選応募者数は公表されていないため、正確な当選確率はわからないが、小型の人気IPO銘柄だと1%未満、超大型案件だと10%程度になると言われている。100件のIPOに応募すれば、1~10回は当選する可能性があるわけだ。

ジャンボ宝くじ6等の当選確率(理論値)は約10%、BIG(サッカーくじ)6等の当選確率は約1.3%。IPOの1%未満~10%程度の当選確率は、宝くじ6等程度の低い確率というわけだ。

とはいえ、宝くじ6等に当たる確率でIPOでも当選するとなれば、「少しは期待できる」と思えるかもしれない。

3,IPOの当選確率を上げる6つの方法

IPO当選確率を上げるポイント
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

IPOの当選確率は低いものの、当選確率が1,000万分の1であるジャンボ宝くじ1等を当てるよりは可能性が高い。IPOの当選確率を上げるために、専門知識がない投資初心者でも無理なく実践できるテクニックがいくつかある。

方法1,ネット証券で申し込む――抽選は完全平等が基本

個人投資家がIPO抽選に応募する場合は、ネット証券を利用することで当選確率を上げることができる。

ネット証券では、IPOの引受(割当)株数のうち、個人投資家向けの抽選に配分される株式については、応募者1人1票の完全平等かつシステム抽選が基本になっている。SBI証券や楽天証券、マネックス証券、DMM.com証券 株、ライブスター証券のような一部ネット証券では、引受株数の大半が個人投資家向けの抽選に充てられる。

これに対して総合証券のIPOでは、証券会社が引き受ける株式の大半が機関投資家や富裕層、取引額の多い個人投資家に配分され、その残りがネット取引専用口座の個人投資家に抽選で配分されることが多い。ネット取引専用口座向けの抽選でも、残高や取引が多い投資家の当選確率を高くする、ステージ優遇制を導入しているところがある。

資金の少ない投資初心者であっても、抽選向けの配分が多いネット証券を使えば、他のIPO抽選応募者と同じ条件で抽選に参加しながら、当選確率を上げることができる。

方法2,複数の証券会社に口座を開設する――申し込みチャネルを増やす

どのIPO案件でも、複数の引受幹事証券会社や委託販売証券会社が公募株式の販売に携わっている。

以下の「主要総合証券&ネット証券対象 IPO取扱銘柄件数ランキング」を参考に、まずはIPO取扱銘柄件数が多い証券会社で口座を開設しよう。同一のIPO案件に複数の証券会社から応募すれば、応募口数分だけ当選確率が上がる。地道に応募し続ければ、当選する日がやってくるだろう。

主要総合証券&ネット証券対象 IPO取扱銘柄件数ランキング(2020年1~8月)

順位 証券会社名 取扱銘柄数 関与率
1 SBI証券 40件 90.9%
2 みずほ証券 27件 61.4%
3 マネックス証券 25件 56.8%
4 大和証券 23件 52.3%
4 SMBC日興証券 23件 52.3%
6 野村證券 17件 38.6%
6 岡三オンライン証券 17件 38.6%
8 楽天証券 14件 31.8%
9 auカブコム証券 9件 20.5%
10 DMM.com証券 株 5件 11.4%
11 松井証券 4件 9.1%
12 SBIネオモバイル証券 3件 6.8%
13 ライブスター証券 1件 2.3%
13 GMOクリック証券 ※1 1件 2.3%
44件 100.0%
注釈

※1.GMOクリック証券の取扱銘柄は同グループの「GMOフィナンシャルゲート<4051>」のみ
※2.各証券会社のホームページでIPO取扱実績を参照した

2020年1~8月までのIPO取扱銘柄件数では、SBI証券が44件中40件の取り扱い(関与率90.9%)で第1位だった。

3大証券(野村、大和、SMBC日興)を上回る取扱銘柄件数で躍進しているのが主要ネット証券の1社であるマネックス証券だ(取扱銘柄件数25件、関与率56.8%)。

ネット証券では、岡三オンライン証券もコンスタントにIPO銘柄を取り扱っており(取扱銘柄件数17件、38.6%)、楽天証券もIPOの取り扱いを増やしている(取扱銘柄件数14件、31.8%)。

SBI証券やマネックス証券、岡三オンライン証券、楽天証券などランキング上位の証券会社は、IPOの当選確率アップに役立つはずだ。手数料は無料なので、IPO投資を考えているなら、まとめて口座を開設しておくといいだろう。

方法3,主幹事証券から申し込む――IPOでの引受株数が圧倒的に多い

未上場会社が新規で株式を上場する際は、主幹事証券会社の役割が重要だ。主幹事証券会社の業務は、上場前の社内整備や申請書類の準備、IPOスケジュールと手続き全般の管理、上場後の資金調達のアドバイスなど多岐にわたる。

そのため主幹事証券会社はIPOでの引受株数が多く、公募株式の8~9割を引き受けるのが一般的だ。個人投資家用に配分されるIPO株数も必然的に多くなる。

主幹事証券を務めるような証券会社は、幹事証券会社としてIPOに参加する機会も多い。したがって、多くのIPO案件で主幹事を務める証券会社に口座を開設して、主幹事と幹事証券のどちらの場合でもIPO抽選に応募すれば、当選確率は格段に高くなる。

IPO主幹事証券ランキング(2020年1~8月)

順位 証券会社名 主幹事銘柄数 占有率
1 野村證券 11件 25.0%
2 みずほ証券 10件 22.7%
3 SMBC日興証券 8件 18.2%
4 大和証券 7件 15.9%
5 SBI証券 4件 9.1%
6 いちよし証券 3件 6.8%
7 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 1件 2.3%
44件 100.0%
注釈

※取引所グループホームページ「新規上場会社情報」を参照した

主幹事証券会社は総合証券が多いが、ネット証券ではSBI証券が5位にランクインしている。したがって個人投資家がIPO投資に参加する場合は、SBI証券の口座は開設しておいたほうがいいだろう。

方法4,口座数が少ない証券会社から申し込む――競争率の低さを利用する

IPOの抽選は証券会社ごとに行われるので、同一証券会社内の応募者が多くなればなるほど、当選しにくくなる。逆にその証券会社で応募者が少なければ、当選確率は上がる。

このことから、上述の「IPO取扱銘柄件数ランキング」で下位または圏外になっているネット証券にも注目したい。auカブコム証券や松井証券、DMM.com証券 株は、SBI証券や楽天証券などの大手ネット証券に比べて口座開設者が少ないため、IPO抽選の応募者も少ないはずだ。

これらの中堅ネット証券はIPO取扱銘柄件数も少ないが、少しでも当選確率を上げたい人は、中堅ネット証券でIPOの取り扱いが発表されたら、欠かさず抽選に参加しよう。

方法5,少額からIPO投資できる証券会社で申し込む――SBIネオモバに注目

IPOの抽選は、正攻法ではなかなか当たらない。よって、当選確率を上げるために別の手も検討したい。

IPOは1単元(100株)単位で抽選に参加するのが一般的だが、新興スマホ証券であるSBIネオモバイル証券には、1株単位でお好みの株数を指定して抽選に応募できるサービス「ひとかぶIPO」がある。

このサービスでは、SBIネオモバイル証券が委託販売するIPO株を1株単位に分けて、抽選の上投資家に配分する。まだ認知度が高くないため、当選確率アップを期待できる。「ネオモバ株アプリ」専用のサービスであることや、即時入金は住信SBIネット銀行に限られるなどの制約はあるものの、「若年優遇」という若年層向けの優遇枠も用意されている。

少額IPO投資サービスは、資金の少ない若年層投資家がIPOで当選を勝ち取る近道かもしれない。

方法6,証券会社独自のIPOサービスを使う――SBI証券や岡三オンライン証券など

IPOで当選確率を上げるためには、各証券会社の独自サービスも活用したい。

・SBI証券のIPOチャレンジポイント

IPOの独自サービスとして注目したいのが、SBI証券の「IPOチャレンジポイント」だ。

「IPOチャレンジポイント」とは、IPO抽選に落選するたびに加算されるSBI証券のIPO専用ポイントのこと。IPOチャレンジポイントが貯まったら、次のIPOでポイントを使って抽選に応募すると、使用ポイント数に応じて当選確率が高くなる仕組みだ。

どうしても当選したいIPO銘柄の抽選に、20~30ポイントを一度に使って当選を引き寄せるのが賢い使い方だ。

・岡三オンライン証券、SMBC日興証券、大和証券のステージ優遇措置

資金に余裕のある人は、取引状況に応じたステージ優遇措置によって、IPOの当選確率が高くなる証券会社を使うのもいいだろう。

ステージ優遇措置を採用している証券会社では、独自の基準で対象期間中の顧客の資産残高や取引状況などからステージを判定する。

例えば岡三オンライン証券の3ステージや、SMBC日興証券(ネット取引専用コース対象)の4ステージ、大和証券(ネット取引専用コース対象)の3ステージに該当する場合、抽選回数が増えるため当選確率が大幅に上がる。

4,ネット証券8社のIPO抽選の特徴は?個人投資家への配分方法など

IPOを取り扱っているネット証券会社では、IPO株を個人投資家向けに配分する方法やNISA口座での取引の可否、前受金の有無など、手順や手続きに違いがある。以下の表で各社のIPO投資サービスの特徴を確認して、相性の良い証券会社を選んでほしい。

※IPO抽選の特徴については、対象のネット証券各社ホームページを参照した。

SBI証券のIPO抽選の特徴,IPO抽選応募のチャンスが証券業界最多

配分方法 IPO引受株数の配分割合(目安)
・70%――個人投資家向け
・30%――IPOチャレンジポイント向け
抽選ルール 申込単元ごとに番号(乱数)を配布して、番号を対象に抽選
前受金 必要(ブックビルディング後の公募価格決定
および抽選・配分時に買付余力を確認)
NISA口座での取引 可能(当選、補欠当選後に預かり区分としてNISA口座を選択)
IPO申込チャネル PCメインサイト、あるいはモバイルサイトから申し込む
主な特徴 ・一部、機関投資家向け配分あり
・抽選対象はブックビルディング参加者
・圧倒的なIPO取扱銘柄件数
・抽選に外れるとIPOチャレンジポイントが加算され、
次のIPO抽選で貯まったポイントを使うと当選確率が上がる
・「HYPER空売りサービス」で、IPO銘柄も空売りできる
・IPO抽選時の買付余力として、SBIハイブリッド預金が自動的に充当される

マネックス証券のIPO抽選の特徴,取扱銘柄件数はネット業界で第2位、引受株数のすべてが抽選で配分される

配分方法 引受株数すべてを抽選により配分
抽選ルール 顧客1人につき1つの乱数(抽選券)を付与してから抽選し、
当選者に1単位ずつ配分
前受金 必要(残高確認後にブックビルディングに参加)
NISA口座での取引 可能(抽選申込時に課税口座、非課税口座の優先順位を選択)
IPO申込チャネル PCの証券総合取引口座のログインサイトから抽選に申し込む
主な特徴 ・引受株数のすべてを抽選に配分
・ブックビルディング参加者が抽選対象
・IPO抽選は100%完全平等
・IPO引受銘柄件数は証券業界第3位、主幹事案件もあり
・IPO銘柄は空売りの決済に使用できない

岡三オンライン証券のIPO抽選の特徴,取扱銘柄数が多い、事前入金不要

配分方法 割当株数の配分割合
・10%程度――第三抽選向け
・90%――第一抽選向けと第二抽選向けに二分
抽選ルール 1    抽選応募者全員にシステムで番号(乱数)を付与
2    第一抽選:ステージSを対象に抽選
3    第二抽選:ステージSとステージAを対象に抽選
4    第三抽選:ステージS、ステージA、ステージBを対象に抽選
前受金 不要(当選、補欠当選の場合のみ、購入申込に際して代金を入金)
NISA口座での取引 不可
IPO申込チャネル Webサイトの「日本株取引システム」ログイン後、抽選に申し込む
主な特徴 ・抽選申込と同時に需要を申告する
・ステージ優遇制により、取引または残高の多い顧客が有利
・岡三証券のIPO引受分の割当あり

楽天証券のIPO抽選の特徴,複数単元で需要申告や購入申込ができ、購入申込後に抽選

配分方法 ・一部、機関投資家向け配分あり
・大半は個人投資家向け配分
抽選ルール ・ブックビルディング参加が購入申込の条件
・購入申込者多数の場合、コンピュータの乱数による抽選
前受金 不要(需要申告時には不要、購入申込時に入金が必要)
NISA口座での取引 不可
IPO申込チャネル Webサイト専用ページから申し込む
主な特徴 ・抽選対象はブックビルディング参加者
・複数単元の需要申告、抽選応募、当選後の購入申込ができる
・IPOの購入申込代金は楽天銀行との自動入金(スイープ)の対象

auカブコムのIPO抽選の特徴,ほどほどの取扱銘柄数、抽選は完全平等

配分方法 引受株数の配分割合
・10%以上――抽選による配分
(「らくらく電子契約サービス」利用の個人投資家向け)
・90%弱――抽選によらない配分
(購入意思をコールセンターに通知したプロ口座
または個人投資家対象、審査部門の審査あり)
抽選ルール 抽選応募には需要申告が条件
前受金 必要(買付可能額の入金がブックビルディングの参加条件)
NISA口座での取引 可能(購入申込の際に、特定/一般/非課税から選択)
IPO申込チャネル Webサイトのログインサイトから申し込む
主な特徴 ・プロ口座(機関投資家を除く)または取引の多い
個人投資家向けに裁量配分あり
・抽選はシステム化かつ完全平等
・引受株数のうち、抽選配分割合が少ない

松井証券のIPO抽選の特徴,前受金不要

配分方法 未公表
抽選ルール 抽選は、公募価格以上で需要申告した顧客が対象
前受金 不要(需要申告後の購入申込締切時点で、
買付余力のある顧客を対象に抽選)
NISA口座での取引 可能
IPO申込チャネル Webサイトから申し込む
主な特徴 公募で入手したIPO株は空売りの決済に充当できない

DMM.com証券 株のIPO抽選の特徴,スマホアプリから抽選参加申込ができる、裁量配分なし

配分方法 ・委託販売のため、割当があった場合のみ完全平等抽選
・一部、機関投資家向け配分と従業員持株会などへの拠出あり
抽選ルール 抽選参加申込者対象に、乱数を用いたシステム抽選
前受金 不要(当選後の購入申込時に入金)
NISA口座での取引 可能(購入申込時に特定口座・一般口座・NISA口座を選択)
IPO申込チャネル PC Web版取引ツール「DMM株STANDARD」または
スマホアプリ「DMM株」から抽選参加を申し込む
主な特徴 ・IPOには委託販売団として参加(需要申告なし)
・割当株数が少ない
・申込取消は電話で行う
・当選者には、取引ツールと電話・メールで通知
・購入申込はカスタマーサポートで受付(繰上当選含む)

SBIネオモバイル証券のIPO抽選の特徴,「ひとくちIPO」で1株から抽選に応募でき、需要申告なし

配分方法 ・対象は個人投資家のみ
・割当株数の100%が抽選
(うち50%はシステム抽選、50%は優遇枠)
抽選ルール 購入代金残高を確認できる応募者に乱数を付して、
番号を対象に抽選
前受金 申込時までに入金
NISA口座での取引 なし
IPO申込チャネル ネオモバ株アプリから申し込む
主な特徴 ・SBI証券のIPO取扱銘柄を一部委託販売
・需要申告なし
・公募価格決定後に抽選、購入希望株数を申告
・「若年優遇」や「取引継続優遇」の優遇枠あり
・初値が付いた翌営業日から売却できる
・ひとかぶIPO購入にはTポイントが使えない
・IPO抽選の参加にはクレジットカードの登録が必要
・証券口座への入金は住信SBIネットからに限定

5,IPO投資の4つの注意点

IPO投資の注意点
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

抽選倍率が高いIPOで当選を勝ち取るには、何度抽選に落選してもあきらめずに、複数のネット証券から応募する手間を惜しまないことが重要だ。最後に、IPO投資の際に注意しておきたい点についても触れておこう。

注意点1,需要申告後の購入申込を忘れないこと

需要申告した銘柄については、必ず購入申込をしよう。

どの証券会社でも、需要申告したら、あるいは当選したら自動的にIPO株を購入できる仕組みにはなっていない。需要申告時に買付余力が確認されていても、または当選・補欠当選しても、あらためて購入申込をしなければキャンセルと見なされるので注意してほしい。

IPO抽選を実施するネット証券のほとんどでは、IPO抽選に当選し、購入申込をすることで、正式に新規上場株式取得の権利を得る。

ただし楽天証券とauカブコム証券では、購入申込後に抽選が行われる。購入申込を忘れると、抽選自体に参加できないので気を付けてほしい。

注意点2,応募した銘柄すべてのスケジュールを把握しておくこと

IPOを取り扱う証券会社によって、申込手順は異なる。同じIPO銘柄の申込でも、需要申告期間や抽選結果の発表日時、購入申込期間が各社で異なるのは珍しくない。

3月や12月など、多くのIPO案件が同時進行する時期には、需要申告を忘れてしまったり、抽選結果の確認あるいは購入申込を忘れてしまったりするおそれがある。

自分が使いやすい「IPO手続きスケジュール表」を作成して、抽選に参加する予定のIPOや、進行中のIPOのスケジュールをしっかり把握しておこう。

注意点3,公募割れしそうな銘柄を見極めること

IPOの勝率は9割程度だが、裏を返せば1割程度のIPO銘柄は初値が公募価格を下回る(公募割れ)ということだ。公募割れしやすいIPO銘柄の主な特徴は、以下のとおりだ。

・超大型株(上場時の資金調達額が非常に大きい)の新規上場
・東証一部上場
・業種や業務内容に新鮮味がない
・公募価格が仮条件の上限未満に決定する
・上場直前に、悪材料のニュースが出る
・相場環境が急激に悪化する

購入申込前に上記のような傾向が見られる場合は、目論見書や新規上場会社情報、ニュースなどを精査して、購入するかどうかをよく検討したほうがいい。心配が残るなら、思い切って見送ることをおすすめする。

購入申込後に公募割れリスクが高まった場合や、初値が付く前の板を確認して公募割れの可能性があると感じた場合は、初値売りを見送るのも手だ。上場後に株価が上昇し、十分な利益が出るまでじっくり待つのも悪くない。

注意点4,IPOの応募に必要な資金を確保しておくこと

IPOの当選確率を上げるためには、多くの銘柄に応募するのがセオリーだ。抽選に外れると資金拘束は解除されるが、基本的には抽選に応募する分だけ資金を用意しておく必要があると考えたほうがいいだろう。

IPOの繁忙期になると多くの銘柄が同時に進行するので、多額の購入代金が必要になる。資金に余裕がない場合は、前受金不要(当選者だけ購入代金を入金する)の証券会社を選んでIPOに参加する、もしくは初値が高騰しそうな銘柄を厳選するといった対策が必要になる。

6,デメリットもあるが大きなリターンを期待できるIPO、まずはチャンレンジを

一般的な現物株取引に比べて、IPOは初値高騰による大きなリターンを期待できる、旨味のある株式投資手法だ。

財務状態や業務内容などは最低限チェックする必要があるが、チャート分析は不要なので、IPOは投資初心者や多忙なビジネスパーソンでも参加しやすい。

IPOには抽選という高いハードルがあり、実際にIPO株を購入できるかどうかは運次第だ。興味があれば、近々需要申告が予定されているIPO銘柄を皮切りに、臆することなくどんどん参戦してみよう。

執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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