化粧品製造・販売を行うハリウッド株式会社は、96年の歴史を有し、ユニバーサル対応や街並みのクリーンアップ、障害のある方への支援、アニマルフリー(開発に際して動物実験を行わない)をはじめとする動物福祉活動など、ESG経営の伝統を継承し、CSR活動を積極的に進めている。

オーナー社長の牛山大輔に、女性活躍、リサイクル活動やオーナー企業だからこそできることなど、興味深いさまざまなお話を伺った。

女性目線での事業運営

日本の企業のニューノーマル
(画像=THE OWNER編集部)

―――創業当時からずっと動物に対して優しい思いが非常にあったと言うことを強く感じましたが、それはなぜなのでしょうか。

牛山 我々の会社で言えるのは、常に女性目線を取り入れてきたことが理由の一因かもしれません。他の化粧品会社は、創業者がたいてい男性です。男性が女性をきれいにするために、やってきた。けれど当社は、創業が祖父と祖母だったから、常に女性目線だったというところが大きいのです。女性がずっと現場にいるのです。社内の半分が女性だったから、会社の運営にも女性目線が入ってくる。そうすると、動物がかわいそうだ、という話を実際に合理的にシステムとして反映させることができたんだと思います。

日本の企業のニューノーマル
(画像=共同創業者の牛山メイ氏)

企業経営が、市場と同じように半分を女性が占め、女性が役員として入ることが、当社では普通のことでした。社会はそうでないとよくならないんじゃないかなと思いますよね。アニマルフリーなどのSDGsの原点としては、昔から取り組んでいて、女性が経営に参画していたというのが要因として大きいのではないかと思います。

―――創業当時、しかも今から96年前から女性が現場にいて、女性目線がより社会にあったような形で企業戦略として展開できたのかな、と聞いていて思いました。

牛山 そうですよね。そんな気がしますよね。

―――女性目線といった部分で、男性用の化粧品も増えていますが、やっぱり化粧品は女性の物というイメージがあります。すでに仕組みとしてあると思うのですが、女性の目線を入れるといった、そのようなことを意識した取り組みはほかにございますか?例えば、昔からある企業ですと、女性は結婚や妊娠出産があるから管理職としては登用しないというのがあると思うのですが、御社はどのような環境なのでしょうか。

牛山 うちはそういったことはまったく気にしていないですね。できる人がやったらいいと思います。

女性に関係した話でいうと、いつもお正月に化粧品業界全体で、大手企業をはじめ、2000人ぐらいで集まる会があるんですよ。そこの会には、各企業の社長を含めた幹部が来ます。その中で、女性の幹部を連れてきている会社がほとんどおらず、女性は1割程度しかいないのです。これは危ないぞと、危機感を覚えているので、なるべくこういう小さい企業で先に行って風穴を開けたいなと思っています。

リサイクルなど今後の取り組み

―――今後、化粧品、医薬品の分野において、環境に対する取り組みが、さらに求められるようになると思うのですが、ボトルのリサイクルや、プラスチックを使わないなど、今後考えている取り組みがあれば、教えていただけますか。

牛山 現在やっていること以外に、と言うことですか?

―――現在やっていることも含めて、お願いします。

牛山 現在、ガラスならリサイクルできる、ということで、容器をガラス瓶に置き換えられるものはガラス瓶にしています。一度プラスチック容器になったものもありますけど、再度ガラスに戻しているのも一つですし、あとはパッケージの外箱にラミネート加工した紙を使用するのをやめて、再生紙にするといった簡易包装への取り組みもしています。結局、お客さんは化粧品を購入した後、箱を捨ててしまうので、リサイクルできるようにするというのは重要だと思います。

今後の取り組みというところでも、プラスチックに関することはあります。部品の中でも全部同じプラスチックを使って作るとか、中に違う金属部品とか入っていたりすると、リサイクルしにくいので、部品を統一するとか、あとはリサイクルのマテリアルを使ったボトルを使うといったところです。今、プラスチックのごみはいろいろありますが、リサイクルされにくいプラスチックのごみとして、人工芝があります。当社は大学と共同で、擦れて流れてしまった人工芝を集めてリサイクルを考えているところです。人工芝から何か容器ができないかと考えています。

ただ、このような取り組みは、わかりやすい方法でやった方が、社会的影響が大きいので、そのようなことを意識はしていますね。ただやるだけじゃなくて、イニシアチブというか先駆者的にそういうのをやっていくのであれば、多少わかりやすくしないと、ほかの企業が続いて取り組めません。取り組みを見える化することで、社会的変革ができるんじゃないかと思っています。

―――人工芝からできた容器は実用化されたら、御社のボトルとして使うのですか?

牛山 何に使うかはまだ検討中です。ただ、化粧品は難しいなと思っています。それは、人工芝をリサイクルしているとわかっていて、人に踏まれていたものをリサイクルした容器に入っている化粧水はいいのか?というところです。食品やそれに近いところでも、イメージもあるので難しいでしょう。そういうものを使った商品のディスプレイにしようとか、模索中です。今、そのような発想で、できることはやっていこうと挑戦しています。

オーナー企業だからこそできること・やっていきたきいこと

―――最後に、アニマルフリーとか環境について先ほどお話しいただきましたが、それ以外で今後はどのようにお取り組みされるのかということをお話しいただけければと思います。

牛山 なるべく、大企業がやれない部分を実験的に当社でやるというのがいいかと思っています。小さい企業だし、女性が大勢いて、女性目線がありつつ小回りも利きますから。オーナー企業、中小企業だったから、スモールファミリービジネスだったからかじ取りがしやすい。できれば、社会全体のお手本になっていけばいいなと思っています。

今後の取り組みで、SDGsどんなことをやっていきますか、って言われたときに、どの分野も大切だと思っていますよ。ただほかの企業がやるよりも、ハリウッドさんが先駆者だったね、やっぱりあそこ、早いよね、われわれ大企業もやらなきゃいけないよねって企業全体が動いていったらいいなとは思いますね。当社がやる役目っていうのはすごくあると思っていて、そこに着目したいと思いますね。(提供:THE OWNER